じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 11月22日は、北九州市立美術館本館を訪れ、さらにその周辺の森を歩いた。写真は建物入り口付近にあった「四季桜」。秋から翌春に咲く桜は岡山でも見かけるが、この写真の樹は花数が多く、春がやってきたのではないかと錯覚するほどである。
※四季桜、十月桜などの区別についてはこちらを参照。

2022年11月23日(水)



【連載】ヒューマニエンス「“数字” 世界の秘密を読み解くチカラ」(1)

 11月15日に初回放送された、

NHK ニューマニエンス「“数字” 世界の秘密を読み解くチカラ

についてのメモと感想。

 ちなみに、このヒューマニエンスでは

「言葉」→「文字」→「数字」という順番で取り上げられたことがあった。放送順と同じく、人類の歴史においても、これらが誕生した順番は、

「言葉」→「文字」→「数字」

ではないかと思われるが、今回の放送では「文字」よりも「数字」が先、およそ2万年前に使われていたと説明されていた(文字はおよそ5000年前)。もっとも、具体的な事物を表す「文字」から独立して抽象化された「数」だけが使われるようになったのは計算術や数学が進歩した後ではないかと思われるし、具体的な事物は常に個数や量と一体化して使われていたと思われるので、「数字が先か、文字が先か」という議論はあまり意味をなさないような気もする。

 ちなみに「文字」の放送回のところで紹介されていたが、人類の歴史全体を100で表すと、そのうち97%は音声言語のみで文字のない時代、残りの3%においても文字は特権階級に占有されており、ほとんどすべての人が文字の読み書きをできるようになったのはほんの数百年に過ぎないと指摘された。

 さて、まず先に、今回の「数字」の放送回について全体的な感想から述べておくが、内容的には興味深いものであったものの、それらが本当に「数字」の話題であったのか、あるいはヒューマニエンスとして取り上げるのにふさわしい話題であったのか、については首をかしげるところがあった。
 なぜなら、前半で取り上げられた「12」や「ゼロの発見」では、「12」の性質や、ゼロという数の概念の発見が重要なのであって、数字としてそれをどう表すのか、それほど重要ではないように思われる(記数法自体は重要だが)。
 後半の花びらの数や動物の模様の仕組みについての内容はまことに興味深い内容であったが、そこで紹介された法則性は、人類の存在とは独立して存在するもの、つまり数字とは無関係であった。
 いずれにせよ、「数字」というのは、「数を表す文字」なのであって、それ以上でもそれ以下でもない。ヒューマニエンスとして取り上げるのであれば、数の概念の拡張、もしくは(番組の後半で一部言及されたが)人間の体の成り立ちが数学の法則に基づいていることに焦点をあてるべきであったように思われた。

 ここからは放送内容に戻るが、放送の最初のあたりでは、10進数の歴史や12進数の長所などが解説された。人類が主として10進数を使っているのは左右の手の指の数が合計10本であるためと考えられる。いっぽう12進数は約数が多いため物を平等に分けることに適している。親指以外の4本にはそれぞれ関節によって3カ所に分かれており、それらを1カ所ずつ数えれば12となる。イラクやイランでは今でも使われているらしいというが、実例は示されなかった。
 ピアノの鍵盤も1オクターブのうちに白鍵が7、黒鍵が5で合計12となっている。1オクターブを12に分けた時が最も気持ちのいい音階になっているという。

 放送では続いて、各辺が3、4、5となる直角三角形を用いた測量法が古代エジプトから現在の建築まであらゆるところで活用されていることが紹介された。このほか、ピタゴラス音律が改良されてバッハの12平均律に発展したことなども紹介された。

 なお、3、4、5というピタゴラス数が合計すると12になることについて放送では「偶然の一致で不思議なことだ」と語られていたが、偶然ではなく必然であると言うべきであろう。これは「12」がなぜ不思議な数なのかという意味づけの問題にも関係してくるが、仮に「12は、3等分も4等分もできるから不思議だ」と考えるのであれば簡単に証明できる。

●4の倍数より1つ少ない数から始まる連続した3つの自然数は常に4の倍数となる。なぜなら(4n−1)+4n+(4n+1)=12n ←3の倍数であり、かつ4の倍数。最小値はn=1の時なので合計は12。

また、3の倍数から始まる連続した3つの自然数のあいだでピタゴラスの定理が成り立つためには、

(3n)2+(3n+1)2=(3n+2)2

となる必要があるが、この方程式を整理して因数分解すると、

(3n+1)(nー1)=0

となり、これを満たす自然数nはn=1に限られることから、連続した3つの自然数の組は3、4、5に限られることが証明できる。【3つの自然数を、4n−1、4n、4n+1としても、n=1に限られることは証明できる】

 次回に続く。