じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 「チコちゃんに叱られる!」で「なぜゼリーはフタまでパンパンに入っている?」という疑問が取り上げられていたが(↓の記事参照)、そう言えば、カップ容器入りの茶碗蒸しもフタまでパンパンに入れられていた。もっともレンジで加熱すると破裂することがあったり、熱湯ではなかなか温まらなかったり、食べる時に溢れるなど、フタまでパンパンのせいで不便なことが多い。


2021年5月17日(月)



【連載】#チコちゃんに叱られる!「ゼリーがフタまでパンパンの理由」「アルファベットの小文字」

 5月15日(土)朝に初回放送された、NHK チコちゃんに叱られる!の感想と考察。なお、前回に引き続き、金曜日夜の放送枠は新型コロナ関連番組のためカットされた。

 今回の放送では、
  1. なぜゼリーはフタまでパンパンに入っている?
  2. なぜアルファベットには大文字と小文字がある?
  3. 目指せサマーバケーション 働き方改革のコーナー「裸足と素足の違い」、「羽と羽根の違い」
  4. 西郷隆盛が犬を連れているのはなぜ?
という4つの話題が取り上げられた。本日は、このうち1.と2.について考察する。

 まず1.だが、これは、
  • プリンはふたとプリンの間に隙間がある。
  • ゼリーはフタまでパンパンに入っている。
という比較に基づいた疑問であった。
 確かにゼリー類はフタまでパンパンに充填されており、私個人としては、加齢にともない指の力が弱まるにつれてフタ(透明シール)が剥がしにくいこと、剥がしたあとこぼれやすいことなど不便を感じることが多かった。上掲の、茶碗蒸しも同様であった。
 番組の答えは「プルンプルンを守るため」と説明された。君羅先生(城西大学)によれば、ゼリーは運搬時の衝撃でプルンプルンの食感が崩れてしまうが、パンパンに詰め込むと崩れるリスクが減るとのこと。番組では、パンパンのゼリーと、フタとの間に隙間を作ったゼリーを衝撃の多いコースで運搬するという比較実験が行われ、その結果、パンパンのゼリーはプルンプルンが保たれていた一方、隙間を作ったゼリーはグチャグチャな状態になっていることが分かった。
 このほか、
  • 熱殺菌時、隙間に空気が入っていると膨張してケースが破損する恐れがある。
  • 空気に触れることが無いので賞味期限を長く設定できる。
というメリットが説明された。
 いっぽう、プリンの容器に隙間がある理由については、
  • そもそも、プリンの原材料である卵・牛乳は長期保存に向かないので、長持ちに力を注ぐ必要がない【じっさい、プリンの賞味期限は1週間前後、ゼリーの賞味期限は4〜6カ月となっていた】
  • プリンはゼリーより硬いものが多いので、フタとの間に隙間があっても崩れない。
というように説明された。

 要するに、ゼリーがパンパンに充填されている理由として、
  1. プルンプルンを守るため
  2. 熱殺菌時に破裂しないため
  3. 長く保存できるため
という3つが挙げられていたが、私がよく分からないのは、何が根本的な理由で、何が、結果として付け加わったメリットなのかという点であった。

 番組でメインの理由として挙げられていたのは、「プルンプルンを守るため」であったが、実際の運搬時にそんなに衝撃が加わることはないはずだ。また、プリンの中には上にクリームがのった商品のように柔らかいものもあるが、パンパンに充填しなくても形が崩れることはない。また、プリンも熱殺菌するはずだが、その際に破裂することはない。このように考えてみると、ゼリーがパンパンに充填されている根本理由は長期保存のためであり、それ以外は、結果としてあとから付け加わったメリットに過ぎないのではないかと思われるが、どうだろうか。




 続く2.のアルファベットの大文字、小文字の疑問であるが、番組では「紙を節約するため」と説明された。堀田先生(慶應義塾大学)によれば、アルファベットは紀元前1700年ぐらいに今のパレスチナやシリアで発生した。もともとは大文字だけで、象形文字(例えば「A」は雄牛の頭の形)から変形されたものであった。またアルファベットの元はラテン語であった。8世紀頃になると、フランク王国で出版ブームが起こったが、当時は植物繊維由来の紙ではなく超高級品の羊皮紙を使用していたため紙を節約する必要があった。そこで、天才神学者のアルクインは、大文字の崩し文字をもとにした小文字を提唱。文字の幅を狭くすることで、同じ大きさの紙の中に書き込める文字を増やすことができるようになったという。

もっとも、紙を節約する必要がなく、しかもペーパーレス化が進んでいる現在では、上記の理由はもはや意味をなさなくなった。今でもなお大文字小文字が使われているのは、やはり読みやすさが最大の理由であるように思われる。ウィキペディアによれば、ラテン文字、ギリシア文字、キリル文字、コプト文字、アルメニア文字、アドラム文字、ワラング・クシティ文字、チェロキー文字、オサジ文字(英語版)を使用している言語では、文字の明瞭性と読みやすさを高めるために、大文字・小文字の区別をしているという。英語ではテキストの大部分には小文字が使用され、大文字は文頭や固有名詞の語頭など、限られた場所でのみ使用される。ドイツ語では、原則的に名詞は文中のどこにあっても大文字で書く決まりになっている。なおこちらの情報によれば、英語でも16〜18世紀頃には「名詞の大文字使用」の慣習があり、ガリバー旅行記で知られるJonathan Swift (1667--1745) の文章では名詞の大文字の慣習が完全に守られているとのことであった。

 余談だが、堀田先生の背後の書棚にはいろいろな本が並べられていたが、その中には、『世界チーズ図鑑』、『理科年表』、『チャート式数学T・A』、『マンガ日本の古典』など映っており、堀田先生の博識ぶりが反映しているように感じられた。

 なお、このWeb日記のファイル名は、執筆開始当初から「WELCOM.HTM」という大文字表記になっている。この表記を使用したのは、私の記憶では、確か、執筆開始時にホームページを開設したジャストネットで、「WELCOM.HTM」が推奨されていたことによるものであった。また、「WELCOME」でなく「WELCOM」というように「E」が抜けているのは、当時、何らかのシステムで、ファイルの文字数が6文字以内に限られていたためだったと記憶しているのだが、私が誤解して勝手に6文字に減らしていた可能性もある。ネットで検索したところ、こちらに、1998年12月時点で、「justnetの場合は「WELCOM.HTM」が使われている」という記述があった。

 次回に続く。