じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 半田山植物園内をウォーキング中、桜の老木の皮をつついているキツツキのつがいを目撃した。野鳥については何も知らない私であるが、野鳥観察中の高齢女性からコゲラであると教えてもらった。

2022年10月20日(木)


【小さな話題】最近視たTV番組から「ポツンと一軒家:CW.HIDEAWAY」「カンブリア宮殿:水戸岡鋭治さん」
  • 2022年10月16日放送、ABCテレビ系、ポツンと一軒家 「ログハウスに露天風呂…レンガ洋館!?ロマン溢れる夢の家」【Tverで10月24日まで視聴可能】
     2時間SPということで2箇所の「一軒家」が紹介されたが、特に前半の隠れ家、「CW.HIDEAWAY」」が興味深かった。この「一軒家」は福岡県の冷水峠から山奥に入ったところにあった。ちなみに、冷水峠は、妻の実家がある北九州と、いくつかの親戚のある朝倉市、久留米市方面を往復する際に何度か通ったことがあり、映像を見ただけで「トンネル」というのは冷水峠のことではないかと直観したところ、まさにその通りの場所であった。ちなみに、妻は、前回、今回の取材地近くの別の「一軒家」が紹介されていた時に、そこの住人のしゃべり言葉の特徴だけから、取材地が朝倉の近くであると言い当てた。地域の特徴は、しゃべり言葉に強く反映しているようであった。
     特に興味深かったのは、「隠れ家」の参加者(平均年齢74歳、主要メンバーは11人)のお仕事が、建築業(リフォーム)、空調工事(ダクト設置)、元トラック運転手、元眼鏡販売業、建築士など多種多様で、「隠れ家」施設はすべて参加者がそれぞれの特技を活かして自力で造り上げたものであった。「ポツンと一軒家」というと大概は山奥で農業を営む70歳〜90歳ぐらいのお年寄が紹介されることが多く、内容も、若い時の苦労話、今の生活ぶり、町に住んでいる孫たちが時たま遊びに来ることを楽しみにしている、といった内容になることが多いように思われるが、この「隠れ家」の参加者たちはそこで生計をたてているわけではなかった。この「隠れ家」での行事は、「5月のキャンプ」、カントリーミュージックのコンサートやダンス、というように、伝統的な風習とは異なるイベントを取り入れているとこがユニークであった(但し、元日の鏡開きもあり)。山村での生活というと、よくあるのは、村の神社でのお祭りとか盆踊りといった行事を中心に住人たちが共同作業をするというのが一般的であるように思うが、この「隠れ家」では地域の伝統的な風習には縛られず、若い頃の趣味や夢を実現させるためのユートピア建設を目ざしているようにも思われた。
     もっとも、この「隠れ家」が一般的な「ポツンと一軒家」に該当するのかどうかはやや疑問がある。「CW.HIDEAWAY」(CWは「冷水峠」を直訳した「Cool Water」に由来)はGoogleマップでも検索可能であるが、冷水峠の旧道(トンネルに入らない旧国道)の分岐からは車でわずか2分という近さにあり、必ずしも山奥とは言いがたい。やはり、このタイプでは、都会での日常生活がベースにあり、休日限定の特別な休息の場としてのみ、「隠れ家」が機能しているように思えた。

  • 2022年10月13日放送、TV東京系、カンブリア宮殿「稀代のヒットメーカー 鉄道から街へ広がる"感動体験"
     豪華寝台列車「ななつ星in九州」などさまざまな鉄道車両、建築物などのデザインで知られた水戸岡鋭治さん(ドーンデザイン研究所代表取締役)が紹介された。ちなみに、研究所の名称「ドーン」は、水戸岡さんがのんびりしていて不器用で鈍臭い少年だったことから、「鈍治(ドンジ)」というあだ名がつけられていたことに由来している。放送の中で、いくつか参考になった言葉を挙げさせていただくと、
    • いつも6歳以下の子どもたちと定年退職した65歳以上の人を対象にデザインしている。この2つが納得するものができると、放っておいても真ん中の人は納得する。
    • 電車の外観・内観も衣装・テキスタイルも車内の絵も、基本的には一人でデザインする(分業に任せない)。そのためには信頼が大事。信頼が深ければ深いほど、思い切った仕事ができるし全力で働けるし、プレゼンもしなくていいし、途中で止められることもない。
    • 【デザインしたものを「作品」ではなく「商品」だとすることについて】私はデザイナーであり作家ではない。自分の思いを表現する係ではない。多くの人が希望していることを取材して正しく翻訳して、時代の「用途」「美」を重ねて色、形、素材、使い勝手、サーブ巣を作る係。作家ではない。だから「商品」。
    • 当時のJR九州は「壊れちゃいけない」とか「メンテナンスを簡単にしろ」とか、つまらないことばかり言った。職人さんの技を発揮することではなく、守りに入っていく。だから職人さんに「壊れたらすぐに作ればいい。仕事が増えていい」と言うとほっとする。職人さんに「やる気」とか「夢」を与えて、一緒になって神輿をかつぐように祭りのように一気呵成に走り抜けた仕事。
    • デザインには一つ一つにちゃんとした物語がある。僕たちは動物なので五感がある。かけたエネルギーはちゃんと感じる。人に合った時になぜか感じるものがある。それはエネルギーであり生命力。
    • 予算は最初から足りない。予算というのはもともと専門家が計算して合理的に決めているので元々足りないのに決まっている。予算の枠に収まったがヒットしないのと、オーバーしたがヒットするのとどぢらを選ぶか。いつもオーバーで始末書を書く。
    • 【仕事を受ける基準は?】まずは依頼主が金儲けではないこと。稼ぎ仕事ではないこと。利便性と経済性は追求するが、文化とか情緒を持っている人。
    • 本当は仕事を辞めたい。ヨーロッパへ行った約2年間が唯一の豊かな旅で、あとはずっと働いている。仕事を辞めたら、本当に描きたい絵を描きたい。ずっと人に頼まれた絵を描いていて、今は頼まれないと描けない人になっている。
    などなど。
     このほか、JR九州4代目社長(現・取締役相談役)の唐池恒二さんは、放送の最初のほうで、
    水戸岡さんは妥協しない。水戸岡さんとのコンビで10本以上の列車を作ったが、斬新なデザインは実は飽きられる。斬新なデザインながら飽きがこないという稀なデザイン。これはなかなかできるようでできない。
    と評しておられたことも印象に残った。