じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 新幹線の車窓から眺める多摩川(1月31日撮影)。川岸に砂が堆積しているところが見えた。昨年の水害の爪痕だろうか。もっとも、自然保護の観点から言えば、コンクリートの護岸よりも砂地のほうがいろいろな生物の棲息に適しているかもしれない。

2020年2月4日(火)



【ちいさな話題】「 #送料無料 」ではなく「 #送料込み 」

 少し前の話になるが、1月29日のニュースによれば、「楽天市場」を運営する楽天が一定額以上の商品を購入した利用者の送料を一律で無料にすると決めたことについて、公正取引委員会が独占禁止法に違反する可能性があるとして、出店者から事情を聞くなど調査を始めたという。また、これに関して楽天の三木谷浩史社長は1月29日、「何がなんでも成功させていきたい」と述べ、予定どおり、ことし3月から始める方針を改めて示した。

 このニュースを聞いて、通販において、そもそも「送料無料」という表現が妥当なのか、いかなる商品も「送料込み」もしくは「送料別」として表示すべきではないかと強く思った。

 楽天とは無関係だが、テレビのショッピング番組などで、ときたま「送料は当社で全額負担します」と宣伝している場合があるが、これは全く納得いかない。通販会社は慈善団体ではないので、送料負担で損失を出してまで商品を売るわけが無い。要するに、原価と送料と利益をコミにした価格を「送料無料」と称しているだけであって、これは明らかに消費者を誤認させる詐欺的な商法と言わざるを得ない。

 では、「1個なら1000円で送料300円別」、「5個以上ご購入の場合は送料無料」という宣伝はどうか。この場合も、本来は5個以上の価格にそれなりの送料が含まれており、本体と送料の合計価格から送料分相当金額を値引きしますというのが正しい表現であろう。なので、より正確に表示するのであれば、
  • 1個ならば、送料込みで1300円
  • 5個ならば、送料込みで5000円
とするのが適正と言える。

 また「今だけ送料無料」という宣伝は、「今だけ送料相当金額分値引き」とするべきである。

 例外的に、書籍のように再販価格が決まっていて、一定金額以上の購入は送料無料ということもありうるとは思う。但し、この場合であっても、本当に送料を負担しているのは消費者である。再販価格の中に販売業者の利益分が含まれていて、その一部を送料に振り分けているだけのことだ。要するに、通販でモノを購入している以上、何かの補助金でも出ない限りは、消費者が送料負担から逃れられるはずはない。

 もとの話題に戻るが、消費税の場合は、「税込み価格」か「税別価格(外枠)」ということが消費者に分かるようになっている。税込み価格の商品について「消費税分はお店で負担」とか「消費税分を返金」と宣伝するのは、あたかも免税措置が受けられるような間違った印象を与えており、適正な表示とは言えない。送料も全く同じで、購入者が価格の一部として負担しているにもかかわらずそれを無料であるとか、売主負担であるように宣伝してお得であるように見せかけるのは不当表示であるように思えてならない。