じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 2月24日の朝はよく晴れ、昨日に続いて2日連続で、備前富士(芥子山)の頂上からの日の出を眺めることができた。
 なお、日の出の方位は日に日に北側にずれており、2月25日以降は、北側山麓からの日の出となる見込み。

2020年2月24日(月)



【小さな話題】感染拡大に備えた分散型の危機管理体制

 昨日に続いて、新型コロナウィルス肺炎関連の話題。

 まずNHKオンラインによれば、23日午後9時20分現在で国内で感染が確認された人は、日本で感染した人や中国からの旅行者などが133人、クルーズ船の乗客・乗員が23日に57人増えて691人、チャーター機で帰国した人が14人の、合わせて838人になっているという。

 もっとも、ここでいう感染者数というのは、一定の条件を満たした人に検査を行い、陽性という結果が出た人の数のことである。病院や保健所に相談することなく軽い症状のまま治った人などはカウントされていない。

 さて、昨日も述べたように、自然災害に対しては、世界トップレベルの防災体制、災害支援体制を確立していると思われる日本が、感染症に対する体制はあまりにも脆弱で、次々と起こる事態にあたふたし、確信を持てないままに行き当たりばったりの対応に追われているという印象は否めない。より一般化して言えば、人類は、災害や事故に対しては一致団結して仲間を助ける力を身につけているが、未知の感染症に対してはなすすべがなく、また有効に対処できるようには進化してこなかったとも言える。

 ではどうすればよいかということだが、大勢の人たちが集まるイベントは必要最小限にとどめ、この先数ヶ月は、可能な限り自宅に引きこもることを徹底すれば、感染拡大のスピードを抑えて、医療体制が機能不全に陥ることを避けることはできるかもしれない。

 しかしそれだけでは経済活動全体が凍結されてしまい、生産や流通がストップすれば生活の基本が脅かされることになる。より、能動的な危機管理システムの構築を検討する必要があるだろう。

 1つ考えられるのは、組織の体制や指揮系統を分散・複数化しておき、あるグループのメンバーが感染して機能不全に陥っても、直ちに別のグループで業務が代替できるようにしておくことである。江戸時代で言えば北町奉行所と南町奉行所、いまの東京で言えば、東京メトロと都営地下鉄のような体制である。じっさい、東京の地下鉄では、どちらか1社が何らかの故障で全線運行停止となっても、残る1社の通常通りに運行していれば、多少長めに歩くことになっても移動に支障をきたすことはない。

 このような複数体制は、特に、感染防止対策の中枢で求められる。厚生労働省の庁舎も、各自治体の庁舎も、ある意味では巨大なクルーズ船のようなものだ。職員のうち1名が感染すると、同じ職場全員が濃厚接触者になってしまう。そのたびに関係者全員を2週間の自宅待機にしてしまったのでは感染防止対策そのものが遂行できなくなってしまう。

 2月22日に記したように、大規模な感染拡大を避けるためには、グループ分けが有効である。万が一感染者が出る前に、仕事場をいくつかの部屋に分散させ濃厚接触の小規模化をはかる必要がある。その上で、担当業務をいくつかのグループに分け並列的に分担し、1つのグループが感染者でダウンしても、別のグループがすぐに交代できるような、分散処理システムを構築しておく必要がある。

 各組織の幹部は、直接対面ではなく、可能な限りテレビ電話などで接触するべきであろう。社長と重役が毎日同じ部屋で協議をしていたのでは、誰か一人が感染していると中枢部全員が動けなくなってしまう恐れがある。感染対策本部においても、現場の視察者からの報告は、テレビ電話を通して行うべきである。

 このほか、通勤ルートも分散化する必要がある。公共交通機関、特に満員電車は感染の危険が非常に高い。このさい、感染対策にかかわっている職員などで公務員宿舎に居住する者は、宿舎と勤務先の間を専用バスで通勤すべきだと思う。いまは訪日外国人向けのバスが空っぽになっているので、こういうバスは簡単にチャーターできるはず。但し、運転手が感染していては元も子もないので、他の観光バス業務に従事しないという確約のもとで雇用する必要がある。

 要するに、単に、「テレワーク」、「在宅勤務」、「時差出勤」といった形で濃厚接触の機会を最小限にくい止めるだけでは不十分。組織内のグループ化をはかることで、特定の単位組織が感染でダメージを受けても、別の単位組織が直ちに肩代わりできるような危機管理体制を構築する必要がある。