じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 岡山では
  • 7月25日から28日まで4日連続で猛暑日
  • 7月27日朝から29日朝まで3日連続で熱帯夜
  • 7月26日から28日まで3日連続で平均気温が30℃以上
という猛暑が続いた。
 7月29日も朝からよく晴れて日照時間は13.1時間を記録したが、なぜか
  • 最高気温は34.4℃で猛暑日に至らず、
  • 1日の平均気温は29.9℃でわずかではあるが30℃には達せず、
  • 7月30日朝の最低気温は24.8℃でわずかではあるが熱帯夜を下回る
という結果になり、数値上の気休め程度ではあるが「猛暑が一服」した。原因はよく分からないが、この日は東北東の風が最大風速で7.2m、最大瞬間風速で10.4mを記録したことが、地上付近の熱気の滞留を防いだ可能性がある。
 わずか1〜2℃の違いではあるが、熱帯夜を免れた朝は涼しい風が吹いていて気分がいい。

2023年7月30日(日)



【連載】チコちゃんに叱られる!「ミツクリザメ」「携帯電話の声と音声コーディック」

 7月28日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。本日は
  1. なぜアイスクリームはコーンにのっている?
  2. なぜウナギはヌルヌルしている?
  3. 【CO2削減のコーナー】第2弾 ボーっと見てんじゃねーよ ザ・ベストカットオブマイライフ:ミツクリザメ
  4. 携帯電話の声がいつもと違って聞こえるのはなぜ?
という4つの話題のうち、残りの3.と4.について考察する。

 まず、3.の『CO2削減のコーナー』では『 ボーっと見てんじゃねーよ ザ・ベストカットオブマイライフ』の第2弾として、NHK潜水斑のカメラマン、高野克彦さんがが東京湾で撮影した『ミツクリザメ』の動画が紹介された。ちなみに『ミツクリ』は、箕作佳吉由来の『Mitsukurina owstoni』という学名に基づく和名であるようだ。
 高野さんにとって潜水カメラマンとしてのこだわりは「必ずバディと一緒に生きて帰ってくる」であった。高野さんは、ロシア・オルダ水中洞窟や伊良部島のアギヤー漁などを撮影し2014年にワールド・メディア・フェスティバル金賞を受賞しているが、その「ザ・ベストカットオブマイライフ」は「世界初 腕にかぶりつくミツクリザメ」のカットであった。東京湾でミツクリザメの目撃情報が相次いだ2007年に4か月かけて専用カメラを作製したが全く撮影できなかった。撮影開始から4か月、網にミツクリザメがかかり海に逃したと連絡を受けて海の中へ。そこで撮影したのが世界初のミツクリザメの映像であった。ダイバーが腕を動かした時に、ものすごい速さでアゴが飛び出し腕にかみついた映像が「ザ・ベストカットオブマイライフ」となり、この映像が撮れたことた高野さんの人生の中で一番大きなものになった。なお、ダイバーの腕は防具で固められており、またミツクリザメが子どもであったことからダイバーは無傷であったという。
 なおウィキペディアによれば、
人との関わり:2008年(平成20年)8月31日に放送された『NHKスペシャル』と2010年5月15日に放送されたTBSのバラエティ番組『飛び出せ!科学くん』の中で、ミツクリザメがダイバーの腕に噛み付くシーンが放送されたが、これはサメの顎の動きを確かめるために敢えて噛ませたものであり、基本的には人に対して危害を加えることはない。
とされている。捕獲されたミツクリザメを生体展示する試みがあるが、いずれも短期間で死亡しているという。




