じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 10月4日(火)は半田山植物園が休園日のため、代わりのウォーキングコースとして旭川土手を歩いた。昨年の今頃は旭川は渇水のため、干上がった洗堰の上を通って旭川最大の中州に渡ることができたのだが、今年は写真のように水位が下がらず、中州を「探検」することはできそうにもない。なお、中州の「探検」内容は以下の通り。
 なお岡山では10月4日の最高気温が30.9℃まで上がり、10月1日以降4日連続で真夏日を記録した。各種報道によれば、岡山市では、2022年の真夏日の数がこれで93日となり、1891年の統計開始以来の過去最多を更新中。

2022年10月5日(水)



【連載】チコちゃんに叱られる!「パン屋さんのセルフサービス」「お蔵入り」「息切れは酸素不足ではない」

 9月30日に初回放送された表記の番組についての感想・考察。この回は、
  1. パン屋さんがセルフサービスなのはなぜ?
  2. お蔵入りの「くら」ってなに?
  3. なぜ走ったあと息切れして苦しくなる?
という3つの話題が取り上げられた。

 このうち1.のパン屋のセルフサービスというのは、「焼きたてパン」を売り物にした高級パン屋で始まったものであろうと思っていたが、このような形で販売しているパン屋さんは私が子どもの頃には近隣では見かけなかった。放送では、この販売方法を始めたのはアンデルセンであり、順調に成長を続けていたアンデルセンが1967年、広島市中心部の本通り商店街にある旧帝国銀行広島支店の建物を購入したことに始まる。この経緯はこちらの記事(2016年)にも詳しく紹介されていた。
 それによれば、欧州を視察した創業者夫妻は、ローマの店と同じコンセプトの店を作ることにした。店舗の改装を夫から任された妻・彬子は、ローマの店で見たアイスクリームのショーケースが気に入り、これを2台買い求めたが、改装中だった旧帝銀支店ビル内の柱の1つが邪魔をして、予定していたスペースにショーケースが収まらないことが判明する。結局、パンの売り場にショーケースを置くことを断念して洋菓子売り場に回し、パンは木製のラック(棚)に載せ、客が食べたいものをトレイに取ってレジで精算する方式を採用することにした。建物の使い勝手の悪さからひねり出した苦肉の策だったが、これが評判を呼び、結果的に焼きたてパン屋のセルフサービス方式として、全国に普及していったという。
 私の住んでいる近くにはアンデルセンの店舗は存在しないが、山陽道経由で妻の実家から岡山に戻る途中に小谷SAに立ち寄ってパンを買うことが多い。

 続く2.の「お蔵入り」だが、私は単純に、使わなくなった道具などをお蔵にしまい込むことに喩えて、計画の実行中止などのことをそのように呼ぶものだと思っていたが、放送によれば、お蔵とは倉庫の「蔵」ではなく、歌舞伎などの興行最終日である「千秋楽」の「らく」に由来するということであった。芝居業界で働いていた人たちの中にはもともと露天商だった人たちがおり、言葉を逆さまにすることが多かった(素人を「とーしろー」、ハマグリを「ぐりはま」)。こうして、興業中の芝居が中止になることは「くら」と呼ばれていたが、当て字として「蔵」が使われるようになった。これは舞台の台本を蔵にしまっておくとか、新聞などで何らかの事情で突然公表されなかった記事を「おくら」と呼ぶことから「蔵」と勘違いした「お蔵入り」という表記が広まったという。放送では、チコちゃんの番組でお蔵入りとなった「お風呂でオナラ」のVTRが紹介された。

 最後の3.の息切れについては、酸素不足で脳が頻繁に呼吸をするように指令を出したためだと思っていたが、放送では「苦しくなるのは脳が苦しがっているから」と説明された。私が考えていた説明と異なるのは、血液中の酸素不足ではなくて二酸化炭素を外に出そうとするためという点であった。呼吸というと、酸素を取り込むための「吸う」ばかりを意識してしまうが、体の中の二酸化炭素を外に出すという「吐き出す」も重要な役割を担っている。
 人間の体の中には、血液の中の酸素の量を感じるセンサーと二酸化酸素の量を感じるセンサーがあるが、二酸化炭素のほうが体内の変化敏感であり、二酸化炭素のセンサーからの情報は呼吸中枢に伝えられて吐き出す二酸化炭素の量を計算し、横隔膜などに激しく動くように指令を出す。
 息切れの苦しさの感覚は脳に依存している。ふだんの1分間の呼吸量は5〜6リットルであるが、この時には呼吸は意識されない。それが運動後には1分間に100リットル、平時の20倍もの呼吸量となり、その異常事態を察知した脳は「苦しい」という警報を発するようになる。息切れの苦しさの程度自体は、マラソン選手でも運動不足の人でも同じだが、息切れの時間は運動不足の人のほうが長くなる。息切れの時間が長くなるのは、運動不足の人では効率よく二酸化炭素を排出できないためと考えられる。

 この3番目の話題で1つ疑問に思ったのは、エベレストなどへの登山や、重症者への手当の際には酸素を補給する対策がとられるいっぽう、体から二酸化炭素を排出するための対策は何もとられていないのではないかという点。もっとも、二酸化炭素を排出する仕組み自体はその人の体の機能に依存しているため、治療手段としては難しいのかもしれない。