じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



05月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る


 ベランダで鉢栽培していたホタルブクロが開花。日照不足か栄養不足か分からないが、露地植えに比べると株が増えず、花茎は1本のみであった。

2022年5月21日(土)



【連載】チコちゃんに叱られる!「レバニラ炒めと『天才バカボン』」

 5月20日に初回放送された表記の番組についての感想・考察。この回は、
  1. 「ニラレバ」と「レバニラ」呼び方が2種類あるのはなぜ?
  2. フォークの歯はなぜ4本?
  3. 警察が110番 消防が119番なのはなぜ?
という3つの疑問が取り上げられた。本日はこのうちの1.について考察する。

 「ニラレバ」と「レバニラ」という2種類の呼び方がある理由は、放送では「バカボンのパパのせいなのだ」と説明された。もともと中国料理の料理名は、副材料(野菜)が先、主材料(肉)を後に置いて組み合わせて呼ぶのが一般的であり、今回の料理は「韮菜猪肝」であり、これを日本語に対応させれば「ニラレバ」が正式ということになる。同じような例には「青椒肉絲(チンジャオロースー)」がある。「レバニラ」という呼び方が登場したのは1971〜1972年に放送されたTVアニメ『天才バカボン』で、バカボンのパパが「レバニラ」と言い出したことから日本中に広まっていったと考えられている。当時放送された全79話で何回「レバニラ」と言ったのかを数えたところ、全部で14回も言っていることが確認された。赤塚不二夫先生の行きつけの洋食屋さんでは裏メニューとして「レバニラ」を提供していたというが、赤塚先生ご自身も「レバニラ」と言っていたという。
 2002年NHK放送文化研究所の調査によれば、「レバニラ」と呼ぶ人と「ニラレバ」と呼ぶ人の比率は、当時の40歳代前半のあたりでクロスしており、それより年長者では「ニラレバ」、それより若い世代では「レバニラ」が多くなっている。このことは、『天才バカボン』が放送されていた1971年当時に10歳くらいだった子どもたちが放送の影響を受けて「レバニラ」と呼ぶようになった可能性を裏付けている。
 なお、バカボンのパパが「レバニラ」と呼んだのは、テレビのことを「ビレテ」、「おめでとう」のことを「うとでめお」というように、逆さ言葉を好んだことに関係しているため、と推測された。

 このほか、日本人にとっては、「レバニラ」のほうが「ニラレバ」よりも発音しやすいという理由が考えられるという。日本人は「ラリルレロ」の「ラ行」は50音の中で最も舌を動かす発音であるため、「ニラレバ」のように「ラ行」が連続する言葉は発音しにくいという。いっぽう「レバニラ」は、ラ行の音の間に「バニ」が含まれているため言いやすくなっており、浸透していったと説明された。

 ここからは私の感想・考察になるが、まず、説明の終わりのところで言及されていた「日本人にとって、ラ行が連続する言葉は発音しにくい」というのは、自分自身で発音してみてもその通りかと思う。このような言葉は「ニラレバ」以外にも無いだろうかと考えてみたが、
  • トレーラー
  • ラリー
  • 切られる、知られる、釣られる、見られるなどの受け身形
  • 歌詞の「ラリラリラー」
  • たられば
程度しか思い浮かばなかった。このうち「〜られる」については「ら抜き言葉」が定着しつつあり、言いにくい「られ」を「れ」に縮小した可能性はある。また、「たられば」については「ればたら」という代用もあるということで、もしこの先、「ればたら」の使用比率が増えていくとしたら、「られ」を避けるという上記の説の傍証になる可能性がある。

 次に、『天才バカボン』の話題だが、1971年といえば私が大学に入学した年であったが、バカボンのアニメを視聴したことは殆ど無かった。もっとも『週刊少年サンデー』は、大学の資源回収所から拾ってきて、実験室の溜まり場で毎回読んでいた。

 『天才バカボン』の一番の謎は、苗字が無いこと。バカボンもパパも苗字で呼ばれることは一度も無かった。
 また、マンガのタイトルが「バカボン」になっているのに、実質的な主人公は「バカボンのパパ」というのも興味深い。同じように、主人公が連載の途中で入れ替わったマンガには『トイレット博士』がある。
 バカボンのマンガについての「よくある質問」についてはこちらに公式回答があり、興味深い回答を備忘録代わりにいくつか引用させていただく。
  • Q バカボンのパパの鼻の下にあるのは、ヒゲですか? 鼻毛ですか?→ヒゲが正解
  • Q バカボンのパパが頭につけているのは、ハチマキですか?リボンですか?→リボン型の鉢巻き
  • Q バカボンのパパが嫌いな食べものを教えてください。→チクワ
  • Q ウナギイヌは、イヌですか? ウナギですか?→母がウナギで父がイヌ。動物の種を越えた新しい生き物
  • Q バカ田大学では、どんな勉強をしているのですか?→バカ田大学には、医学部、考古学部、生物学科、スケベ学部などがあり、パパは哲学科を主席で卒業した
 なお、バカボンのパパの名言「これでいいのだ」は、アドラー心理学の「課題の分離」に繋がるところがあるという。上掲のように、バカボンのパパはバカ田大学哲学科を卒業しているということなので、この名言は哲学的な深い省察の帰結として導き出されたものであったのかもしれない。

 次回に続く。