じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 12月10日の夕刻は西空に雲が出ていたが、太陽の周りだけ晴れ間があり、昨日に続いて2日連続で「京山皆既日食現象」を眺めることができた。
 なお、11日以降は日没の方位は左方向(南方向)に移動。再び「皆既日食現象」が見られるのは正月頃となるが、例年この時期は北九州に帰省しているため眺める機会は殆どない。

2022年12月11日(日)



【連載】サイエンスZERO「単細胞の“知性”に迫る 謎多き粘菌の世界」(3)粘菌で探る生命進化

 昨日に続いて、11月13日に初回放送された、NHK「サイエンスZERO

単細胞の“知性”に迫る 謎多き粘菌の世界

のメモと感想。

 放送の終わりのあたりでは、粘菌を対象として、生命が多細胞化に至った進化の謎を探るという研究が紹介された。なお粘菌にもいろいろな種類があり、放送前半で取り上げられていたのは真性粘菌・変形菌、この後で取り上げられるのは細胞性粘菌ということであった。

 生命は進化の過程で単細胞から多細胞になったとされているが、どのようなきっかけで多細胞化し分化したのかは分かっていないという。細胞性粘菌はふだんは単細胞のアメーバ状態で土壌に棲息しているが、ひとたび飢餓状態に陥ると、一斉に集まり「移動体」と呼ばれるナメクジのような形を作り、あたかも多細胞生物のように振る舞う。集まった単細胞は約10万個にもなるというからスゴイ。

 桑山秀一先生(筑波大学)の研究室では、ナメクジのような形を作らず、代わりに波のような形を作る細胞性粘菌に注目している。この種類の粘菌には、ぶつかってもすり抜けるという興味深い特徴がある。放送では波状(←糸状?)の2つの粘菌(←粘菌の集団)がぶつかったあとも元の形状をそのまま保持している映像が紹介された。この現象は桑山先生が世界で初めて発見したものであるという。粘菌集団の中の単細胞が光るような特殊な処理をして観察したところ、すれ違いの瞬間に2つの集団の中の細胞が部分的に入れ替えられていることが分かった。細胞1つ1つが全体の形を記憶し、入れ替わった細胞に元々の形の情報を伝えている可能性があると指摘された。こうした情報伝達の仕組みは、多細胞生物の臓器などがどのように形成されたのかを解明するカギになるという。

 多細胞生物の形については11月27日の日記でも言及したことがあった。例えば、シマウマの縞模様などもそうだが、必ずしも創造主や設計図や現場監督のようなものはなくても、数式で表現可能な細胞間の相互作用の法則に基づいて形成されている可能性があり、臓器の形成・分化もおそらくそのようなプロセスが働いていると思われた。

 なお、放送の中で何度か言及された「アメーバ」であるが、私は子どもの頃から、ゾウリムシやプラナリアと同じく、アメーバという名前の特定の生物が存在するものだと思っていた。しかしウィキペディアでは、
アメーバ(amoeba, ameba, am?ba)は、単細胞で基本的に鞭毛や繊毛を持たず、仮足で運動する原生生物の総称である。また仮足を持つ生物一般や細胞を指してこの言葉を使う場合もある。ギリシャ語で「変化」を意味する αμοιβη に由来する。
と説明されており、何がアメーバで何がアメーバでないのか、その基準は曖昧であるように思われた。アメーバと粘菌との関係については、
粘菌類では生活環のある時期でアメーバのような姿をとる。細胞性粘菌では、小さなアメーバ状の細胞が多数集まって子実体のようなものを形成して胞子を作る。一方、変形菌(真性粘菌)の変形体は、巨大な多核の細胞が原形質流動によって運動するため、これを粘菌アメーバなどと称することもある。特に発生初期の小型のものではアメーバとあまり差がない。他群との類縁関係に関する考え方に非常にふれの大きかった群であるが、これら粘菌類は実は典型的なアメーバ類と近縁であり、巨大な変形体と耐久胞子をよく発達させたアメーバ類と見なせる、というのが現在の考え方である。
と説明されていた。