じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 ロシアによるウクライナ侵攻により欧米や日本などがロシアに対する経済制裁を強めるなか、ロシア産魚介類の輸入に対する懸念が強まっていることに加えて、欧州に対するロシアの飛行禁止措置などによって物流網の混乱が生じ調達に支障が出るとの不安から、回転寿司関連株が値下がりしているという。スシローを展開しているFOOD & LIFE COMPANIES<3563>の3月14日の株価の終値は3180円で、それまでの年初来安値3235円を更新。また、くら寿司<2695>の終値も2976円となり、それまでの年初来安値3070円を更新した。
 もっともこの日に訪れた回転寿司店では、1皿100円のウニのほか、イクラやカニなども大量に回っており、品不足や魚介類価格の高騰は感じられなかった。いずれにせよ、平和な世界に戻ることが第一。

2022年3月15日(火)



【連載】チコちゃんに叱られる!「なんで人は旅に出るの?」「円周率の記録更新」

 3月12日に放送された表記の番組についての感想・考察。なお、1月28日の放送のあとはずっと過去の再放送が続いており、新しい放送は約1ヶ月半ぶりであった。本日は、
  1. なんでおみくじには和歌が書いてあるの?
  2. なんで礼金って払わないといけないの?
  3. なんで人は旅に出るの?
という3つの疑問のうち3.について考察する。

 人が旅に出る理由について、放送では「旅に出ることは人間の性(さが)だから」が正解とされたが、私自身はイマイチ納得できなかった。チコちゃんの番組ではたまに、面白くするために、諸説のうち意外性の高いものを誇大に取り上げたり、こじつけをしたり、実は何も説明していなかったりすることがあるが、このケースもかなり胡散臭い内容であった。もっとも、放送に登場した海部陽介先生(東京大学総合研究博物館)は、冒頭で「人が旅に出るのは、旅に出るのが人間の性(さが)だからという一面があると思います」と断っており、そのあとの説明はあくまで「一面がある」というだけのことなのだが、放送ではそれが「旅に出る」ことの根本原因であるかのような印象を与えていた。

 放送では、旅に出るということはホモ・サピエンス特有の行動であることが論じられた。渡り鳥などの動物が食料や暖かさを求めて動くのはあくまで「移動」であるのに対して、目的や行き先を自由に選んで移動するのが「旅」であるがこれは人間だけの行動。人類は何万年も前の旧石器時代から新しい世界を開拓する旅を繰り返してきた。その結果、ホモ・サピエンスは爆発的に世界に広がっていった。それを可能にしたのは、
  1. 知恵:知恵を使って必要な技術や道具を発明した。すぐれた移動手段の発明。寒冷地域での衣類や犬ぞり、舟などの発明。必要な技術や道具の発明をする知恵があったからこそ、困難の先に進めた。
  2. 情報ネットワーク:仲間同士で情報を共有するのが得意。知らないことを教え合い困難を乗り越える方法を共に考えた。仲間とのコミュニケーションで、知恵と知恵を組み合わせて新たな知恵を生み出した。
  3. 好奇心:食料を探したり危険から逃げるだけでは水平線の向こうを目ざす必要はない。まだ見たこともないものへの好奇心があればこそ旅に出た。
 放送では、「知恵」、「情報ネットワーク」、「好奇心」それぞれが「現代のホモ・サピエンスにもちゃんと引き継がれている」という街角インタビューが紹介されてが、これは娯楽要素として演出されたものであって、「旅に出ること」とは全く関係の無い内容であった。終わりの部分では、海部先生が、
私たちの心の中にも、どこかに行きたい、旅に出たいという衝動がある。それは私たちが祖先から受け継いできたホモ・サピエンスの性のようなものではないでしょうか。
と締めくくられた。

 ここからは私の感想・考察になるが、人類のグレートジャーニーについてはこれまでもいろいろな話を聞いたことがあった。最近では2021年9月9日に放送された、ヒューマニエンス「“快楽” ドーパミンという天使と悪魔」の中で、アミノ酸配列の136番目にあったTがIに変化する人が現れ、それによりドーパミン放出量が増えたことがグレートジャーニーに旅立つ一因になったというような説を耳にしたことがある。もっとも、グレートジャーニーは、未踏峰登頂とか月への旅といったものとは異なり、もっと差し迫った必要に迫られたものではないかと思う。最大の原因は、民族間の争いにより土地を奪われた人たちの生き延びるための移動、気候変動による飢饉などではないだろうか。

 しかし、人類が過去にグレートジャーニーに旅立ったということと、現代人が旅に出るということとは全く別問題であるように思う。もちろん現代人の中でも、『どうにかなるさ』のように旅立つ人もいるだろうが、たいがいの人は、安定した定住生活があり、しかしながらその平凡な日常の繰り返しだけでは飽き足らない時、あるいは働き過ぎを癒やすため、日常を再点検するためなどを目的にして旅に出るのではないかと思われる。もし現代人のすべてが『祖先から受け継いできたホモ・サピエンスの性」を受け継いでいたとするなら、大邸宅に定住したいとか、野菜づくりを楽しみたいとか、ペットと一緒に暮らしたいといった生活では満足できず、お金の余裕がある限りは旅にでかけることである。

 ま、私自身はこちらのリストにあるように、1999年以降、新型コロナで旅行ができなくなった2020年までの間に毎年、海外のどこかに旅行していたし、国内旅行もそれなりの頻度で出かけていたので、安定した日常生活を大前提としながらも旅行の価値を重視した人生であったとは思う。

追記]番組の終わりのところでは、「エヌエチコニュース」として、2021年8月、スイス・グラウビュンデン応用科学大学の研究チームが、これまでの円周率の世界記録50兆桁を更新し、62兆8318億5307万1796桁目までを計算したという話題が取り上げられた。画面では1/πに相当するラマヌジャンの式【その後調べたところ、チュドノフスキー兄弟の公式、Chundonovsky(1987)であった】が表示されていたが、この計算式が用いられたのかどうかは不明。なお、私は円周率自体には興味があるが、3.141592....という数字の並びにはあまり関心が無い。しょせん、10進数表記の特性にすぎないと思うからである。