じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 日曜日、ウォーキング沿いの歩道上に、回収指定曜日(月曜、木曜)を守らないゴミが投棄されているのを見かけた。この場所は以前から、カラスによって指定曜日以外の投棄された生ゴミが食い荒らされ散乱している光景を見かけたことがある。
 今回捨てられていたゴミ袋の中にはビールなどの空き缶が含まれていて、このふとどき者は分別ルールも守っていないようだ。

2021年2月15日(月)



【連載】「刺激、操作、機能、条件、要因、文脈」をどう区別するか?(52)杉山尚子先生の講演(17)杉山×武藤対談(2)

 2月13日の続き。まず、前回の最後のところで取り上げた『行動分析学入門』の教科書であるが、私のところには、以下の3冊が残っていることが確認できた。正式なタイトルと、著者は以下の通り。
  1. マロット,R.W., ウェィリィ,D.L., マロット,M.E., 杉山尚子, 島宗理, & 佐藤方哉 (1993). 『日本語版 行動分析学入門T』 産図テクスト.
  2. 杉山尚子, 島宗理, 佐藤方哉, マロット,R.W., ウェィリィ,D.L., & マロット,M.E. (1995). 『行動分析学入門 基礎編 (第2版)』 産図テクスト.
  3. 杉山尚子, 島宗理, 佐藤方哉, マロット,R.W., & マロット,M.E. (1998).『行動分析学入門』産業図書.
なお、今回初めて気づいたが、3番目の本の奥付には各著者の出生年が記されており、私自身との年齢差を確認できることが分かった。
 さて、今回も、対談の中で話題になった点をいくつか取り上げさせていただく【順不同】。
  • ベーコンの影響
     杉山先生がスキナーの自伝に基づいてベーコンに言及されていたが、私が担当させていただいた『行動分析学事典』では、オドノヒュー・ファーガソン(2005)の指摘に従い、スキナーに影響を及ぼした人物として以下の6名を挙げさせていただいている。
    • ベーコンの影響:4つのイドラ、観察と帰納法重視。
    • マッハの影響:無駄の無い記述、事物間の関数関係。
    • パヴロフの影響:系統的な実験的手法。
    • ソーンダイクの影響;効果の法則。但し、スキナーからはむしろ批判対象。
    • ワトソンの影響:行動を研究対象とし、条件づけ手続により研究を進める姿勢。動物実験の有用性。行動の予測と制御という目標。
    • ダーウィンの影響:環境の淘汰作用による進化。6人の中で最も大きな影響を受けた。

  • radical behaviorism
     これも『行動分析学事典』執筆項目に関係するが、表記の言葉がどのように使われてきたのかについては、
    Schneider, S. M., and Morris, E. K. (1987). "A History of the Term Radical Behaviorism: From Watson to Skinner" . The Behavior Analyst, 10, 27-39.
    の記述が最も信頼できるように思う。もし新情報が出てきた場合、『行動分析学事典』の以下の記述も修正を迫られることになる。
    Schneider & Morris (1987)によれば、1920年代〜1930年代には、「radical behaviorism」はワトソンの行動主義を指し示す意味で使われていたこともあった。スキナー自身が自らの行動主義に「radical」という形容詞をつけたのは、1945年、Psychological Review誌上で、操作主義について討論を行った時が最初であるとされている。その後1960年代半ばからは、行動分析学の思想的基盤として「radical behaviorism」が定着し、1970年代〜1980年代になると行動分析学の関連誌でも広く使われるようになった。またこれに伴い、「radical」はもっぱら「thoroughgoing(徹底した)」という意味で使われるようになった。
    ]Skinner, B. F. (1945). The operational analysis of psychological terms. Psychological Review, 52, 270-277, 291-294.

  • 「行動は風である」
     武藤先生が、東 正先生の「行動は風である」という比喩について言及しておられた。武藤先生は、「気圧の差が無いと風が生じないように、行動も直前と直後の差が無いと生じない」という意味で引用しておられたが、もともとの東先生の言葉がどのような文脈で語られていたのかは忘れてしまった。
     東 正先生の御著書の中では を拝読したことがあり、そのつながりで、私は一時期、日本行動教育研究会に入会し、『日本行動教育・実践研究』に投稿させていただいたことがあった。
     東 正先生は、確か、「positive=陽性」、「negative=陰性」という独自の訳語を使っておられたと記憶しているが、けっきょくこの訳語は定着しなかった。【私自身は、「positive=加算型」、「negative=減算型」を定着させるべきであると考えている】
     ネットで検索すると、日本行動教育研究会は現在も活動しておられるようだが、日本行動分析学会とどういう関係にあるのか(両方に入会している人がどのくらいおられるのか、など)はよく分からない。以前からずっと、神奈川県内が中心であるような印象がある。

     不定期ながら次回に続く。