じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 半田山植物園・洛陽牡丹園の天女像と、ザクロの木。天女像のおでこのあたりには、月齢6.1の月が重なって見えている。

2020年11月21日(土)



【連載】#チコちゃんに叱られる!「なんでレモンティーの色は薄いの?」

 11月20日に初回放送された、NHK チコちゃんに叱られる!の感想と考察。

 この回は、
  1. なんでレモンティーの色は薄いの?
  2. ビニール傘ってなに?
  3. なんで人間には白目があるの?
という3つの疑問が取り上げられた。本日はそのうちの1.について考察する。

 1.は、紅茶にレモンの輪切りを入れると紅茶の色が薄くなるのはなぜか?という疑問であるが、番組では「トロポロンが無色になるから」と説明された。今井先生によれば、紅茶にはポリフェノールが含まれているが、その中にはテアフラビンという色素があり、その中の構造の一部にトロポロンという構造があり普段は赤茶色であるが、レモンのクエン酸に触れると無色になる性質を持っている。トロポロンの構造の一部にはという部分があるが、酸が加わるとそれがOHに入れ替わり、無色になるのである。

 番組ではさらに、ハーブティの一種「マロウブルー」の色が酸やアルカリを混ぜることで様々に変化するという実験が行われた。マロウブルーの色の変化は、アントシアニンの構造変化によるものであるという。アントシアニンは、紫キャベツにも多く含まれており、その煮汁で中華麺をゆでると、かん水のアルカリ性により麺は緑色に変化する。さらにその麺にレモン汁をかけてよく混ぜるとピンク色に変化するという実験も行われた。




 酸やアルカリで色が変わると言えば、小学校の時に理科の実験で使われたリトマス試験紙が思い出される。このほか、自宅で、果実や雑草の実をつぶした色水を作り、お酢や石けん水をまぜて色を変えるという実験をしたこともあった。

 これらの実験を通じて、一般に、青色の液体は酸を加えると赤になり、赤色の液体にアルカリを加えると青になるということはよく分かったが、私が疑問に思っていたのは、なぜそのような色に変化するのかという根本原因であった。要するに「こうすればこうなる」という料理本的な説明では納得ができず、なぜ色が変わるのか、なぜ酸を加えると赤っぽくなるのか(なぜ青っぽくならないのか)ということが分からなかった。しかし、小学校の時に先生に質問しても答えは分からず、中学の頃、理科の教育実習に来られた先生に質問しても、納得できるようには教えてもらうことができなかった。

 いま思うと、上記の根本原因を知るためには、そもそも色素とは何か?という点から理解する必要があるようだ。
色素(しきそ、coloring matter, pigment)は、可視光の吸収あるいは放出により物体に色を与える物質の総称。
 トロポロンとかアントシアニンが特定の色に見えるというのは、おそらく、その物質の分子構造が特定の波長の色を吸収するため(吸収されない波長の色が反射し、それらが人の色覚系によって特定の波長の色と同じように見えるため)であろう。酸やアルカリで色が変わるのは、おそらく、OHの入れ替わりによる構造変化が、異なる波長の光を吸収するようになるためと考えられる。

 子どもの頃は、もう1つ、絵の具を混ぜるとなぜ別の色になるのかということも分からなかった。これも「この色とこの色を混ぜればこういう色になる」という料理本的な説明では満足できず、何らかの化学変化が起こって色が変わるのかとも思っていたが、けっきょく、絵の具の混色というのは酸やアルカリによる化学変化とは別物であり、絵の具を混ぜた時に含まれる様々な顔料が特定の波長の色を反射し、目に届いた複数の波長の光が、人間の色覚系によって特定の波長の色(RGBなどの組み合わせ)として処理されて別の色のように見える(減法混色)ということが、後になってから分かった。

 次回に続く。