じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 岡山県南部では6月10日の梅雨入り発表以来6月14日まで5日連続で雨が降っており、6月13日夕刻にはとうとう大雨警報が発出された。写真は、発出直後の雲の様子。今年の梅雨は、梅雨入り直後から梅雨前線が本州付近に停滞し、特に山陰地方が大雨となっている。6月11日の日記にも書いたように、どうやら、「新しい気候様式」の時代に入ったようである。

2020年6月13日(土)



【連載】又吉直樹のヘウレーカ!「ヘウレーカ流新型コロナウイルス 正しく怖がる!」(2)いろいろなウイルス

 昨日に続いて、6月3日放送の又吉直樹のヘウレーカ!

●「ヘウレーカ流新型コロナウイルス 正しく怖がる!」

についての感想と考察。

 さて、いきなり脱線するが、6月13日の朝5時台の、NHK「こころの時代で、

「敵対と共生のはざまで」

という放送があった。半世紀以上にわたりウイルス研究と感染症対策にたずさわってきた山内一也先生(88)がウイルスと人類の関係について解説、番組後半しか視られなかったが、山内先生は、
  • 脅威ではあるが、敵対するものではない。
  • ウイルスの立場から言えば、ウイルスは自分の子孫を残していくために適した場所で増えているだけで、ウイルス自体に善玉、悪玉があるわけではない。ヒメバチとイモムシとポリドナウイルスの3者の関係を例に挙げるならば、ポリドナウイルスはヒメバチにとっては善玉であり寄生の「共犯者」、イモムシにとっては悪玉となる。
  • 生命の1年歴でみると、ウイルスが出現したのは5月の初め、人間が出現したのは12月31日の最後の数秒。ウイルスvs人類と言ったところでウイルスにとって人間は取るに足らない存在。いかにウイルスと共生していくのかと考えるべき。
  • コロナウイルスは長い間、酵母という宿主と共にあったが、それを人間に来るように仕向けたのは人間。ウイルスは勝つとか負けるというような相手ではなく、全然違う存在。
  • 我々の遺伝子の4割くらいはウイルスと一体化したもの。腸内細菌100兆個、その細菌1つ1つに10以上のウイルスが居るとすると、我々の体内には1000兆個のウイルスが存在。そうなると、ウイルスと人との区別はつけがたい。
  • ウイルスといっても病気を起こすウイルスだけじゃない。まさに我々はウイルスと一緒に生きている。
というようなお話をされていた【長谷川による聴き取り・要約のため不確か】。この番組については、再放送のほか、NHKプラスでも視聴できるので、近日中に改めて感想を書かせていただくことにしたい。




 以上を踏まえて元のヘウレーカに戻るが、ヘウレーカの番組では、ウイルスの種類について、まず、DNAウイルスとRNAウイルスに大別されると説明された。ウィキペディアのリンク先に基づいて、もう少し詳しくまとめると、
  • DNAウイルス
    • 天然痘ウイルス、単純ヘルペスウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、B型肝炎ウイルスなど。
    • DNAウイルスには増殖の過程で生じたDNA複製のミスを修正する機構が備わっているので、RNAウイルスと比較すると遺伝子の変異が少ない。したがって、長期にわたって同じワクチンが使用可能であり、天然痘をワクチンによって根絶することができたのも天然痘ウイルスがDNAウイルスであったためであるとされる。
  • RNAウイルス
    • 一本鎖マイナス鎖RNAウイルス:インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、狂犬病ウイルスなど
    • 一本鎖RNA+鎖逆転写:ヒト免疫不全ウイルス、日本脳炎ウイルスなど
    • 一本鎖プラス鎖RNAウイルス:ポリオウイルス、コロナウイルス(SARS、MERS、新型コロナウイルス)、ノロウイルス、風疹ウイルス、黄熱ウイルス、デング熱ウイルス、ジカウイルス、日本脳炎ウイルス【一本鎖RNA+鎖逆転写にも分類されているようだが詳細は不明】など
となっているようだ。こうしてみると、今回の新型コロナウイルスはRNAウイルスであるゆえ、変異が起こりやすく、長期にわたって同じワクチンを使用することはできそうにないように思える。

 番組ではもう1つの分類として、カプシドの外側に脂肪膜(エンベロープ)があるタイプ(エンベロープウイルス)と、脂肪膜の無い(ノンエンベロープウイルス)があると説明された。ウィキペディアによると、この2通りと、上掲のDNAウイルスとRNAウイルスの2通りは独立しており、2×2の4通りが存在するようである。

 エンベロープはアルコール消毒や石けんで破られやすい。今回の新型コロナウイルスはエンベロープウイルスであるゆえ、手洗いが推奨されているという。であるとすると、水だけで手洗いするのと、石けんで手洗いすることでは感染防止効果がまるで違ってくるはず。私のような高齢者の場合、石けんを使うと手が荒れるのが気になるところだが、せめてアルコール消毒は励行したいと思う。

 ちなみにウィキペディアのリンク先によると、人間に悪影響を与えるウイルスの大部分はエンベロープを持つウイルスであるようだが、アデノウイルス、ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス、ノロウイルスなどはエンベロープを持たないウイルスに分類されていた。そう言えば、ノロウイルスにはエタノール消毒は無効だと聞いたことがある。確かに、エンベロープが無いウイルスには、エンベロープを破るような消毒では効果は無さそうだ。ネットで検索したところこちらに、
エンベロープと呼ばれる脂溶性の外膜を持つものと持たないものがあり、エンベロープの有無が消毒薬抵抗性に大きく関与する。エンベロープを有するウイルスはおおむね消毒薬感受性が良好であり、エンベロープを有しないウイルスは消毒薬抵抗性が強い。ただし、エンベロープを有しないウイルスの中でも、親油性のアデノウイルス、ロタウイルスなどは比較的消毒薬抵抗性が弱い。
と解説されていた。


 次回に続く。