じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



09月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る



クリックで全体表示。

 岡山では、9月4日の朝6時10分〜6時30分頃、西の空に鮮明な虹が見えた。レーダー・アメダスによると、この日の5時半〜6時頃、南東から北西方向に弱い雨雲が移動し、細かい雨が降った。その後東の空の雲の間から朝日が出現し、絶好の「虹日和」となった。
 なお、写真はパノラマ撮影で行ったため、虹の形が多少歪んでいる。また写真にはうまく写っていないが、かすかに副虹も見えていた。


2023年9月5日(火)




【連載】ヒューマニエンス「“免疫” 曖昧な“わたし”をめぐるドラマ」(4)Foxp3、ゾウギンザメ

 昨日に続いて、8月28日に初回放送された、NHK『ヒューマニエンス』、

「“免疫” 曖昧な“わたし”をめぐるドラマ」

についてのメモと感想。

 放送では続いて「Tレグの性格を決める遺伝子」と題して、Tレグが誕生する際に必要なスイッチのメカニズムが解説された。このメカニズムを発見したのは、スタジオ解説者のお一人、堀昌平さん(東京大学)であるという。特定のきっかけとなったのは『Foxp3』という遺伝子の存在であった。Foxp3が働かないと免疫の過剰な攻撃が続き重い遺伝病を発症することが分かっていた。そこで堀さんはまず。Foxp3がTレグだけで働く遺伝子であることをつきとめた。次にマウスを被験体として、、TレグではないT細胞を集めて、Foxp3が働く遺伝子操作を行った。すると、そのT細胞はマウスの体内でTレグと同じ働きをすることが示された。
 顕微鏡写真では3種のT細胞(ヘルパーT、キラーT、Tレグ)は全く見分けがつかないが、Foxp3の役割が発見されたことで、Tレグがどのようにして作られるのかも明らかになった。
 Mア洋子からは、Tレグという「抑制する細胞」が分かったことは、「抑制する細胞がいないことで病気になる形もある」という根本的な理解につながった、という補足説明があった。

 次に取り上げられたのは、「“なんでも食べる”が免疫を進化させた」という話題であった。進化の過程のなかで、獲得免疫の仕組みが備わったのには、捕食活動が関係しているという内容。森本亮さん(ドイツ・マックスプランク研究所)は、「違う生物を食べるので、免疫として戦わなければいけない部分と、エネルギーとして取り入れる部分を教えてあげるシステムが無ければすべてが攻撃されてしまうので、自分と敵を区別するシステムが必要になった。」と解説された。いま森本さんが研究対象としているのはゾウギンザメという、おおそ4億年前に出現した「生きた化石」であり、初めて下顎を持った魚であるという。それ以前の魚はナメクジウオのような顎のない魚(無顎類)であり、自然免疫だけを持っていた。ゾウギンザメは顎を持つことで(有顎類)咀嚼力がアップし、食べ物の種類が格段に増えた。それに伴い、Tレグのような免疫システムが必要になったのではないかと推測されている。
 森本さんは、ゾウギンザメの胸腺を作る遺伝子Foxn1を、胸腺を無くしたマウスで人工的に働かせた。するとマウスの中でマウスがもともと持っていたものと同じような胸腺ができあがった。森本さんによればゾウギンザメは、4億年前の姿をそのまま残した形をしており、スゴく昔の形の進化の痕跡を残しており、ゾウギンザメを調べることは遺跡の発掘に似ているところがある。ゾウギンザメの遺伝子でマウスに移植してもほぼ同じ臓器ができるということから、この機能はすでに5億年前に完成しており、宇宙のビッグバンのように短期間に一気に備わったものと推測される。森本さんの説として、5億年前、脊椎動物が生まれた頃に今に近いシステムが立ち上がったと考えられる。獲得免疫のシステムは多様にあり、我々に備わっている獲得免疫が唯一の正解ではない。またイカやタコのように自然免疫だけで繁殖している動物もいる。

 ここからは私の感想・考察になるが、まず、免疫システムがうまく機能しない遺伝病もそうだし、新型コロナにおいて免疫システムが暴走することが深刻な重症化をもたらすことについても、過去の別番組などで学んだことではある。いっぽう、少々脇道に逸れるが、免疫ががん細胞を攻撃する力を保つ(ブレーキがかかるのを防ぐ)ことなどにより、免疫本来の力を利用してがんを攻撃する治療法としては、免疫療法があるという。丸山ワクチンをめぐる論議もいろいろあるようだが、単なる臨床試験の有意差ではなく、根本的なメカニズムから有効性の有無を明らかにすることが望まれる。

 肉食動物、あるいは雑食性動物において、食べた物質のうち有用なものだけを吸収するシステムは重要であろう。もっとも、例えば納豆菌や乳酸菌を食べたからといってそれらが生きたまま体内に取り込まれることはない。消化の段階で十分に殺菌されたり分解されたりすれば、わざわざ獲得免疫のシステムの力を借りる必要はないようにも思われる。また今回は全く言及されていないが、消化・吸収の過程では腸内細菌が重要な役割を果たしている。いくら免疫系が順調に機能していたとしても、腸内細菌のバランスが崩れると深刻な胃腸病を発症する場合もあるだろう。

 次回に続く。