じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 ウォーキング中に遭遇したジョロウグモ。接近しても殆ど逃げないが、威嚇のためか、枯葉などの遺物を振り落とすためなのか、自分から網をゆらすような動作が見られた。

2022年10月17日(月)



【連載】チコちゃんに叱られる!「蜂蜜が花の蜜より甘い理由」「人前で自分の気持ちを伝える」

 昨日に続いて、10月14日に初回放送された表記の番組についての感想・考察。本日は、
  1. スウェットの首元にあるV部分ってなに?
  2. 寿司屋が「粉末状のお茶」なのはなぜ?
  3. ハチミツが甘いのはなぜ?
  4. 【ひだまりの縁側で・・・】「人前で自分の気持ちを伝えられるようになりたい」
という4つの話題のうち、残りの3.と4.について考察する。

 まず3.の疑問は、正確には「なんで花の蜜よりハチミツのほうが甘いの?」というものであった。私は、蜂の消化酵素で甘い物質に変わるから、と思っていたが、これでほぼ正解であった。放送では「ハチとハチがキスしているから」が正解とされた。
 放送によれば、花の蜜とハチミツは成分的にまったくの別物。ハチミツが人間に作れない理由は、
  1. 人間が花の蜜をたくさん集めるのは不可能だから。実際にスタッフが蕎麦の花畑で蜜を集めようとしたが、8時間かけても1滴しか集められなかった。
  2. ハチとハチがキスをしているから。

 この2番目の理由だが、放送によれば、ミツバチには、外で花の蜜を集める係のハチと、巣の中でハチミツを作る係のハチがいる。蜜を集める係のハチは、花から蜜をとると体内の蜜専門の袋にそれを貯蔵する。その袋がいっぱいになると巣に戻り、ハチミツを作る係のハチに口移しで蜜を渡すが、その際に両者の唾液が蜜に混ざる。唾液は花の蜜の成分である蔗糖をブドウ糖と果糖に分解する。このうち果糖には人間の味覚が強く反応するため甘味を感じる。またブドウ糖の一部は唾液によって酸味のある物質に変化するため、酸味のあるフルーティな味になる。この変化は2〜3カ月かかる。
 ミツバチが巣にため込む蜜は寒い冬を乗り越えるための保存食となるが、蜜には水分が約60%も含まれているため、そのままでは腐ってしまう。そこでミツバチは翅を羽ばたかせて水分を蒸発させ、微生物が増えない糖度まで完成させる。ミツバチ1匹が一生のあいだに採取できるハチミツの量はスプーン1杯分に過ぎないという。
 なお、子どもの頃に、ツツジの花の付け根をスパスパ吸って蜜を味わう遊びをしたことがあるが、放送によればツツジの種類によっては毒があるため、蜜を吸わないでくださいと警告された。

 ここからは私の感想・考察になるが、ハチやアリの分業についてはこれまでにもいくつかの教養・雑学系番組で紹介されたことがあり、ある程度は知っていたが、ミツバチで蜜を集める係と蜜を作る係に分かれているということは今回初めて知った。ミツバチの生態についてはウィキペディアにも詳しく書かれているが、蜜を集める係と貯蔵係がどのように分かれるのか、あるいは生まれてからの日数により係を交代するのかについては特に記述はなかった。ネットでさらに検索したところ、こちら(ハチ110番)に「日数分業」という説明があり、日数については環境や個体差があるものの、だいたい、
  • 〜5日目 巣の中の掃除をする
  • 3〜12日目 下咽頭腺が発達してローヤルゼリーを作れるようになると、幼虫や女王蜂の世話をする
  • 8〜16日目 ろう腺が発達して蜜ろうが作れるようになり、巣作りをする
  • 12〜18日目 下咽頭腺が再発達して酵素を分泌できるようになり、ハチミツ作りをおこなう
  • 16〜24日目 門番として外敵から巣を守る
  • 20日目〜 巣の外に出て花の蜜や花粉を集める
というように役割を交代していくと説明されていた。

 ミツバチについて私がよく分からないのは、いくら越冬用の保存食とはいえ、なぜあれほど大量に蜜を貯蔵する必要があるのかということであった。秋季に個体数を減らして卵だけで越冬し、春になってから一斉に孵化して蜜集めを行えばもっと効率的に繁殖ができるのではないかと思われるのだがよく分からない。ま、ミツバチ自体は人間が利用しやすい種だけを選んで飼育しているため、より多くの蜜を集める種に淘汰されている可能性もあるが。




 最後の4.は「ひだまりの縁側で・・・」での相談のお便り(15歳の女の子)であり、正確には、
 私は人前で自分の思っていることを伝えることが苦手で、つい多数派の意見に合わせたり、自分の意見と違っても相手の顔色を見て共感したりしてしまいます。そういうことをするのをやめたいと思ってもなかなか行動を変えることができず、後からモヤモヤしてしまいます。人前で自分の気持ちも伝えるようになりたい! そのために心がけていくことを教えてもらえませんか?
というものであった。これに対してチコちゃんは「この多感な時期にこういうこと思うのね。でもヤモヤする気持ちって大事じゃないかしら。でもそんなに気にすることはない。身近な友だちからちょっとずつ言っていけばいい。」というように回答しておられた。岡村さんも、自分の本当の思いを伝えるのは難しいと語っておられた。

 このことについての私自身のアドバイスだが、まず、「自分の思っていること」というのが、何かの目的を達成するための手段についての提案なのか(「こうしたほうがいい」)、それとも単なる好みの問題なのか(「○○に行きたいという人が多いけれど、私は××のほうに行きたい」)によって異なるとは思う。また15歳の女の子の場合、「人前」とか「多数派」というのは学校のクラスの中での仲間である場合が多く、ちょっとした気分の変化だけで大勢が決まってしまう場合が多い。しかし世の中はそういう集団ばかりとは限らない。なので、高校のクラスのような環境のもとでは、別段、自分の思いを伝えなければならないという必要性は無いように思う。大学進学や社会人になったあとで、自分の思いと集団の多数派の価値観が大きく異なるような場合は、価値観を共有できるような別の集団(サークルなど)に移籍すればよいし、方法論の問題で他の人を納得させられないような場合は、説得の話術にさらに磨きをかければよい。それも難しいという場合は、他者との交流が少なくて済むような仕事や環境を選べばよいだろう。

 なお、人前で自分の思いを伝える度合いには文化的な違いもあるようだ。以前、トルコから来た女子留学生が「トルコでは、友だち同士でも自分の考えをはっきり言い合う。考えが違っていてもそれを認め合うことで友だち関係を維持できる。いっぽう日本では、考えや価値観が一致しないと友だちになりにくい、あるいは集団に溶け込めないという同調圧力がある」と語っていたことがあった。あくまでその学生の個人的な見解ではあるけれども、とにかく、日本では多数派に同調したほうが暮らしやすいという圧力があり、私のようなマイペースを固守する者には居心地の悪い環境になっていることは否めない。といっても、時代とともに、価値観の多様性が叫ばれたりしていて、一概にそうは言えない部分もあるが。