じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 6月1日の日記に記したように、2020年5月からウォーキングの目標値を1日平均8000歩以上に引き上げた。私が参加している岡山ケンコー大作戦のポイント獲得基準で、従来の、
  • 1日4000歩以上で1ポイント付与。
  • 毎月のトータルの歩数が21万歩以上(女性は18万歩以上)、かつ1日8000歩以上の日数が8日以上のとき、60ポイントのボーナス付与。
という基準に加えて、
  • 1日8000歩以上で4ポイント加算(1日4000歩以上の1ポイントと加算されるので1日につき5ポイント付与)
という新基準が導入されたことが主たる理由である。従来は、どんなにたくさん歩いてもせいぜい91ポイント(毎日1ポイント×31日とボーナス60ポイントの合計)しか獲得できなかったのに対して、新基準では、毎日8000歩以上歩くと1カ月で215ポイント(毎日5ポイント×31日とボーナス60ポイントの合計)となり、格段の差がある。
 もっとも、この企画では、ポイント数に応じてご褒美が貰えるわけではない。1年間に貯めた合計ポイントのランキングの順位に応じて商品が貰える仕組になっているため、ポイントを増やすというのは参加者全体の中で相対順位をどれだけ上げられるのかが重要となる。もともとこの企画では、有料のフィットネスクラブに入会したり、指定の飲食店で健康メニューを食べないと上位には上がれない仕組になっているため、私のように歩数のみでポイントを獲得しても、1500位より上に上がることは難しい。せいぜい、1501位〜2000位の特典である3500円の商品券を獲得できるか、それとも順位が下がって2001位〜2500位の特典である3000円の商品で我慢するか、という500円差の攻防となるだけである。
 健康増進が最大の目的であるゆえ、商品券の金額は私にとってはどうでもいいことではあるが、行動基準が明示されているとそれを充たそうと動機づけられることは確かである。


2020年6月4日(木)



【小さな話題】サイエンスZERO「新型コロナ論文解析SP」(1)ウイルスの変異

 5月31日に放送された、

●NHKサイエンスZERO「「新型コロナ論文解析SP」を録画・再生で視た。日頃疑問に思っていたこと、こういう可能性があるのでは?と思っていた話題について、なるほどそうだったのかと思わせてくれるような説明があり大変参考になった。

 リンク先にも記されているように、番組では、ノーベル賞科学者・山中伸弥さんを中心とする専門家チームと人工知能AIとのタッグを組んだ「論文解析プロジェクト」が紹介された。通常、科学論文は査読つきかどうかで価値が決まってしまうが、査読完了や印刷を待っていたのでは新型コロナの猛威に臨機応変に対応することはできない。いま世界の研究者は週に数千本に及ぶ論文を査読前からネットで共有できるようになっているが、研究者個人が、膨大かつ玉石混交の情報の全体像を把握することは困難となっている。

 ここでいうAIというのは、最近いろいろな現象に対して応用されているビッグデータ解析が中心であるようだ。なので、論文の結論の信憑性を判定することはできないが、無数に近い論文で使用されているキーワードを抽出し、そこから内容的に近い研究を配置して可視化したり、どの論文が多く引用されているのかを漏れなく把握したりすることができる。

 番組では、まず、ウイルスの変異の系統樹が取り上げられた。一口に「新型コロナウイルス」というが、最初に武漢で発見されたウイルスは、わずか5カ月余りの間に5000種類以上に変異しているという。これらを地域ごとに分類すると、
  • アジア型:2019年12月、武漢を震源としてアジア地域で拡大した。
  • ヨーロッパ型:2020年1月下旬頃、中国から枝分かれし3月に入ってヨーロッパ地域で猛威をふるった。
  • アメリカ:アメリカは西海岸と東海岸で大きく2つの系統がある。カリフォルニアなど西海岸で広まったのはアジア型、いっぽうニューヨークなど東海岸で広まったのはヨーロッパから枝分かれしたタイプ。
となる。なお日本では、1月下旬から2月にかけてはアジア型が検出されていたが、3月に入るとヨーロッパ型が増えている。3月〜4月には再びアジア型が検出されているが、これについては、この時期に改めて日本に入ってきたものなのか、それとも1月下旬から入っていたアジア型がその後も存続して再び検出されただけなのかは未確認であるという。

 ウイルスにいくつかのタイプがあるのではないか?ということについては私自身も5月23日の日記で取り上げたことがある。今回の枝分かれは精査に基づいて分類されたものであるゆえ、これまでの疫学的データからの推察を裏付けるという点で大変説得力がある。

 例えば、カリフォルニアとニューヨークの地域差は、当初は初動対策の違い(カリフォルニアは成功、ニューヨークは失敗)などと言われていたが、それも一因であるにせよ、根本的な差違はどうやらウイルスのタイプの違いにあったようだ。

 ベトナム(感染者328人、死者0人)、カンボジア(感染者125人、死者0人)、ラオス(感染者19人、死者0人)といった東南アジアの一部の国で感染者・死者がきわめて少ないことも、ある程度説明がつきそうだ。もちろんそれら国々も万全の感染防止対策をとっているとは思うが、失礼ながら、欧米先進諸国に比べて卓越した医療体制や感染防止態勢が取られているとは到底思えない。おそらく、アジア型がゆるやかに拡大しつつ、これらの国々の人たちがすでに獲得している社会免疫、自然免疫によって大事に至らずに済んでいるものと推測される。

 では日本はどうなのか? 番組で紹介されているように、日本ではまず武漢発祥のアジア型が、訪日中国人観光客などを通じて早期に広まった可能性がある。しかし、その時期、日本ではPCR検査のハードルを高く設定していたため、感染していても無症状あるいは軽症の人たちは感染者数にカウントされることが無かった。これらの人々が一定の免疫を形成していたため、実質第2波となったヨーロッパ型の感染をどうにかこうにか抑え込んでいるのかもしれない(このあたりは、最近開始された無作為抽出の抗体検査で明らかにされるだろう)。いずれにせよ、日本人は、アジア型に対してはある程度の耐性があるが、ヨーロッパ型のほうにも感染しにくいのか、感染しても重症化しにくいのかはまだ未知数が多すぎる。北九州市での「第2波」や、東京アラート発出にも見られるように、まだまだ安心できる状況とは言えない。

 あと、アジア型とヨーロッパ型では、症状にも違いがあり、どうやらヨーロッパ型は「肺炎」に限定されず「サイトカインストーム」にも警戒する必要があるようだ。となれば、治療薬の効果もアジア型とヨーロッパ型では異なってくる。アメリカで有効性が確認された治療薬がアジア型の症状に有効かどうかは分からない。ワクチンの開発も同様。インフルエンザワクチンはA型、B型など複数種類が混合されていると聞くが、今回の新型コロナも感染地域・型によって異なるタイプを開発する必要があるように思う。

 次回に続く。