じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 「接写で楽しむ雑草の花」。今回はマメグンバイナズナ。繁殖力旺盛で、写真左上のように、アスファルト路面の隙間でも繁殖する。こちらに、近縁種との違いが解説されているが、葉っぱと種子の形からマメグンバイナズナと推定した。グンバイナズナの可能性もあり。

2021年5月22日(土)



【小さな話題】ヒッチコック監督の映画『サイコ』、『めまい』

 5月中旬にNHK-BSPで観たヒッチコック監督の映画2本の感想。どちらも有名な作品ということだが、私はもともとスリラー映画は好みではなく、65歳+αにして初めての鑑賞となった。以下、ネタバレ満載。


  • 【5月12日放送、NHK-BSP、『サイコ』、1960年】
     4万ドルを持ち逃げしたマリオンが主人公だと思って観ていたら、なっなんと、逃げている途中に泊まった寂れたホテルで殺されてしまった。犯行の動機はお金ではなく嫉妬、それも多重人格者の犯行という全く予想外の展開であった。
     そのような多重人格者が居ること自体は否定しないが、精神科医の解説で種明かしをしてしまったという展開は、イマイチ物足りなさを感じた。
     1つだけ分からなかったのは、私立探偵のアーボガストが丘の上の屋敷の2階の窓にいた女性の人影(=母親)を目撃していたことだ。アーボガストはそれとほぼ同時にベイツから「(客室を)見ないんですか?」と声をかけられているので、人影はベイツではありえない。おそらく、ミイラ化した母親という設定なのかと思うが、ミイラにしては背筋を伸ばしてしっかり立っているように見えた(但し、動いてはいない)。
     それはそれとして、逃亡中のマリオンや、ホンモノの主人公であったベイツのそれぞれの表情はとてもよく写し出されている描かれていると思った。
     マリオットを演じたジャネット・リーは、刑事コロンボの『忘れられたスター』(1975年)にも登場している。殆どの俳優はすでにお亡くなりになっているが、マリオンの妹を演じたヴェラ・マイルズは今年91歳でご存命であるようだ。
  • 【5月19日放送、NHK-BSP、『めまい』、1958年】
     上記の『サイコ』の2年前の作品ということだが、こちらのほうを後から観た。最初に観た時は結末の展開がさっぱり分からなかったが、何度か見直したり、ネット上のあらすじ&ネタバレサイトを拝見することで、やっと理解することができた。要するに、カギとなる人物は、
    1. カルロッタ・バルデス(墓碑によると、1831.12.3.〜1857.3.5.)
    2. ホンモノのマデリン・エルスター(カルロッタの曾孫、映画では一度も登場せず)
    3. ニセモノのマンデリン・エルスター
    4. ジュディ・バートン
    であり、ジョン・“スコティ”・ファーガソンも観客も、ホンモノのマンデリンにカルロッタが取り憑き、最期は教会の塔から身を投げてしまうと思ってしまうが、実際は、ホンモノのマンデリンはどこかに監禁された上に投身自殺として偽装されてしまった。スコティが尾行していたのは、尾行を始めた時からずっとニセモノのマンデリンであり、実はジュディがなりすましていたということが発覚する、というような結末であったようだ。なお、なりすましが証拠づけられたのは、かつてカルロッタ・バルデスが身につけていた首飾りであった。容姿が似ているという点を除けばマンデリンとは全く関係のないはずのジュディであれば、それを持っているはずがないからである。

     このあたりまでのところはこの私でも理解できたのだが、スコティが本当に愛していたのは誰だったのか?という点は、イマイチ分からないところがあった。そもそもスコティはホンモノのマンデリンには一度も会っていない。スコティが愛してしまったのは、あくまでニセモノのマンデリンであった。なのでダマされていたという点では激怒したとしても、自分が原因でマンデリンが死んでしまったという自責の念は、その時点できれいさっぱり解消するはずである。あとは、ダマされたことは棚に上げた上で、「実は生きていた」ニセモノのマンデリン(=ジュディ)を受け入れてもよかったし、そういう虚構の上の愛をきれいさっぱり捨て去って、日頃から親しく接しているマージョリー・“ミッジ”・ウッドと結婚するという選択もできたはずである。

     ちなみに、この映画で、ミッジという女性がどういう役割を演じていたのかもよく分からないところがあった。ミッジが登場しなくても映画のストーリーは問題なく進行するはずだ。ネットで検索したところ、この映画の主人公は実はミッジであったという珍説を唱えている人もおられたが(たぶん冗談のつもり?)、本当にミッジが主人公であるなら、ラストはスコティと結婚するというハッピーエンドであってほしいものだ。

     あと、細かい疑問だが、スコティが偽マンデリンを尾行してマッキトリック・ホテルに寄ったとき、2階の角部屋に居た女性は誰だったのだろうか? 2階の角部屋の鍵はフロントにあり、女支配人もこの日は部屋に入っていないと言っていた。またスコティが退職前の身分証明書をちらつかせて部屋の中を検分した時には、部屋には誰もおらず、また外に駐車してあったはずの偽マンデリンの車は消えていた。このシーンが何を意味していたのかはよく分からない。スコティを騙すために女支配人もグルになっていたというなら分かるが...。