じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 楽天版に2000年8月に訪れたパミール横断・カラコルムハイウェイのアルバムを掲載してきたが、あと4〜5回で連載が終了できる見込みとなった。
 そんななか、7月14日に掲載したカシュガル・職人街の八百屋さんのお顔が、最近視聴したヒューマニエンスに出てきた男性のお顔にそっくりであることに気づいた。住んでいる場所も民族も全く違うはずなのに、同一人物ではないかと思われるほどに似ていた【←そのように見えるのは私だけかもしれないが】。

2023年7月15日(土)




【連載】チコちゃんに叱られる!「水は地面にしみこむのになぜ海の水はなくならない?」

 7月14日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。この日は、
  1. 水は地面にしみこむのになぜ海の水はなくならない?
  2. なぜ「ん」から始まることばはない?
  3. 【休憩中のコーナー】みちょぱさんの悩みは「悩みがなくて何も考えてない人だと思われること」
  4. なぜそうめんを流す?
という4つの話題が取り上げられた【取り上げられた疑問は、1.、2.、4.の3つであったが3.の話題も興味深かったので加えさせていただいた】。本日はこのうち1.について考察する。

 さて、1.の海の水が無くならない理由であるが、放送では「海底が水圧でカチカチだから。」が正解であると説明された。
 柏野祐二さん(水産大学校海洋生産管理学科)によれば、海の水の体積は約14億立方km。リットルに直すと14垓となる。この量は、2リットルのペットボトルに海水を入れると7垓本、上に積み上げると21京kmになる。21京kmは、地球から銀河系の中心近くまで届くほどの距離になるという。【念のためBingで確認したところ、太陽から銀河中心までの距離は、約2.11×1020km(21×10千京km)になるようであった。私の計算に間違いが無ければ、銀河の中心までの距離のほうが1000倍ほど長いことになる】
 さて、このような大量の水であるが、陸地では土や砂利には隙間があるため、雨水はしみ込んでいく。海の底にも陸と同じように砂利の層があり、その下には硬い岩石からできた地殻がある。この硬い岩石により水がしみ込まなくなると思いがちであるが、柏野さんによれば、硬い岩石であっても徐々に水がしみ込むことが観察できる。但し、海底の岩石は強い水圧により緻密になっているため水を通しにくくなっている。このため海底にしみ込む水の量は少ないと考えられてきた。
 もっとも、広島大学の片山郁夫教授が2017年に発表した研究によれば、海の水は毎年2兆5000億リットルの水が海底の岩石にしみ込んでおり、そのうちの2兆3000億リットルは地球の中心に吸い込まれている。あくまで計算の上での話だが6億年後には海水が全部無くなってしまう可能性があるという。
 片山教授によれば、マントルには地球の海水5杯分を取り込める容量があると言われている。高温のマントルにしみ込んだ水は、火山噴火やマグマ水蒸気爆発により地上に戻っているが、地球内部が冷えてきているために水が溜まり始めている可能性がある。かつて火星にも40億年前には海があったが長い時間をかけて岩石に吸い込まれてしまった可能性がある。地球から海が無くなると温度調整ができなくなるため、気候がガラッと変わる恐れがあるという。




 ここからは私の感想・考察になるが、海底の岩石に水がしみ込んでマントルまで達する可能性は大いにあるとは思う。但し、蒸気機関の原理からも分かるように、水は液体から水蒸気になるときに急激に膨張する。陸地であれ海底であれ、地下の深いところで熱せられた水はいずれ高温高圧になって地表まで上昇し、水蒸気爆発などによって地上に戻っていくのではないだろうか。
 放送でも指摘されたように地球の内部は地球が誕生した頃に比べれば少しずつ冷えている。とは言え、地球引力によって地殻そのものに圧力が加わるはずで、中心部までが凍りついてしまうことはあり得ないと思われる。
 あと、水蒸気爆発が起こらなくても、地殻変動によって、水分を多量に含んだ岩石層が地上付近に浮き上がってくる可能性もあると思う。

 もし6億年後に海が消滅したとすると、地球上の多くの生物は死滅するに違いない。もっとも人類が今の遺伝子のまま6億年後まで存在し続けるとは思えない。海の消滅よりも前に起こりそうな危機としては、海中の酸素濃度の低下、塩分濃度の上昇が挙げられる。いずれも海に棲む生物たちにとっては致命的な打撃になる。もちろんその時には陸上生物も同じように打撃を受けるだろう。

 今回の話題ではもっぱら海底にしみ込む量が取り上げられていたが、海水がどれだけ蒸発するのかも合わせて考える必要があるだろう。蒸発した水自体はいずれ雲となり雪や雨となって地表に降り注ぐため総量では過不足は生じないが、空気中の湿度、あるいは雲の発生量などは気候に大きな影響を及ぼす。

 次回に続く。