じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 3月12日(土)の19時20分〜19時30分頃、後楽園近く(推定)でサプライズ花火をやっていた。1月15日の花火よりは短時間であったが、次々と打ち上げられていた。1月15日より遠方であったため、鮮明な写真を撮ることはできなかった。また、右下の一部が高層ビルで覆われてしまった。主催者や趣旨は不明。

2022年3月13日(日)



【連載】コズミックフロント「アインシュタインの知られざる予言 重力レンズ」その2 タイムマシン効果、増光効果

 昨日に続いて、表記の放送の備忘録と感想。

 昨日の日記で、相対性理論を独学で学んで重力レンズの予想に貢献したルディ・マンドル (Rudi W. Mandl)について取り上げたが、実際に重力レンズ現象が観測されたのは1979年、アメリカ・アリゾナ州のキットピーク国立天文台で細長く見える天体が観測されたのが最初であったという。ハップル望遠鏡ではそっくりな天体が隣接しているように見える。この謎を解明したのが当時、クエーサーを研究していたロバート・カースウェル教授(ケンブリッジ大学)の研究チームであった。2つに見えていた天体のスペクトルはぴったり一致しており、また8ヵ月後に重力源となる銀河YGKOW G1が発見され、これらが1つの天体の重力レンズ現象であることが確認された。ちなみに、アインシュタインは1955年に亡くなっており、その場に居合わせることはできなかった。マンドルのほうは1894年生まれであり、こちらの記事によれば、1948年12月31日にロサンゼルスで死亡したという記録が残っているようである。マンドルは球場に雨を降らせない装置を発明し、全米の球団に売り込んでいたという逸話も残っているというが、いずれにせよ1979年までは生存していなかったようだ。

 放送の中程では超新星爆発が手前にある重力レンズによって4つに分かれて見えるという発見が紹介されていた。大栗真宗助教(東京大学)は、銀河がたくさん集まる場所での重力分布を計算によって導き、これをもとに、今述べた超新星爆発の光が地球に届くまでに時間差を生じることを予測した。大栗先生は、当該の超新星爆発の光は発見された4つを含めて全部で6つに分かれて地球に到達すると予測した。そのうちの1つは16年ぐらい前に観測されていたはず、残りの1つは1年後に現れると予測した。じっさい、2015年12月11日、大栗さんが予想した通りの時期と場所にその光が現れた。この成果は、重力分布についての計算が正しかったことを示すとともに、タイムマシンのように超新星爆発が起こる前に遡ってもう一度観測ができる可能性を開いた。

 放送の後半では重力レンズのもう1つの効果として、本来では見えないような暗い銀河が増光されるという話題が紹介された。その原理は、光学レンズと同じようなものであるという。これを応用して、大坂産業大学の井上昭雄先生、橋本拓也先生らの研究グループは、132億8千万光年離れた銀河の検出に成功した。なおこの発見については、イギリスの研究グループとの情報交換についての興味深いエピソードが紹介されていた。イギリスチームは水素、井上先生らのチームは酸素による観測であり、最終的には、日本とイギリスの研究者を交互に並べた共著という形で論文が発表されたという。なお、初回放送当時ではこの天体が最遠とされていたが、ウィキペディアによると、2020年に発表された論文により、GN-z11が最も遠く、見かけの距離で134億年、実際の距離(光が到達するまでの間にさらに遠ざかっていることを考慮に入れた距離)は320億光年離れているようであった。