じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 10月13日の日記で、台風19号の強風で倒れたと思われる裸婦像の写真【右側に再掲】を掲載したが、10月15日に同じ場所を通過したところ、向きや場所は若干異なっているものの、元に戻されていることが確認された【左側の写真の左上】。
 いっぽう、その南側にあるやや小さめの裸婦像が新たに倒れていることが判明。この像に限らず、このあたりの裸体像は土台が不安定になっているようだ。
 左側の写真2枚は男性の裸体像。こちらはツタが絡まって「緊縛裸体像」になっていた。世間のしがらみで動きが取れない苦悩を表現しているように見える。

2019年10月15日(火)



【小さな話題】
台風19号では被害状況ばかりでなく防災成功事例の報道も必要

 台風19号による被害は、10月16日朝の時点で74人死亡 12人不明 221人けがと報じられているが、まだまだ全容がつかめていないという。まずは亡くなった方々のご冥福をお祈りするとともに、不明者の一刻も早い救出、また土砂崩れや河川氾濫などで被害に遭われた方々へのお見舞いを申し上げたいと思う。

 さて、台風関連のニュースでは、どうしても実際に起こった被害の報道が中心となる。これは当然のことで、現場に近いところに住む人々にとっては避難情報という緊急性があるし、遠方の安全な場所に住む人々にとっては親族や知人の安否確認になる。

 しかし、今回の台風では科学技術の進歩や防災体制の強化によって、これ以上の災害の発生を防ぐことできたという事例も多数あるはずだ。被害の実態がある程度判明した後には、そういった防災成功事例も報道してもらいたい。失敗事例(防災に失敗し災害に至ってしまった事例)と成功事例(被害を防いだか、被害が起こったものの最小限にくい止めることができた事例)の両方を精査することこそが今後の、より強固な防災体制の確立に繋がる。[
追記]10月16日朝8時からの「特ダネ」では、防災成功事例として、「首都圏外郭放水路」、「荒川第一調整池」、「鶴見川多目的遊水池」、「渡良瀬遊水池」を挙げており、八ッ場ダムにも言及していた。

 今回の台風に関連して科学技術の進歩を感じたことしてはまず、数日前からの進路の予想がほぼ的中した点を挙げることができる。当初は九州方面に進むという予想もあったと記憶しているが、その後は「東海から関東の範囲に上陸する見込み」という予想で一貫しており、実際に予測は的中した。大雨の予想や特別警報もほぼ適確に発出され、多くの人々が早めに避難することができた。

 東京都内での浸水被害が少なかったのは、地下に設置されている巨大トンネル(調整池)が大きく貢献したためであろう。そう言えば、狩野川台風の時、私は東京・世田谷に住んでいたが、あの時は確か近くの川が氾濫し、川の近くの低い土地は長期間水浸しになっていたと記憶しているが、今回はそのような被害は起こらなかった。

 民主党政権下で一時事業中止となった八ッ場ダムについては、ウィキペディアでは、「台風19号が襲来して八ッ場ダムがフル稼働し、下流の洪水被害を防いだ」という意見があるいっぽう、「利根川水系全体でみると過小であり、利根川下流部を救ったとは考えにくい」という意見もあり評価が分かれているというが、政治的に利用されることなく、純粋に科学的な効果測定が求められる。

 なお、一般的な「成功体験」や「失敗体験」の場合もそうだが、何かの現象というのは、無限に近い諸要因の相互作用の結果として生じるものである。そういう意味では、あらゆる現象は、必然的に生じると言っていい。 しかし、実用的な問題として、膨大な数の諸要因の相互作用を逐一把握することは不可能であり、むしろ一纏めにして確率現象として扱ったほうが有用である場合が多い。それらの作用は本質的には必然的であるが、便宜上「偶然的要因」として処理される。

 もとの防災の話題に戻るが、防災が失敗した場合(被害が起こってしまった場合)、防災に成功した場合(被害を防げた場合)のいずれにおいても、上記の意味での「偶然的要因」が働いている。なので、被害が起こった直接原因だけを取り上げて改善したとしても、その時は小さめであった別の偶然的要因が次の台風襲来時にもっと大きく働いてしまえばまたまた被害が発生する恐れがある。防災に成功した事例においても、偶然的に有利にはたらいた要因を精査する必要がある。

 いずれにせよ、防災に失敗した事例だけを取り上げて、あれやこれやと批判をするだけでは改善には繋がらない。上記を留意点を踏まえつつも、被害の全容が明らかになった後は、「こんなに雨が降ったのに被害を防ぐことができたのはなぜか?」という事例を積極的に取り上げてほしいものである。