じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 半田山植物園を散策中、木の高いところに糸を張っているジョロウグモと、月齢7.5の月がちょうど重なって見える場所があった。まるで蜘蛛が半月を捕らえているかのようだ。

2020年10月24日(土)



【連載】#チコちゃんに叱られる!「ヤバイ毒茸」、「疲労感の原因」

 10月23日に初回放送された、NHK チコちゃんに叱られる!の感想と考察。

 本日は、
  1. なんで給食に揚げパンが出るようになった?
  2. 1馬力ってなに?
  3. 江口文陽先生セレクト! 「絶対に食べちゃいけないヤバイ毒キノコワースト3」
  4. 座ってただけでも疲れるのはなんで?
という4つの話題のうち、3.と4.について考察する。

 まず3.の毒キノコワースト3であるが、番組では、
  • 第3位 コレラタケ:毒成分アマトキシン類を含む。エノキタケに似ているので誤って食べる人が多い。症状がコレラ感染に似ているところから命名。
  • 第2位 カエンタケ:毒成分トリコテセン類を含む。表面に触れただけで燃えるような痛みを伴う炎症。口にすると15分から30分で脳に障害をきたし呼吸不全をもたらす。
  • 第1位 ドクツルタケ:肝臓や腎臓を破壊。日本では最も危険なキノコ。1本食べただけで死亡。
が紹介された。但し、毒茸は悪いことばかりをもたらすわけではなく、毒茸の成分から病気を治す薬を抽出する研究も進んでいるという。

 上掲のうちドクツルタケと思われるキノコは何度か見かけたことがある。カエンタケに似たキノコも見かけたことはあるが、たぶん、キツネノエフデ、サンコタケ、ツマミタケなど、形の似た別のキノコであったとは思う。

 キノコの一部が毒を持つことが、進化上どういう利点をもたらすのかについてはよく分からない。ネットで検索したところ、こちらに詳しい考察があった。
どうやら,環状ペプチドを持つキノコの毒が本来倒したい相手は,ケモノや人間ではなく,キノコバエの幼虫のようなのだ.幼虫はキノコの中をゆっくり食べ進んでいくので,数日かかる毒でも,食べられる前にやっつけられる.そして,幼虫のほうも毒性に抵抗するように進化するので,エスカレートした結果,猛毒になってしまったらしい.人間のキノコ中毒はその戦いの巻き添えということになる.





 最後の4.であるが、ウィキペディアでは「座ってただけでも疲れるのはなんで?」となっていたが、番組の疑問タイトルは「なぜ人は『疲れた〜』ってなる?」となっており、正解は、「脳がさびるから」と説明されていた。

 解説者によれば、重いものを持つ、登山、ダンベル運動などによる疲労は、運動の刺激によって筋肉の一部が傷ついた状態のことを意味し、「筋肉疲労」と呼ばれる。これに対して、長時間仕事をしたあとの疲労感は、自律神経の疲労が原因となっている。何かに集中したり頭を使う作業を続けていると、自律神経は大量の酸素を消費し、活性酸素が発生する。活性酸素は細菌やウイルスの働きを抑える効果もあるいっぽう、自律神経の細胞を弱らせてしまう【酸化。「細胞がさびる」】。

 しかし、さびがたまった細胞がそれ自体、疲労を感じさせているわけではない。脳が「体が疲れている」という警報を発することで初めて疲労を感じるようになる。本当に疲れているのは脳だが、私たちは、体が疲れているかのように錯覚させられているのだという。

 さびを戻す方法としては質の良い睡眠をとるほかはないが、「さびをつきにくくする方法」としては、
  • ×栄養ドリンクをとる(カフェインなどによって疲れを一時的にマヒさせるだけであり、疲労回復の効果は科学的に証明されていない)→日本茶をとる(日本茶にはテアニンという神経を落ち着かせる成分が含まれている。但し高温のお湯ではカフェインが多く出てくるため70℃以下のお湯で入れる。)
  • ×スタミナ料理をとる(栄養不足の状態には効果的だが、消化で自律神経に負担がかかり疲れる可能性→鶏の胸肉がオススメ(抜群の抗疲労効果をもつイミダゾールペプチドが含まれている)
  • ×サウナに入る(汗をかくことで自律神経に負担がかかる)→38℃前後のぬるま湯に脇の下あたりまでつかる。自律神経が落ち着き、体が睡眠の状態に入る)
という3点が紹介された。
 上記の3点はそれぞれ生理学的根拠に基づくものと思われるが、疲労回復というのは必ずしも短期的な効果だけで済むものではない。より疲労しにくい体を作る上ではスタミナ料理も有効ではないかと思われるし、サウナと水風呂の交替浴はそれなりの爽快感をもたらし、筋肉疲労の回復にも役立つように思われる(←栄養ドリンクについては、私は否定的だし、無料の試飲品以外には飲んだことはない)。

 余談だが、今回の解説者は「大阪大学・医学博士」と紹介されたが、これって、単に「大阪大学から博士号を授与された者」というだけのことで、現在の所属を表すものではない。さっそくお名前をもとに検索させていただいたところ、大阪市立大学大学院・医学研究科・疲労医学講座の特任教授をされていることが分かった。ならば、「大阪市立大学大学院・特任教授」という肩書きで紹介するほうが妥当であるように思われるが、なぜ「大阪大学・医学博士」というように紹介されたのかは大きな謎である。なお、リンク先には番組で紹介された疲労のメカニズムが紹介されていた。またこちらには作業効率低下を抑える「ゆらぎ」の効果、こちらにはイミダペプチド(イミダゾールジペプチド)の抗疲労物質としての可能性が紹介されていた。