じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 「接写で楽しむ雑草の花」。今回はクマツヅラ。岡大構内では他の雑草に負けない繁殖力を持つ。
 学名の「Verbena officinalis」が示すように、バーベナはクマツヅラ科クマツヅラ属の総称。園芸種の流通名「バーベナ」とはあまり似ていないが、ヤナギハナガサ(三尺バーベナ)とは、花や茎・葉が似ているように見える。

2021年5月25日(火)



【連載】#チコちゃんに叱られる!「ジョギングとランニングの違い」「曖昧な模様が人の顔に見える理由」

 昨日に続いて、5月21日(金)朝に初回放送された、NHK チコちゃんに叱られる!の感想と考察。

 本日は、
  1. アパートとマンションの違いってなに?
  2. なぜ握りずしの1人前は10個?
  3. 働き方改革のコーナー:ジョギングとランニングの違いは?
  4. なぜこの世には次々と人の顔が現れる?
という4つの話題のうち、残りの3.と4.について考察する。

 まず、3.のジョギングとランニングの違いについては、ランニング学会顧問の山西哲郎さんから、「はっきりした定義はないが、ランニング学会としては、走る目的による違いと考えている。」と説明された。
 ジョギングの目的は「心と体の健康づくり」で、1kmあたり6〜10分のペースで走る。いっぽうランニングの目的は「楽しみながら記録に挑戦する」で、ジョギングより1kmあたり1〜2分速く、息切れするくらいのペースになるという。
 念のため、ウィキペディアを閲覧したところ、ジョギングについては、
穏やかな速度で走るのがジョギングである。ある定義では「時速6マイル(約9.7q)の速度で走ること」とされている。また、「ランニング」は、地面に接触していない瞬間が必要である、と定義しているが、ジョギングはそうではない。
という区別が、引用文献つきで紹介されていた。また英語でも、
Jogging is a form of trotting or running at a slow or leisurely pace. The main intention is to increase physical fitness with less stress on the body than from faster running but more than walking, or to maintain a steady speed for longer periods of time. ...【中略】...
Jogging is running at a gentle pace; its definition, as compared with running, is not standard. One definition describes jogging as running slower than 6 miles per hour (10 km/h). Running is sometimes defined as requiring a moment of no contact to the ground, whereas jogging often sustains the contact.
というように、日本語版とほぼ同じ説明があった。
 なお、ランダムハウス英語辞典によれば、ジョギングの「jog」は、「…を揺り動かす,ぐいと動かす」、「〈馬を〉一定の速歩(はやあし)で進める.」、「〈人・物が〉がたがた揺れながら進む,」、「(馬車などに)揺られて行く.」、「とぼとぼ[てくてく]歩く,〈仕事などが〉ゆっくり[のろのろ]進む,〈人が〉なんとかやっていく{on, along};進む,出かける:」といった意味があり、語源は、

[1548.jot「揺り動かす」(現在は方言)と shog「振る」(中期英語 shoggen)の混成]

とされていた。いっぽう「run」は「走る」の一般語であるが、走ること以外にもさまざまな意味がある。私自身に馴染みがあるのは、コンピュータの「実行」、同じ状態(数字)などの連続といった意味など。




 最後の4.の「なぜこの世には次々と人の顔が現れる?」という疑問は、人面魚とか、月の表面の地形に顔のような形がある、というように、人間の顔に見えてしまう現象のことを言うものであった。番組の正解は「【目と口の位置に相当する逆三角形の頂点に配置された】点・点・点が人の顔に見えたほうがたぶん生き残れるから」というものであった。
 高橋康介先生(立命館大学)によれば、人の顔に見える壁のシミ、人面魚、心霊写真といった現象はいずれもパレイドリア現象として説明できる。要するに、曖昧な模様を人の顔と見なすように反応したほうが生き残るうえで有利になる、例えば、森の中に見える点3つが敵や動物の顔に見えたほうが逃げることができて生き残る確率が高いということであった。
 番組ではあまり詳しくは説明されていなかったが、曖昧な画像・音声を既知の具体的なパターンに置き換えるという知覚には、無限に近いさまざまな感覚情報の中から適応上重要な情報を迅速に処理し対応するというメリット(獲物や仲間の発見)といったメリットもあり、必ずしも、敵から逃れるというメリットだけが理由ではないように思われた。また、こうしたパターン化は、生物進化上で系統発生的に備わったものばかりでなく、それぞれの文化の中で習得される場合もある【例えば、顔文字の文化差】。

 このほか、古典的な信号検出理論で分類されているように、曖昧な情報への対応は、ヒット、ミス、フォールス・アラーム、コレクト・リジェクションという4つのケースをもたらす。曖昧な模様を何でもかんでも人の顔に見えてしまうと、そのたびに逃げ出すことで余計なエネルギーを消費してしまう。なおこのあたりの解説は、Michael ShermerのTEDのスピーチで分かりやすく説明されている。