じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 半田山植物園の皇帝ヒマワリ(ニトベギク)。このところ最低気温が10℃を下回る日が続き開花が進んでいるが、2〜3m以上の高い枝に花をつけるため接写はむずかしい。


2022年11月06日(日)



【連載】チコちゃんに叱られる!「様と殿」「なぜ地球に空気がある?」

 11月5日(11月4日は、岡山では別番組)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。この回は、
  1. 様ってなに?
  2. なぜ地球には空気がある?
  3. 【週刊チコニュース】なぜサンマが取れなくなった?
  4. だるまさんがころんだはなぜだるまさんがころんだという?
という4つの話題が取り上げられた。本日はこのうちの1.と2.について考察する。

 まず1.の「○○様」であるが、放送によれば、
  • 「様」という言葉時代は奈良時代以前から状態を表す言葉として使われていた。『竹取物語(竹採物語)』で、「苦しがる状態」を「くるしがりたるさま」などがあり、今でも使われている。
  • 平安時代中頃の『枕草子』では、雨が「よこさまにふる」という記述があり、「のほう」を表す言葉としても使われるようになった。また、『更級日記』の中には「京のほうへ行く」という意味で「京さまへいく」という表現がある。このほか「御所様=御所のほう」、「山様=山のほう」このように、方向や場所に名前をつけて「のほう」を表すようになった。
  • いっぽう、この頃には目上の人を呼ぶ時には「殿」という言葉があった。これは奈良時代以前から「屋敷」という意味で使われており、名前で呼ぶのは失礼であるため、住んでいる屋敷で呼ばれた。当時は「鎌倉殿」は「鎌倉に住む人」、「鎌倉様」は「鎌倉のほう」というように使い分けられていた。
  • 「様」が目上の人を呼ぶ時につけられるようになったのは室町時代以降。この頃は「殿」が、「婿殿」、「主殿(あるじどの)」、「母殿」、あげくのはてには「猫殿」、「猿殿」というように以前にもましていろいろな言葉につけられるようになった。そのため「殿」はもはや目上の人につけるのはどうかという表現になった。
  • こうして「様」が代わりに使われ始めるようになった。しかし、「殿」と「様」の使い分けは自然発生的であったため、使われ方はマチマチであった。例えば、「との(殿)」、「おやかた様」、「上様」、「(家康)殿」、というように使い方は混乱していた。この傾向は昭和まで続いた。
  • 1952年3月に文部省から発行された『これからの敬語』では、
    ●「さま(様)」は,主として手紙のあて名に使う。
    ●公用文の「殿」も「様」に統一されることが望ましい。
    と提案され広く受け入れられた。
  • 表彰状、賞状では、今でも「殿」が使われる。これは「様」は目上の人に使う敬語なので、立場が下の人に渡す表彰状などには使いにくいため。

 ここでいったん私の感想・考察を述べさせていただくが、文部省が『これからの敬語』を発表した1952年といえば私が生まれた年であり、私自身は「様」オンリーの時代で生まれ育っているはずなのだが、いまだに「殿」が使われる場合があることを見ると、「様」が完全に定着したとは言えないようだ。
 「様」と「殿」につけられる言葉としては、他にも、「貴様」と「貴殿」があるが、「貴様」は今では相手を軽蔑する乱暴な表現になっている。いっぽう「貴殿」は目上の人を呼ぶ表現として定着している。時代劇では「殿様」や「殿」という呼び方はよく聞くが「様」は単独では使われる「上様」になる。何か、深いところで使い分けのルールがあるのかもしれない。




 次の「なぜ地球には空気がある?」という話題であるが、これは厳密には、
  1. なぜ地球には大気があるか?
  2. なぜ地球の大気には酸素が含まれているのか?
  3. 【放送で最初に言い換えられた疑問】私たちは空気を吸って生きているのに、宇宙では息ができないのはなぜ?
というように分解して考える必要があるだろう。
 放送では正解は「地球に重力があるから」と説明されたが、これは1.の疑問を部分的に説明しているに過ぎないと思う。放送ではこの重力がある原因について、
●重力というのは、物質の持つ質量とエネルギーが時空をひずませて、そのひずみが物質の運動に影響を与えて、その影響を受けた物質がさらに時空をひずませ...
と解説されたが難解のため打ち切られた。代わりに、
●重力というのは簡単に言えば「引っ張る力」。重力に引きつけられて地球の周りに空気が溜まっている。
と説明された。
 惑星の空気は、もともと宇宙に漂っていたガスや岩石(に含まれている気体)が重力で引きつけられた時に生成される。太陽系には地球以外にも空気を持つ惑星があり、火星の空気は二酸化炭素が95%、窒素3%、アルゴンなど2%、また木星の空気は水素90%、ヘリウムなど10%で構成されている。月にもナトリウム80%、カリウム20%の空気があるという。地球の空気ももともとは二酸化炭素・メタンガス・水蒸気などで構成されていたが、その後雨となって海ができて、その海に生息するバクテリアが光合成が行われたことで酸素ができた。この説明は上記の2.の説明になる。
 放送ではさらに、宇宙空間は空っぽではなく実際には何かで満たされていること、そのうち5%はガスやちりや星や銀河であるが、残りの95%については何なのかよく分かっておらずダークマターとかダークエネルギーと呼ばれている。ダークマターによる重力の影響を仮定すると星や銀河の動き、さらに宇宙の始まりや将来をうまく説明できるようになる可能性がある。このダークマターは私たちの体を通り抜けており、その量は1秒間に10億個にも及ぶという。

 ここからは私の感想・考察になるが、上記で3つに分解した疑問のうち1.については、放送で取り上げられた重力の影響以外にもいくつかの条件を考える必要があるように思う。特に、温度の条件は重要であり、あまりにも寒すぎると凍りついて液体、さらに固体になってしまうため、大気を構成することは殆どできない。
 地球に酸素が多い理由としてはシアノバクテリアの働きが重要。但し「ヒューマニエンス」や「サイエンスzero」でも説明されていたように、シアノバクテリアが活発に活動するためには地球の自転の速度が18時間程度まで長く延びる必要があること、さらに月のチカラなども影響しているようである。

 上記の3.の疑問については放送では何も説明されていなかったが、気圧差を利用した呼気の仕組み、肺の中での酸素と二酸化炭素の交換の仕組みなどを説明する必要があるだろう。

 次回に続く。