じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 5月15日の夜は久しぶりに晴れていて、南の空、金色の大黒天像の真上に、月齢14.6の月(満月は翌日5月16日の13時14分)が輝いていた。なお、今回の満月の前後は皆既月食となるが日本から見られない。また15日と17日には2等星の星食が見られる。この写真の撮影時はちょうどのてんびん座α2の星食の最中であったため、単に月だけが見えていた。なお、α2という表記は、てんびん座のα星が光学二重星であるためで、α1は5.2等、α2が2.8等となっている。空気が澄んでいれば肉眼で見わけられるというが、私のような老眼・乱視では、二重星でなくても2つに見えてしまう。


2022年5月16日(月)



【連載】チコちゃんに叱られる!「土曜日が青色のカレンダー」「浮世絵の顔はみな同じ」

 5月13日に初回放送された表記の番組についての感想・考察。本日は、
  1. 小学校で逆上がりをするのはなぜ?
  2. カレンダーの土曜日が青いのはなぜ?
  3. 浮世絵の顔がみんな同じなのはなぜ?
という3つの話題のうち、残りの2.と3.について考察する。

 まず2.のカレンダーの土曜日が青い理由だが、放送では「オイルショックが起きたから」と説明された。放送によれば、
  • 庶民がカレンダーを使うようになったのは江戸初期であったが、この頃は伊勢暦であり、「火水木金土」は星占いの材料として使われていて順番はバラバラであり、今と同じ曜日の概念は無かった。
  • 明治6年(1873年)、『改暦の布告』により現在の太陽暦が使われるようになり、この時から現在と同じ曜日という概念が生まれ、1週間が日、日曜日を休みとする人々が次第に増えた。
  • 色がついたカレンダーは戦後になってから。欧米で日曜祝日が赤で表示されていたが、これにならって日本でも日曜日を赤で表示するカレンダーが登場した。じっさい1951年のカレンダーではそのようになっている。
  • 1973年のオイルショックによって省エネルギー、省資源という言葉が広がり、営業時間を短縮したり土曜日を休みにするお店や企業が増えてきた。そこでカレンダーも1974年版からは、土曜日は黒から青で表示するカレンダーが登場した。
  • 1974年当時の印刷の4原色は、黒、赤、黄、であったが、このうち黒は平日、赤は日曜・祝日に使われていた。また黄色では文字が読みにくくなるため、消去法でで表示されるようになった。
  • なお、カレンダーの曜日の色には世界的な決まりはなく、例えばイギリスのカレンダーには土日は緑色というものがある。
 ここからは私の感想・考察になるが、私自身はそもそも土曜日が青色で表示されているかどうかについて注意を向けたことがなかった。改めて我が家の壁に吊ってあるカレンダーをチェックしたところ、土曜日の表示は、4種類のうち3種類が、残り1種類は黒となっていた。このほか、Yahooカレンダーはで表示されていたが、Windows10のカレンダーのほうは土日祝日を含めてすべて黒字となっていた。
 土曜日が青字になったは1974年以降であるという話も、もともと色に注意を向けていなかったため、全く確信が持てなかった。1973年以前のカレンダーは1つも残っていないため自分で確かめることはできなかった。

 余談だが、カレンダーには、左端が日曜日から始まるものと、右端が日曜日になるものの2種類がある。私のところにあるカレンダーは左端が日曜日のものが多いが、Yahooカレンダーでは左端は月曜日で、右側に土日が並んでいた。どちらが便利かというのは、使用者の日常の過ごし方にもよるかと思う。例えば、土日の丸2日を使ってキャンプに出かける人であれば、土日が右側にきているほうが予定を書き込みやすい。週の始まりが日曜日か月曜日かについては、ウィキペディアにいろいろな事例が挙げられていた。




 最後の4.の浮世絵の顔だが、これも普段注意を向けていないので気づかなかった。「みんな同じ」というが、写楽の作品などはそれぞれに個性があり同じとは言いがたい。
 放送によれば、浮世絵の顔がみんな同じなのは「顔はどうでもよかったから」と説明されていた。当時、浮世絵は新聞・雑誌・テレビといったメディアの役割をしていた。浮世絵には名所絵・役者絵・美人画といったジャンルがあるが、この中で、美人画をあえて同じ顔になるようにしたのは、髪型・衣装・しぐさなどトータルの美しさを表現したためであるという。但し、「みんな同じ」といっても10〜20年周期でスタイルや顔が変化しており、1760年代から1790年代を比較すると、
  • 1760年代:細身で気弱な美少女
  • 1770年代:顔つきが大人っぽい女性でどっしり型
  • 1780年代:体型が8等身のモデル系美女
  • 1790年代:アップを多用する熟女ブーム
となっているという。
 美人画にはいろいろな謎解きが隠されており、放送では、
  • 鈴木春信の『縁先物語』:、縁側で2人の女性が戯れているように見えるが、実は1人は若い少年であり、もう1人は、障子の隙間から覗いている女の子の母親もしくは乳母で、「うちの子があなたを好きなんですって」とささやいているところであると推測される。このほか、萩の花(季節は秋)、手水鉢(裏手で内緒話をしている)、女性の帯(前に結んでいるので既婚者)、男の子の髪型(女ではない)、男の子が足をぶらぶらさせている(恥ずかしさ)といった手がかりが隠されているが、このように、(みんな同じ顔に描くことで)顔に意味を持たせないことによって、絵全体に想像を膨らませるという効果を狙っていた。
  • 『風流四季哥仙』:髪型から少年と少女が描かれていることが分かる。少年は梅の枝をとってプロポーズしようとしている。少女は振り袖の袂で灯籠の明かりを隠しておりそれに協力している。
という2例が紹介された。
 浮世絵の文化、当時の経済的な効果については興味深いところがあり、私も以前、北九州美術館で公開されていた特設展を見に行ったことがあった。もっとも、浮世絵の中には春画があり、江戸時代の浮世絵文化を総合的に分析する上では除外することのできないジャンルであると思うのだが、表の世界ではなかなか目に触れることさえできず、学問として研究対象にすることは難しい。
 以前、こちらの先生が岡大に居られた時に、いろいろとお話を伺ったことがあった。今のAV産業なども同様であり、その実態が表だって取り上げられることは少ないように思う。