じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 昨日の日記にワラジムシを接写した写真を掲載したが【右に再掲】、翌日のウォーキング中、足もとをダンゴムシが動いていたので比較のためにさっそく接写した【写真左】。酷似している部分も多いが、ダンゴムシのほうが、ダンゴになりやすい形状になっていることが見て取れる。



2021年8月18日(水)



【連載】#チコちゃんに叱られる!「お茶は緑色なのになぜ茶色という」「“茶色い”の不思議」

 昨日に続いて、8月13日(金)に初回放送された、NHK「チコちゃんに叱られる!』の感想と考察。

 本日は、
  1. なぜネクタイをつける?
  2. ブドウに付いている白い粉ってなに?
  3. 消せるボールペンで書いた文字が消えるのはなぜ?
  4. お茶は緑色なのになぜ茶色という?
  5. なぜ人は怒る?
という5つの疑問のうち、4.について考察する。

 まず、4.については番組では「もともとお茶は茶色だったから」と説明された。お茶は平安時代に中国から伝わったが、当時のお茶は蒸して固めた茶葉を砕いて粉にして煮出したものであり緑色ではなかった。鎌倉時代になると、庶民もお茶を飲むようになったものだが、茶葉を干して煮出した手間のかからないものであり、赤と黒の混じったような色であった。このお茶が布にしみ込んだ色から茶色という言葉が生まれたと説明された。
 これとは別に緑色のお茶である抹茶も伝わるが庶民に普及しなかった。その後、江戸時代に、蒸した茶葉を手で揉みながら乾燥させる製法により緑茶が主流となったが、もともとのお茶の色が言葉として残ったという。

 番組では、茶色は、緑茶が普及する前のお茶が布にしみ込んだ色であるというように説明されていたが、たまたまお茶をこぼして染まった色が色名として普及するとは考えにくい。おそらく、染料(茶染め)としての色に由来するものと思われる。

 番組内容はここまでであったが、「茶色」という色にはもっと大きな謎がある。
 この日記でも何度か言及しているように、日本語の色の呼称は、3つのタイプに分かれている。
  1. 形容詞として活用できる呼称:「赤い」、「白い」、「黒い」、「青い」の4色のみ。
  2. 形容詞に準ずるが、「かろう」「かった」「く」「けれ」とは活用できない:「黄色い」、「茶色い」の2色のみ。
  3. 「○○の」「○○色の」という形でしか形容できない:「緑の」、「緑色の」など上記6色以外のすべての色名。
私が疑問に思うのは、「○○+い」が使える6色の中に、なぜ原色でもない「茶色」が含まれているのか、という点である。
 1つの可能性として、茶色は「赤と黒の中間色」であり、基本16色の1つに含まれていることだ。じっさい、RGB値は、#800000として表現されることもある。実際に、#ff0000、#000000と並べると以下のような色(マルーン)になる。この真ん中の色が「茶色」であり、RGBの数値上では赤と黒の中間値ということになる。



もっとも、ウェブカラーでは「Brown」と呼ばれる色名は「#A52A2A」として配色され、その色は赤と黒の中間色(赤茶色)とされている。↓の比較で左が#A52A2A、右が#800000である。



私自身が「これが茶色だ」と思う色は、#800000に近い。

 さまざまな色の中で、茶色はなぜ「茶」ではなく「茶色」と呼ばれるのだろうか。考えられる理由としては、
  1. 「茶」だけでは飲むお茶なのか、色名なのか区別できない。
  2. 「黄色」や「朱色」同様、「茶(cha)」は1音節であり、聞き間違いが起こりやすいため、「色」をつける。
といった点にあるのではないかと推測される。なお、上記で、「朱色」は単独で「朱」とも呼ばれるが、「茶色い」とは言えても「朱色い」とは言えない。このあたりも、謎である。

 なお、英語版のウィキペディアには
According to public opinion surveys in Europe and the United States, brown is the least favorite color of the public; it is often associated with plainness, the rustic, feces, and poverty.
と記されていたが、日本語の「茶色」にはネガティブなイメージは無さそう。いっぽう日本語の「灰色」は「灰色の人生」というようにネガティブな形容に用いられるが、英語のGreyについては、ウィキペディアでは
In Europe and North America, surveys show that grey is the color most commonly associated with neutrality, conformity, boredom, uncertainty, old age, indifference, and modesty. Only one percent of respondents chose it as their favorite color.
と記されていて、好まれる色ではないものの、必ずしもネガティブな印象を示す色というわけではなさそう。

]色名の話題については、2019年10月31日とその翌日にも考察したことがあった。

 次回に続く。