じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 昨日に続いて、国際宇宙ステーション(ISS)の写真。こちらによれば、8月3日は、「20 時 11 分ごろ北西の低い空で見え始め, 20 時 15 分ごろ 北東の頭の真上あたり( 81.1 °)でいちばん高くなり, 20 時 16 分ごろ南東の低い空( 81.1 °) で地球の影に入り見えなくなる。」と予報されていた。
 この日はすぐ真上を通過したため、西の空の金星とほぼ同じ明るさとなった。写真は、南東の空に移動しているところ。このあと地球の影に入り急速に光りを失った。(地上に写っているのは、世界三大黄金像【←長谷川が勝手に選定】の1つ、岡山の大黒天像)。

2021年8月4日(水)



【連載】ヒューマニエンス「“腸内細菌” ヒトを飛躍させる生命体」その2 便移植療法

 昨日に続いて、7月22日に初回放送された、NHK「ヒューマニエンス」、

「“腸内細菌” ヒトを飛躍させる生命体」

の備忘録と感想。

 番組では続いて「腸内細菌で難病と闘う」という話題が取り上げられた。

 最初に紹介されたのは、推定20万人の患者がいるという潰瘍性大腸炎の治療である。、現時点で完治に繋がる治療法は確立していないが、石川大先生(順天堂大学)によれば潰瘍性大腸炎になると腸内細菌の種類が減り、バランスが乱れているという。そこで、患者の腸内を抗生物質で一度リセットしたあと、健康な人の便からから腸内細菌を抽出した便溶液を内視鏡を使って患者の大腸内に移植したところ、患者190名のうち約7割に症状の改善が見られた。顕著な効果が見られた患者では、便移植の2週間後、さらに2年後においても腸内細菌の多様性が保たれていたという。

 なお、便移植療法はたった1回の移植でも効果を発揮することがあるが、うまくいかない場合もある。これはドナー(便提供者)と患者とのマッチングの成否にかかっているらしい。これまでの研究では、マッチングが成功しやすいのは同世代の兄弟・姉妹間であり、おそらく腸内細菌のバランスが確立する3歳くらいまでの間の環境が似ているためと考えられる。

 便移植療法は臓器移植にも有効であるらしい。臓器移植時に生じる拒否反応の一部は腸内細菌に関係しており、同時に便移植を行うことでそれを和らげる可能性がある。

 いっぽう、便移植は感染症を媒介する恐れがあり、移植時のスクリーニングも重要である。このほか、カプセル化した便を服用する方法も開発されているらしい。

 ここで指摘されたのは抗生物質の過剰な使用である。抗生物質を使うと腸内環境をガラリと変えてしまう恐れがある。アレルギーの発症と抗生物質の使用歴にも関係があり、慎重な配慮が必要である。

 ここからは私の感想になるが、便移植療法については以前にも別のTV番組やネット記事で聞いたことがあった。いまいち分からないのは、腸内細菌の最適なバランスがなぜ3歳頃までに決まってしまうのか、抗生物質等でリセットしてもなぜ元のバランスに回帰しようとするのかという点である。おそらく免疫系の関与により新参者の腸内細菌を排除しているものと思われるが、とにかく、幼少時の腸内細菌定住化はきわめて重要であり、そのいっぽう、高齢期になってから健康食品・サプリなどで腸内環境を改善しようとしてもそう簡単にはうまくいかない可能性が高いようにも思われる。

 次回に続く。