じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 おかやまケンコー大作戦の3年間の事業は2021年度をもって終了したが【2022年1月19日の日記参照】、これに伴い、ローソンで歩数計のデータを送信すると日別、月別のグラフが表示されたり、バーチャルウォーキングラリーに参加することのできるからだカルテの利用も有料化された。年に300円くらいだったら継続しようと思っていたが、GW明けのログイン後に表示された画面では、半年で2000円もの利用料金がかかるということで継続は断念した【←歩数データの集計程度であればそんなに維持コストはかからないはず。無料で参加できるようにしておいて継続利用者を確保し、広告収入やイベント勧誘で収益を上げたほうがビジネスモデルとして成功すると思うのだが。また、ローソンのほうも、Loppiを定期的に利用する人が確保できれば、店舗の集客効果も見込まれるはずだ。じっさい、私の場合、歩数計データの登録を止めたことで、近隣のローソンに入店することは全く無くなった】。ま、いずれにせよ私はウォーキング以外のイベントには興味が無いし、歩数自体は自前の表計算ソフトでも十分できるので、継続利用しなくても特に支障はない。
 いっぽう、おかやまケンコー大作戦のほうは続!おかやまケンコー大作戦として再スタートしたようだが、
  • 「スマホdeウォークラリー」→スマホがないので参加不可能。
  • 「月イチ!ケンコー大作戦」→各種イベントを予定しているようだが、人混みに出かけるのは煩わしく、面倒で時間のムダ。
  • 「ウェブ健康コラム」→健康増進関連記事には興味があるが、ネット記事やテレビ番組だけでも十分。
ということで、残念ながら、「さらば、おかやまケンコー大作戦」、「さらば、からだカルテ」となった。

2022年5月13日(金)



【連載】ヒューマニエンス「“老化” その宿命にあらがうか 従うか」(2)eNAMPT、NAD、NMN、脂肪

 昨日に続いて、2022年4月12日に初回放送された表記の番組についての備忘録と感想。

 昨日取り上げた「サーチュイン」の働きについては、以前から聞いたことがあったが【2019年5月18日など参照】、今回の放送では、さらに新しい情報として、脂肪の役割が紹介されていた。
 まず登場したのが、人間で言えば80歳前後の老齢マウスであった。2匹のマウスのうち1匹は、毛並みがよく活発に動き回っていた。この元気なマウスはeNAMPT(イーナムピーティー)と呼ばれる酵素【=生体内外で起こる化学反応に対して触媒として機能する分子】を注射されており、通常のマウスと比べて高齢になっても活動量が維持され、寿命が延びることが確認されているという。
 このeNAMPTには脂肪が重要な働きをしているという。カロリー制限をすると寿命が延びることは前回記した通りであるが、テキサス大学が行った実験によれば、どんなマウスでも一律に寿命が延びるわけではなく、脂肪が多いタイプのマウスでは寿命が延びた一方、そうでないマウスは逆に早死にすることが明らかになったという。おやおや、これが人間にも当てはまるとすると、精進料理ばかり食べていて脂肪の少ない人が断食をすると逆に早死にする恐れが出てくるということになりそう。

 今井先生によれば、
  • 生命の危機に晒されると脂肪によってeNAMPTが作られる。
  • eNAMPTは脳の視床下部に届けられ、最終的にNAD(エヌエーディー)が作られる。
  • このNADこそがサーチュインの働きを強める。
  • その結果、脳から全身に老化を遅らせる指令が発動される。
  • 十分なNADが脳の視床下部で作られるかどうかがポイント。
ということで、上記の実験で早死にしたマウスは、脂肪が少なかったためにeNAMPTを十分に作れずにサバイバルシスベムを発動できなかったと考えられる。
 今井先生の研究室では、これらの成果を踏まえて、NADのもととなるNMN(ニコチンアミド・モノヌクレオチド)という物質の投与効果を発見した。NMNは。私たち人間の中にも存在する物質であるが、体の中で作られる量は年齢とともに減っていく。そこで人工的に作ったNMNを体内に補充するとNADが作られ、サーチュインのサバイバルシスベムが発動すると期待できる。実際、NMNを水に溶かしてマウスに飲ませると抗老化作用があることが確認された。少なくとも動物実験のレベルでは、糖尿病、アルツハイマー病、心不全、動脈硬化といった多様な老化関連疾患に顕著な効果があることが分かってきた。5年前からは人間対象の臨床実験が行われており、筋肉の再生能力があることが確認された。しかし、病気を防ぐ効果は、マウスほどには確認されていないという。現在、さらに投与量などを変えて長期的な効果が比較検討されており、その成果は今年中に分かるとのことであった。
 日本でも、ちょうど4月頃から順次、被験者の老化の度合いを血液で調べ、NMNをどれぐらいの量とペースで飲むとNADが増えるのかという臨床試験が開始されるという。こういう臨床試験の被験者なら私も参加したいところだが、「NMNを投与しない対照群」に割り当てられたのではたまったものではないなあ。ま、抗老化医療の発展に貢献するという意義はあるだろうが。

 以上をザックリ表現すれば「ポッチャリさんがカロリー制限すると長生きする。痩せ型で太らない人はNMNを投与すると効果がある」(織田さん)ということになるが、現時点では「可能性がある」という段階であるという。また、いとうせいこうさんが「カロリーが少なくなるとサバイバルシステムが活性化されるというのは、脂肪が無い人が危機感を感じて活性化されるという考え方だったのに、脂肪のある人のほうが活性化されるというのは逆ではないか」と尋ねたのに対して、今井先生は、「確かにカロリーを制限するとサバイバルシステムが作動するが、その発動する時のレベルが大事。」と答えておられた。私が理解した限りで喩えるならば、水量を豊富に蓄えられるダム【脂肪が一定量ある人】は水量が乏しくなった時にサバイバルシステムが発動しやすいが、容量が小さいダム【脂肪が少ない人】では水量が減っても発動しにくいということになるかと思われた。なお、今井先生から誤解のないように、ということでコメントがあり、「ちょっとポッチャリがいいが、肥満は健康の敵。BMIで言えば、女性は22〜23、男性は24〜27あたりがいい、ということが分かっている。」という話であった。ちなみに私のBMIは直近で26.17であり、ぎりぎりセーフとなっている。高齢者が「食べても太れない」というのは、おそらく、視床下部にある特別な神経細胞の機能によるらしいが、まだ分かっていないというお話であった。

 次回に続く。