じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 1月4日の日記で、「みんな、自由だ。」というauのCMを称賛したところであるが、登場していたキャラクターの中に、日本のどの昔話の主人公なのか分からない女性が出ており大きな謎であった。その後帰省してきた某家族に尋ねたところ、どうやら織姫らしいことが判明。某家族は、auのCMは以前からいろんなバージョンが流されており、その経緯を知らないと、今回のCMの意味は分からないだろうと言っていた。
 私自身は、今回のCMは、日本の昔話の主人公たちが一堂に会して自由に動き回っているという設定だと思っていたが、もっと深いストーリーがあるらしい。それにしても、過去のCMをただの一度さえも視たことがないというのは、奇妙なことだ。同じ日本国に住んでいても、私には全くかかわりのない別の世界があるということの証明か。【ちなみに、それぞれのキャラを演じている俳優さんのお名前は、失礼ながら誰一人存じ上げていない】

2020年1月13日(月)



【小さな話題】「認知症の第一人者が認知症になった」

 1月11日に放送された、

NHKスペシャル「認知症の第一人者が認知症になった」

を録画再生で視た。

 精神科医長谷川和夫さんは、1929年生まれで90歳。「長谷川式」と呼ばれる早期診断の検査指標の開発者であり、また、「痴呆」 という呼称を「認知症」に変えることを提唱した認知症医療の第一人者として知られている。ウィキペディアによれば、2018年、自らが認知症であることを告白した。当初、長谷川は自身の症状をアルツハイマー型認知症でないかと疑っていたが、2017年11月に認知症専門病院である和光病院での診断の結果、嗜銀顆粒性認知症であると判明した。番組では、約1年間にわたり、長谷川さんの自宅を何度も訪れたり、講演の様子や家族の語りを通じて、認知症を生きていく上で大切なものは何かといった視点から継続的な取材が行われていた。

 番組の冒頭では、2018年7月の取材開始時の家の中の様子が紹介された。自宅の仕事場は「僕の戦場」と称され、そこで「自分の考えをまとめたり、自分の知らない情報を探しあてたり」することが今でも生きがいになっているようであった。なおお見受けしたところ、パソコンなどの電子機器は使われておらず、300冊ほどの関連書、教養書などが所狭しと積み上げられていた。また、手書きで日記をつけておらる場面があった。

 番組によれば、長谷川さんは現在、夫婦2人暮らし。60年前に結婚し3人のお子さんがある。番組の後半では、このうちの娘さんお一人が介護に付き添っておられた。また番組には登場しておられなかったが、息子さんも医師であることがネット情報から確認できた。

 長谷川さんの行動やしゃべり方は、少なくとも番組前半では、本当に認知症なの?と疑ってしまいたくなるほど、しっかりしていた。しかし、2018年12月収録時、新たに出版する本の打ち合わせをしている時には【この時から、娘のまりさんが登場】、途中から打合せと関係の無い話を次々と始めるなど、明らかに認知症を裏付ける症状が見られ、その後は、
  • 経験がなくても繰り返し話をする(自分で鍵を閉めて出かけることは殆どないのに、外出のたびに鍵をかけたかどうか確認するという話をする)
  • 朝だか夕方だか分からなくなってきた
  • 死のうかと思った
  • 講演の冒頭、最後に予定していたはずの歌から始める【但し、これは会場の気分を変えるため】
  • 家の中での転倒事故(2019年7月)
  • 体調のすぐれない日が増え、食事もとらずソファで寝てしまう(2019年9月)
というように少しずつ症状が進行していることが見て取れた。

 番組の中では、家族の負担を軽減するため、高齢者施設のデイケアサービスを利用する場面も放送されていた。しかし長谷川さんは施設の雰囲気やレクリエーションは楽しめず、早く家に帰りたい、家の中の仕事場に戻りたいと希望し、結局、参加を止めてしまう。2泊3日の体験宿泊も同様であった。

 このあたりは、高齢者介護・福祉では常に問題になるところだろう。たいがいのお年寄りは、施設への入所ではなくずっと自宅で暮らしたいと思っているだろう。しかし、そうなれば家族の負担は重くなる。番組の中のやり取りでもあったように、当事者が亡くなれば家族は悲しむだろうが、同時にホッとするかもしれない。私自身もいずれ、認知症か、身体が不自由な状態になった時は、同じ事態に直面するかもしれない。他人事では済まされない問題である。