じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 砂抜きのためアサリを一晩塩水につけていたところ、写真のように管を伸ばして呼吸をしていた。気持ちよさそうな様子を見ると、このあと、料理のために殺してしまうのが可哀想になった。妻も同意見で、いっそのこと海に帰してきたら、という話が出たが、けっきょくバター焼きと貝汁にしてしまった。他の生き物の命を犠牲にして「生かされている」のだということをあらためて実感しながら、一粒一粒のアサリを食べた。

2021年2月27日(土)



【小さな話題】映画「博士の愛した数式」と京大の整数問題

 2月22日にNHK-BSPで放送された、「博士の愛した数式」(2005年)を録画・再生で観た。タイトルだけは知っていたが、じっさいに観たのは今回が初めてであった。原作と映画では内容が異なるそうだが、映画に関してはストーリーが分かりやすく、心温まる展開であった。

 この映画では、友愛数完全数、のほか、有名なオイラーの等式が出てきた。高校1〜2年頃、数学者になる夢を持っていた私【←その後、諦める】としては、数学という面からも楽しむことができた。

 友愛数というのは「異なる 2 つの自然数の組で、自分自身を除いた約数の和が、互いに他方と等しくなるような数」のことであり、完全数とは「自分自身を除く正の約数の和に等しくなる自然数」として定義されているが、いずれも美しい数ではあるものの、私にはイマイチ、数学としての意義が分からなかった。例えば、完全数の定義を少しだけ変えて、「自分自身を除く正の約数の和よりnだけ多くなる自然数」というのは、いろいろ考えられるが[]、完全数はそのうちのn=0という場合に過ぎないのではないかと思ったからである。
]例えば、「自分自身を除く正の約数の和より1だけ多い数」としては、2、4、8、16などがあり、「自分自身を除く正の約数の和より2だけ多い数」としては、3、10、などがある。このあたりは、完全数の拡張として検討されているはずだ。ちなみに、2のベキ数(2、4、8、16など)の「自分自身を除く正の約数の和」は、2進法で表すと、1、11、111、1111、...となる。2のベキ数自体は10、100、1000、10000、となるので、「2のベキ数は自分自身を除く正の約数の和より1だけ多い」ことはすぐに分かる。

 オイラーの等式は確かに美しいし、「史上最も偉大な等式」とか「数学的な美の絶対的基準」などと称されることもよく分かる。ウィキペディアに説明されているように、この等式は、オイラーの公式の特別の場合であるという。ここからは私の素朴な印象であるが、一般に、πとかiが出てくる公式というのは三角関数と関係しているようである。これは複素数平面を考える以上、当然のこととも言える。このほか、バーゼル問題にπが出てくるのも三角関数と関係しているようである(鈴木貫太郎さんのYouTubeに解説あり)。

 もとの話題に戻るが、京大の入試問題には、時々、面白い整数問題が出題されるようである。2021年の入試では、文系数学で、

●pが素数ならばp4+14は素数でないことを示せ。

また、理系数学では、

●nを2以上の整数とする. 3n-2nが素数ならばnも素数であることを示せ。

という問題が出題されていた。入試という限られた時間の中で私が自力で解けるかどうかは全く自信がない。

 ちなみに鈴木貫太郎さんのYouTubeには、京大の1990年の問題も解説されていた。これまた、殆ど整数問題というところが面白い。

 ちなみに私が受験した時の数学問題(理系)はこちらであったが、数学が得意科目であったにも関わらず、当日はうまく頭が働かず、まともに正解できた問題は1つも無かったと記憶している。もっとも、英語で8割、化学で10割が正解できたため、第二志望の学科には合格することができた【第一志望の学科に不合格でも、農学部全体の最低点を上回っていれば第二志望に入ることができた】。とはいえ、もし数学が1問でも完璧に解けていたら第一志望の「農林生物学科」に合格できていたはずで、そうなると文学部への転学部はありえず、私の進路は全く違うものになっていたはずである。

 やっぱり、数学の問題を、時間をかけて楽しんで解くことができるのは、隠居生活後に限られるようである。