じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 文学部・中庭花壇のダンギク。多年草でだいぶ前からこの場所で生育しているが、最近は開花が遅く、花が咲いたかと思うと霜にあたって萎れてしまう。

2019年12月20日(金)



【連載】関係反応と #関係フレーム をどう説明するか(54)専門書、入門書で取り上げられている事例(11)刺激等価性研究(4)「AならばB、AならばC」型の訓練と「AならばB、BならばC」型の訓練(2)

 昨日の続き。「AならばB、AならばC」型の訓練は推移性の関係反応(複合的相互的内包の派生)を確認することはできないように見える。但し、「AならばB、AならばC」によって、対称性の関係反応(相互的内包)である「BならばA」や「CならばA」が派生するのであれば、「BならばC」や「CならばB」は結果的に推移性の派生と同じことになるかもしれない。すなわち、
  • A→BおよびA→Cを訓練
  • B→Aが派生
  • よって、派生した「B→A」と、訓練した「A→C」を繋げば「B→C」という
という推移性が成り立つ。

 但しこれは、等位の関係フレーム(刺激等価性と同じ)に限った話であり、比較フレーム(大きい小さい/重い軽い/早い遅い/前後/速い遅いなど)では成り立たない。例えば大小関係をA>Bで表すと、

●「A>B」、「B>C」を訓練すれると、未訓練の「A>C」が派生

という複合的相互的内包は成り立つが、

●「A>B」、「A>C」を訓練しても、BとCの大小関係については「B>C」、「B<C」、「B=C」といういずれの可能性もあって比較のしようがない。

 もっとも、これはあくまで、順序尺度上でA、B、Cを比較した場合の話。実際には

●「AはBより大きい。かつAはCより大きい」

という情報は、それ以外の情報を含んでいる。例えば、A、B、Cがパンの種類であったとすると、

●「パンA2個のほうがパンBとパンC1個ずつよりも多い(2A>B+C)

と言える。また、ラーメン屋さんの前に行列ができていて、

●AさんはBさんより前に、またAさんはCさんより前に並んでいる

という情報が与えられた時に、BさんとCさんのどちらが前に並んでいるのかは不明だが、

●BさんとCさんが店に入れるのはAさんより遅い

と言うことはできる。要するに、「A>B」、「A>C」、「A<D」といったような比較は、順序尺度上の配列の情報だけでなく、Aを基準として、他の事象をひとまとまりのグループに分ける(カテゴリー分けする)情報を含んでいるのである。


 次回に続く。