じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 半田山植物園のウマノスズクサの葉っぱに、今年もジャコウアゲハの幼虫が産まれていた。他にも卵が産み付けられているが、過密状態で葉っぱを食い尽くすのではないかとちょっと心配。

2022年5月09日(月)



【連載】チコちゃんに叱られる!「雄ライオンのたてがみ」、「西から日が昇る場所」

 昨日に続いて、5月6日に初回放送された表記の番組についての感想・考察。本日は、
  1. 小学生が黄色い帽子をかぶるのはなぜ?
  2. ライオンのオスにたてがみがあるのはなぜ?
  3. 【CO2削減のコーナー 「あなたの常識をくつがえすかも!?子どもの大発見!」】太陽が西から昇って西に沈む場所がある
  4. なぜ子どもは秘密基地を作りたがる?
という4つの話題のうち、2.と3.について考察する、

 まず2.の「たてがみ」がある理由だが、放送では「モテるため supported by ダーウィンが来た!」と説明された。「supported by ダーウィンが来た!」という部分は、別番組の「ダーウィンが来た!」ですでに正解が放送されており、それに基づいた説明がなされているという意味であった。
 オスのライオンにたてがみがある理由については古くから論争があったが、約150年前、チャールズ・ダーウィンが唱えた「急所である首や喉元を守るために発達した」というのが定説となっていた。しかし、オスライオンを注意深く観察してみると、雄ライオンが別の雄ライオンに攻撃をしかける時には、背後に回り込むことが分かった。もしたてがみが身を守るために発達したのであれば、むしろ、お尻についていたほうが有用ということになるはずだ。
 そこで、これに代わる説として有力になったのは「雌にモテるため」というものである。ライオンはプライドと呼ばれる群れを作って生活している。プライドの中心はメスであり、3〜4年で、より強いオスが現れた時に入れ替わっていく。その際、新たに入れ替わったオスはメスたちに気に入ってもらうために、立派なたてがみを身につけた。オスライオンの強さはたてがみの色に表れる。ミネソタ大学の研究チームが繰り返し実験を行ったところ、濃い色のたてがみのほうがメスに好まれることが判明した。たてがみの色を濃くするのはテストステロンであり、オス同士の戦いに勝つほどさかんに分泌されるという。
 なお、アフリカの一部の地域では、たてがみがほとんどないオスライオンが生息している。これは生息する地域の気温や湿度が高いため、体温を下げるため短くなったと考えられているという。ただ、たてがみが短くても強いオスほど色が濃い傾向があるという。

 ここからは私の感想・考察になるが、まず、「ライオンのオスにたてがみがあるのはなぜ?」という疑問を解決するには、単にライオンという種の中だけで説明を完結するのではなく、「トラやチーターやヒョウのオスにはなぜたてがみが無いのか?」を合わせて説明する必要があるように思う。今回の放送内容から推測すると、
  1. プライドを作って生活するライオンに限って、メスがオスを選ぶ手がかりとして、たてがみの色が大きく影響した。
  2. たてがみの色には近親交配を避ける効果があった。
などが考えられそうだ。
 このうち2.の推察については、ウィキペディアの該当項目にも、「たてがみのない個体は近親交配をした個体にも見られることがある。そのような個体は繁殖力も貧弱なものになる」という記述があり、メスが立派なたてがみを持つオスを選ぶことは結果として近親交配を避けることに繋がるように思われる。
 「トラやチーターやヒョウのオスにはなぜたてがみが無いのか?」という疑問は、おそらく、トラやチーターやヒョウでは、ライオンほどには、「メスによるオスの選択」が行われないため、という形で解決できるのではないだろうか。




 次の3.は、「太陽がいったん西に沈んだあと高い塔に急いで登れば再び太陽が現れ西から日が昇ったように見える」という意味であった。この現象を数式化したのは当時中学生(現在は大学1年生)だった工藤優耀さんで、その研究成果は、2018年の、塩野直道記念第6回「算数・数学の自由研究」作品コンクールの最優秀賞に選ばれた。なお、作品はこちらから閲覧可能である。
 公式の概略は、
緯度θ線上で日の入りからt秒後に西の太陽を見るために必要な高さh(km)は、

h=√[(6400cosθtan(t/240)2+(6400cosθ)2-6400cosθ]
というものであった。公式そのものについては検証していないが、6400という数値は地球の赤道面での半径である6378kmを意味するものと思われる。一般に、日の入りのスピードは高緯度になるほどゆっくりとなるが、上記の式ではθの値により補正されている。もっとも、冬至の日と夏至の日では異なってくるはずだが、そのあたりの補正は行われていないように思える。

 放送では、地上で日没を確認したあと、2分30秒以内に東京スカイツリーの天望デッキ(高さ350m)に登れば西から「昇った」太陽が見られることが確認された。また、大阪・さきしまコスモタワーの展望台では、エレベーターからガラス越しに、「西から太陽が昇る太陽」を動画で確認することができた。

 ここからは私の感想・考察になるが、いったん建物の影に隠れた太陽であれば、大学の講義棟の非常階段を登ることで建物の上から昇る太陽を見ることはできる。ま、これ自体は驚くには当たらないが。但し、東京や大阪のように建物の多い場所では、たいがいは、地平線に沈む太陽ではなく、建物の影に隠れる太陽しか目撃できないので、高いところに登れば再び太陽が見えるというのは当たり前のように思ってしまう。

 「太陽が西から昇る」現象は、このほか、飛行機が西方向に飛ぶ場合にも見られるはずだ。もっとも、赤道上約40000kmを24時間以内で一周するためには、時速1667kmのスピードが必要であり、これは音速の1225km/hを超える猛スピードでなければならない。但し、時速900kmであっても高緯度地方を飛行すれば、いったん夜になったあと、(夏場限定の)白夜帯に進んだ時に、西から日が昇るという体験をすることはできる。

 次回に続く。