じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 5月30日の明け方3時38分頃、東の空で木星と火星が大接近している様子を眺めることができた。天文年鑑によれば、最接近は5月29日09時04分で0°38′。なおこの日は金星は見えていなかった。写真下(04時27分撮影)のようにけっこう雲が出ていたようだ。
 火星と木星はともに外惑星なので、金星や水星のように大きく動くことはない。晴れていれば、しばらく、接近している様子を眺められそうだ。

2022年5月30日(月)



【連載】チコちゃんに叱られる!『納豆の辛子』『デジタル体重計のしくみ』

 昨日に続いて、5月27日に初回放送された表記の番組についての感想・考察。本日は、
  1. 悲しいと涙が出るのはなぜ?
  2. 納豆にからしがついているのはなぜ?
  3. デジタル体重計で重さがはかれるのはなぜ?
という3つの疑問のうち、残りの2.と3.について考察する。

 まず2.の納豆に辛子がついているのは「昔は冷蔵庫がなかったから」と説明された。
 江戸時代の初めまでは、納豆は主に納豆汁として食べられていた。当時のレシピ本『料理物語』(1643年)の納豆汁の項目には「吸口(すいくち、薬味のこと)にからしを用いる」と記されており、すでに辛子が使われていたことが分かる。
 江戸中期、体力勝負の職人たちが「早い、うまい、栄養満点」の納豆かけ御飯を食べるようになり、そのさい、納豆売りは納豆と辛子をセットで売っていた。
 納豆は30℃で保存するとアンモニアが大量に発生する。いっぽう5〜10℃では24時間経っても殆ど増加しない。いっぽう辛子にはアリルカラシ油という辛味成分があり、アンモニア臭を和らげる効果があった。冷蔵庫の無かった江戸時代は常温保存しかできないので、辛子をつかって食べやすくしていたと考えられる。
 1960年代後半からは冷蔵庫が普及したため、納豆のアンモニア臭はあまり出なくなったが、昔からの名残で辛子がつけられているという。全国納豆協同組合連合会の『2021年納豆に関する調査』によれば、納豆を食べる人のうち52.5%は辛子を使っていないという。放送ではこのあと、粒マスタードを納豆に入れる食べ方、辛子を捨てずに別の料理に使う方法などが紹介された。

 ここからは私の感想・考察になるが、確かに納豆を購入すると、タレと辛子が必ずといってよいほど添付されている。私は、タレは当然使うが、辛子は一度も使ったことが無く、そのまま捨てていた。私が香辛料を使うのは、刺身のわさびくらいのものであり、辛子も胡椒も自分から使うことはない。理由は素材の味が分からなくなることと、舌がヒリヒリして文字通り「後味」が悪くなるからだ。辛子を添付しないことで1円でも安くなるなら、辛子無しの納豆を販売してもらいたいところだ。




 3番目のデジタル体重計で重さが測れる理由については、放送では「金属の板がひずむから」と説明された。
 アナログ体重計の場合は中にバネがあって、乗るとメモリの板が動くしくみになっている。いっぽうデジタル体重計の場合は、体重計裏側の4隅にセンサーが取り付けられている。センサーには2枚の小さな金属板(ひずみゲージ)が張られており、上から体重がかかると一方は伸びて他方は縮んだ状態になる。それにより2枚の電気の流れ方に違いが生じ【金属板は伸びると電気が通りにくくなり、縮むと流れやすくなる】、この電気量の差を測ることで体重が測定できるという仕組みになっているという。

 ここからは私の感想・考察になるが、確かに、科学技術の進歩によってさまざまな測定器具がデジタル化しているが、それらの原理は「センサーの電気量で測定される」と受け止めており、どういうセンサーがどういう働きをしてどのように電流に置き換えられるのか、については深く考えたことはなかった。
 例えば体温計は、私が子どもの頃はガラス管に入った水銀が膨張することで測定されていた。但し単にガラス管に入れてあるだけでは、脇の下から取り出した後で水銀の位置がどんどん下がってしまう。これをくい止めるためにガラス管の一部が狭くなっていて逆流しないような仕組みになっていると聞いたことがあった【いまでもデジタル体温計を渡されると、水銀を元に戻す癖が抜けずに、ついつい振ってしまう】。そのほか、最高最低温度計はガラス管の中の「虫」を毎日磁石で元に戻して測っていたし、湿度計は湿球のほうにガーゼが巻き付けられており、小さなタンクから水を吸い上げることで気化熱により低くなった湿球と気温の差から湿度を測るようになっていた。小学生時代に体験したこれらの器具にはワクワク感があったが、デジタル式で観測値だけを示されても感動は少ない。
 思い出話をもう少し続けるが、私が子どもの頃は、金物、鋳物、ガラスなどは専門の回収業者が家々を廻って買取をしてくれた。その際には天秤ばかりが使われていた。天秤ばかりは八百屋さんでも使われていた。理科の実験では重さを量る時には上皿天秤が使われていたがこれも分銅の選び方にコツがあった。今の理科の授業でも分銅式は使われているのだろうか。