じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 与島から眺める瀬戸大橋。車で瀬戸大橋を渡るのはたぶん6年ぶり。

2019年8月7日(水)



【連載】

又吉直樹のヘウレーカ!「仕掛学」と行動分析学(3)

 昨日に続いて、7月17日放送の又吉直樹のヘウレーカ!「なぜ駅前の放置自転車が急になくなった?」の感想とコメント。

 本日は、「傘立てからボクの傘が盗まれる!どうしたらいい?」について私なりに考えてみたいと思う。

 行動分析学の原理から言えば、傘を盗む理由として考えられるのは、次の2つであろう。
  1. 突然雨が降ってきた時に、傘を持参していない人が勝手に使ってしまう。雨に濡れないことで強化される。
  2. 高級な傘を転売目的で盗む。その利益によって強化される。
このうち2.は一般的な窃盗犯罪と同様に取り締まるほかはないが、自衛策としてはそのような貴重な傘を傘立てには置かないことが必要かと思う(常に持ち歩く。雨で濡れた傘を店内に持ち込む場合には水を切るか、店の入り口で用意されている袋に入れて水が垂れないようにする。)

 1.は傘特有の問題であり、100円ショップなどで売られている安価なビニール傘や折りたたみ傘が多いため、持ち主もちゃっかり盗む人も、これは自分の傘だという所有感が乏しい。傘立てに同じ形の傘が5本も並んでいれば、そのうちの1本を拝借しても迷惑にならないと思われるのかもしれない。

 では、どうすれば1.を防ぐことができるのか? 一番簡単なのは、傘の手元部分を差し込み式にしておいて、傘立てに立てる時はそれを引っこ抜いて持ち歩くようにする。1.の理由で傘を盗む人は、雨に濡れないことが目的なので、手元部分が引っこ抜かれた傘をわざわざ盗もうとはしないだろう。

 さらに確実なのは、カギを差し込まないと傘が開かないような仕掛けである。開かない傘をわざわざ盗む人はおるまい。

 いずれにせよ、盗んだことが何らかの形で強化されるから起こる。行動が強化されないような仕掛けを作れば、盗む人はいない。

 このほか、駅前や店の店頭で、傘を無料で貸し出すようにすれば、わざわざ盗む人は出てこない。借りた傘は、適宜、元の場所に戻してもらう。忘れ物として処分された傘を使えばいい。じっさい、いくつかの地域では、そういうシステムが実施されているはず。

 次回に続く。