じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 7月23日放送のNHK杯将棋トーナメント(2回戦、屋敷伸之九段vs山本博志四段)は、なかなか見応えがあった。画像は196手目の山本博志四段の手番。後手の山本四段はここで守りに転じて馬を引いてしまったが、図のように7九に金を打てば詰みがあったという。
 この7九金に対して、玉が5九に逃げればすぐに詰むところは私でも分かったが、6八に逃げた時の詰め方がよく分からなかった。じっさい山本四段は、御自身のツイッターで「△7九金▲6八玉△7七桂成▲7九玉△6七成桂に、▲7七桂の中合いの筋が見えてパニックになりました。」と述べておられた。
 しかし、「△7九金▲6八玉」の次に「△7八金」として「▲同角」で金を取らせると、そのあと「△7七桂成▲5九玉△4八歩成▲6九玉△7八成桂」という手順で詰めることができた。なるほど、こうすれば、香車で王手を掛けた時の中合いを防ぐことができる。なかなか奥深い。
 山本博志四段と言えば、三間飛車一徹で知られており、かつて三段リーグ戦の時に藤井聡太・二冠に対しても三間飛車のトマホーク戦法で勝利しているという。今後のご活躍に期待したい。

2020年8月24日(月)



【連載】#チコちゃんに叱られる!「指揮者が手を振る理由」「なぜ怪談は夏?」

 昨日に続いて、NHK チコちゃんに叱られる!の感想と考察。

 本日は、
  1. 肉じゃがって、なに?
  2. お地蔵さんって誰?
  3. なんで子供は縁石の上を歩きたがる?
  4. なんで指揮者は手を振る?
  5. なんで夏に怖い話をするの?
という5つの疑問のうち、残りの4.と5.について考察する。

 まず4.であるが、番組では「一瞬先の未来を演じているから」と説明された。

 解説者によれば、
  1. 指揮者は作曲者が書いた楽譜を見てどんな曲か頭の中に浮かべる
  2. 自分の解釈を演奏者に伝えるために手を振る
 解説者によれば、18世紀頃までは指揮者は存在せず、それ以前は作曲家自身が合奏をまとめていた。しかしこれでは、作曲家が死ぬと演奏できなくなる。きっかけとなったのは、メンデルスゾーンがバッハのマタイ受難曲の楽譜を猛勉強して、自分が指揮者となって広めたことにあるという。

 番組では、ベートーベンの「運命」の演奏時間が、指揮者によって41分34秒(指揮者:朝比奈隆)になったり、30分29秒(指揮者:ジャナンドレア・ノセダ)になったりというように異なる事例が示された。

 なお指揮者の手の動きと、楽器の演奏のタイミングは若干のズレがある。これは「先振り」と呼ばれ、このことから、番組では「一瞬先の未来を演じているから」が正解とされた。

 ここからは私のコメントになるが、私も、子どもの頃から、指揮者がいなくても演奏はできるのではないかという素朴な疑問を持っていた。演奏者の視線は殆ど楽譜のほうを向いているし、また、指揮者の合図だけで演奏のタイミングがピッタリ一致することはあり得ない。日頃の練習の中でスピードを合わせているのではないかと思っていた。

 なので、少なくとも演奏会場での指揮者の役割は、音楽のイメージを身振り手振りで表現し、観客に伝えるということにあるのではないかと思う。「自分の解釈を演奏者に伝えるために手を振る」というよりは「自分の解釈を観客に伝えるために手を振る」というのは真相ではないだろうか。

 指揮者の解釈通りに演奏するというのは、その指揮者が楽団に所属していて長期間にわたり練習を積んでいれば実現できるかもしれない。しかし、アマチュアの楽団が、演奏会の当日だけ有名指揮者を呼んでくるような場合は、演奏のスピードなどを事前の練習で調整することは困難であろう。ま、今の時代であれば、指揮者とオンラインで繋いで練習の指示を受けることはできるとは思うが。




 最後の「なんで夏に怖い話をするの?」については、番組では「ベテランが夏休みだったから」と説明された。番組によれば、夏に怖い話をするのは日本だけであるようだ。
 日本では、夏の行事として「盆狂言」という行事があった。お盆の時期には、ご先祖様の霊だけでなく、無縁仏や怨霊もやってくると信じられており、その供養として行われた。
 但し、直接の由来は、夏の芝居小屋が猛暑で客の入りが悪く、それゆえベテランの人気役者は夏休みをとることにあった。そういう状況のもとで若手役者を養うために、上記の盆狂言を歌舞伎にアレンジして怪談芝居が生まれた。しかし、若手役者は演技力が足りなかったので、大がかりな仕掛けでそれを補ったという。

 以上の説明はほぼ納得できたが、遊園地などで夏休み期間に設営されていたお化け屋敷とか、町内会の行事として行われる肝試しなどが、なぜ冬や春に行われないのかについては、もう少し説明が必要であるように思われた。もっとも、最近ではレジャーの多様化により、お化け屋敷の数も少なくなった。町内会行事でも、暗闇の中での肝試しなどは、安全対策の面から行われなくなってきたように思う。