じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 11月13日の朝、月齢27.1の月と金星が接近して輝いている様子を眺めることができた。『天文年鑑』によれば最接近は13日の6時30分で3°04′。
 なお次回の接近は12月13日で、その時は4時31分に0°27′まで大接近するという。なお『天文年鑑』の別の記事には「12月13日の5時40分に0°48′まで接近し金星食となるが、日本では見られない」(但し、北方領土ではかろうじて見える)」と記されている。【この記事で「4時31分に0°27′」と「5時40分に0°48′まで接近」という2つの時刻が記されているのは、金星食の時点ではまだ金星が東の空に現れていないことを意味していると思われるが未確認】

2020年11月12日(木)



【連載】新型コロナ 全論文解読 〜AIで迫るいま知りたいこと〜(2)冬場の感染拡大と、交差免疫、マスクによる微量感染効果

 昨日に続いて、11月8日に放送された、

新型コロナ 全論文解読 〜AIで迫るいま知りたいこと〜

という特集番組についての感想と考察。番組ではまず、

●この冬日本の感染者数は増加するか?

という話題が取り上げられた。

 その前に11月12日以降の最新情報をいくつかピックアップしてみると、
  • 【国内感染】12日 1日では最多 1661人の感染確認【11月13日4時47分】
    12日は、これまでに全国で1661人の感染が発表されています。また、北海道で2人、宮城県で2人、東京都で2人、埼玉県で1人、沖縄県で1人、神奈川県で1人、青森県で1人の合わせて10人の死亡の発表がありました。
    国内で感染が確認された人は、空港の検疫などを含め11万3826人、クルーズ船の乗客・乗員が712人で、合わせて11万4538人となっています。
    亡くなった人は国内で感染した人が1873人、クルーズ船の乗船者が13人の合わせて1886人です。
  • アメリカ 新型コロナ 1日の感染者が14万人超 最多に【11月13日5時30分】
    ジョンズ・ホプキンス大学のまとめによりますと、アメリカで11日に報告された新たな感染者数は14万4133人と、これまでで最も多くなりました。
    1日当たりの感染者は9日連続で10万人を上回っているほか、死者も1000人を超える日が続いています。
  • 新型コロナ “欧州系統は飛まつ感染しやすい” 東京大学など【11月13日4時54分】
    新型コロナウイルスのうち、一部が変異してヨーロッパから感染が広がったタイプのものは、飛まつ感染しやすい性質があることを動物実験で確かめたとする研究結果を、東京大学などのグループが発表しました。
というようになっており、この番組の収録後さらに感染が拡大し、すでに、冬場の感染拡大は事実となりつつあるようだ。

 番組によれば、冬場の感染拡大のリスクとしては、
  • 1位 気温
  • 2位 湿度
  • 3位 ビタミン
  • 4位 年齢
  • 5位 地域
があるという。
 このうち3位の「ビタミン」というのは「冬場の日照時間不足により、免疫力を維持する体内のビタミンDが減少する」というリスクであり、確かにこのところのヨーロッパや北海道での感染確認者数増加の一因になっているように思われる。
 1位と2位に関しては、「気温35℃、湿度60%」という「夏条件」と、「気温24℃、湿度20%」という「秋口の条件」でプラスチックに付着した新型コロナウイルスの生存時間を比較したところ、「夏条件」ではおよそ2時間であったのに対して、「秋口の条件」では15時間も生き続けたという研究があるという。このことから、低温と乾燥が強まる冬場にはさらに感染者が増えるリスクがあるという。

 上記のリスクは世界規模で均一と思われるが、これまでこの連載で何度か取り上げてきたように、欧米地域と東アジア地域では、明らかに感染者、死亡者数に違いが出ていることも考慮する必要がある。番組で示されたデータによれば、人口100万人あたりの死亡者数は、
  • イギリス、スペイン、イタリア、フランス、アメリカ、ブラジルは500人以上。
  • 日本は13人、韓国は9人、マレーシアは6人、ベトナムは0.4人、中国は3人
などとなっていて、東アジア地域は桁違いに少ない。なお、上記のデータでは、東アジアの中では日本人の死者数が相対的に多いように見えるが、この一因は日本は高齢者の比率が多いことによるものと推察できる。

 ではなぜ東アジア地域では感染の影響が小さいのか?ということだが、番組では1つの説として、交差免疫説が紹介された。ある論文によれば、新型コロナで重症化した人の割合は、季節性コロナに感染していない人では28.1%にのぼるが、過去5年間に感染したことのある人では4.8%に過ぎなかったという。また、東大の先生の研究によれば、日本人では交差免疫を持っている人が52人中75%にのぼっていることが分かったという。コロナウイルスによる風邪は、東アジア地域で頻繁に流行を繰り返してきたため、感染しにくく、また重症化しにくいことが示唆される。

 このほか、日本人では以前から習慣化していたマスク着用が、新型コロナの感染を微量化し、それを繰り返すことで抗体が少しずつ作り出されて免疫細胞が訓練され、知らぬ間に免疫力を獲得できたという可能性も指摘された。この可能性については、大規模な抗体検査を実施すればすぐに分かると思うのだがどうだろうか。

 但し、今回の番組に出演されたゲストの宮坂先生によれば、交差免疫は可能性であってまだ科学的には証明されていないという。また抗体の中には良い抗体(ウイルスを攻撃する抗体)と悪い抗体(ウイルスの感染を拡大する抗体)があり、必ずしも良いことばかりというわけではない。なお宮坂先生によれば、「日本人の重症化を抑える要因」としては、他に、生活習慣や遺伝子なども考えられているが現時点ではまだ確認されていないという。また、同じくゲストの高山先生は、日本人が重症化しにくいと言っても、高齢者の死亡率は12%になっているなど、決して安心できる傾向ではないと指摘されていた。
 また宮坂先生は、マスク着用が感染を減らすことは確かだが、それが「【微量感染を繰り返すことで】免疫力を高める」ためなのか、「吸い込むウイルス量を減らす」ためなのかはまだ分かっていないと指摘された。

 次回に続く。