 最後の4.の携帯電話の声の話であるが、放送では「あなたの本当の声ではないから(機械がモノマネした声だから)」が正解であると説明された。
 堀内俊治さん(KDDI総合研究所)によれば、固定電話の場合、声を波形データにして電話線を通してそのまま届けているが、携帯電話は電波で届ける必要がある。しかし人の声は波形が複雑でデータ量が重いため、そのままでは届けることができない。そこでデータ量が軽く、限りなく本人に近いモノマネした合成音声を作って届けている。携帯電話に内蔵されたICチップには音声コーディック』というプログラムが入っており、声の大きさ、のどの響き、声帯の振動を分析し、それを組み合わせてそっくりの声を作っている。声は一人一人さまざまであるが、よく使われているコーディックで0.02秒のデータ量から換算すると、
  • 声の大きさ:約3億種類
  • のどの響き:約70兆種類
  • 声帯の振動:約2000正種類(『正』は1040
という膨大なものであり、その組合せは1億無量大数種類となるためどんな声でもマネできないことはないと言われている。音声コーディックの音のパターンは今も増え続けている。
 しかし似た声を作っただけではデータ量は重いままとなる。そこで声の大きさ、のどの響き、声帯の振動には番号が割り当てられており、わずか0.02秒で番号に置き換えられ、電波で送られる。受信者側ではその番号に対応した音声が合成されて話し手の声となる。しかし、機械が似た声を探して作っているため、本人の声と違って聞こえることがあるかもしれない。これが放送で取り上げられた「携帯電話の声がいつもと違って聞こえる」理由になるようだ。
 なお、アプリ通話やリモート通話は携帯電話向けコーデックを使用しておらず波形データをそのまま送ることが多いのでいつもの声に近いということであった。

 ここからは私の感想・考察になるが、まず、放送では「固定電話の場合、声を波形データにして電話線を通してそのまま届けている」と説明されたが、「そのまま」という表現は曖昧であるように思われる。声がそのまま届くというのは、あくまで音波が空気中を伝達してそのまま届く状態であり、固定電話から聞こえる相手の声は、「そのままの声」ではなく固定電話で変換された音声であるはずだ。ウィキペディアでも、
もともとは音声を電流の変化に変換し、それをそのまま相手側の装置に伝送し、相手側の装置で電流を音声に変換した。
20世紀末ごろから普及したデジタル式電話では、変調や復調といった手順を含む。多くは得られた情報からのベースバンドを、さらに伝送経路上で符号化する方式で伝送している(搬送帯域伝送)。経路上の回路は複雑になるが、送電経路上の情報の送受信の効率が上がり、情報量や品質が良くなるというメリットがある。
と記されている。
 また、伝達媒体が電話線か電波かということは本質的な違いではなく、むしろ、アナログかデジタルかが重要であるように思われる。もっとも、上掲にもあるように、LINEやZOOMでパソコン同士のビデオ通話をする時には音声コーディックは使われていないようである。また、私の場合、スマホからの電話はすべてRakutenLinkを利用しているのでやはり対象外。ということで、音声コーディックの恩恵は受けていないようにも思われる。

 私がよく分からないのは、LINEやRakutenLinkで無料で通話ができるのに、なぜ別に携帯電話が必要になるのかということ。もちろん、Wi-Fiが届かない地域ではSIM接続で携帯電話回線をを利用しており、個人認証の際に有用であることも分かるのだが、回線(電波)を利用していることと、そこでどういう通信手段を使っているのかというのは別の話であり、よく分からない。

 いずれにせよ、今回の話題は、「携帯電話の声がいつもと違って聞こえるのはなぜ?」についての説明というよりは「携帯電話の声がいつもの声と同じように聞こえるのはなぜ?」についての説明が大部分を占めていた。
 余談だが、音声コーディックを使えば、自分の声を別の人の声に自由に変換することができるはず。これがもっと早く実用化されていれば、地声ではなく、若い男性アナウンサーが喋るような聞き取りやすい声で講義や講演ができたはず。もちろん、声はいくら美声でも、喋る内容が支離滅裂であったり、「ええと」、「やはり」、「だから」、「あははっ」などの口癖をやたらに挿入していれば、聞き取りにくいことは改善されないだろうが。