じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 6月15日の岡山はほぼ一日雨が降り、降水量の合計は59.0ミリに達した。岡山を含む中国地方は未だ梅雨入りの判断が見送られているが、これで6月15日までの月間降水量は102.5ミリとなり、6月全体の平年値171.5ミリの2/3を超えた。

 なお、この日の特徴は、低気圧の接近により一日中気圧の低い日が続いたことである。毎時の気圧の最低値は(海面補正)は987.8hPa、1日の平均値でも994.2hPaとなった。気圧の平均値が1000hPaを下回ったのは昨年9月30日以来のことであった。日最低海面気圧のランキングには及ばないが、台風接近・通過時以外にこれだけ低い気圧が続いたのは珍しいのではないかと思う。


2019年6月15日(土)



【連載】

又吉直樹のヘウレーカ!「“かわいい”ってどういうこと?」 (2)「かっこいい」、「しんきくさい」、「えげつない」など

 昨日に続いて、又吉直樹のヘウレーカ!の「“かわいい”ってどういうこと?」 に関する話題。
 昨日も述べたように、この種の研究には、
  1. ある形容詞はどのような対象に対して使われやすいか?
  2. ある形容詞に対応していると想定される情動反応は、どのような条件のもとで生じるのか?
という2つのアプローチがある。

 解説者のN先生の研究は2.に関するものであるが、提示された言葉に対して「どのくらいかわいいと思うか?」と評定するような調査は、1.の言葉の使われ方を尋ねているようにも受け取れる。

 もちろん、言葉というのは話し手と聞き手の共通体験が無ければ使う意味が無い。番組では「かわいいと感じている人はそれぞれかわいいのツボは違うけれども、かわいいと感じている心の状態はおそらく似たようなところがあると思う」と説明されていたが、そうであるとすると、生理反応としての「かわいい反応」の独立性・再現性を明らかにするか、「かわいい反応」の機能を明確にするか、あるいは多種多様な感情反応を分類される際のカテゴリーとしての節約性・有用性を強調するほかはないように思う。

 そう言えば、土曜日の朝にたまたま視た「ネーミングバラエティー 日本人のおなまえっ!」(木曜日放送の再放送)で、「かっこいい必殺技」ランキングの話題を取り上げていた。ランキングには「第4位 スペシウム光線(ウルトラマン)」、「ライダーキック(仮面ライダー)」、「空手チョップ(力道山)」のような「かっこいい必殺技」が上位を占めているが、さらに上位の「1位 かめはめ波(ドラゴンボール)」、「アンパンチ(アンパンマン)」、「元気玉(ドラゴンボール)」、またランキング外ではあったが「庶民シュート(スラムダンク)」というように、ゆる〜いおなまえの必殺技が増加したという。番組によれば、これは、“かっこいいことがかっこ悪い”という考え方が出てきたことによるという。

 「かっこいい」は「かわいい」と同じく「視覚だけで快を感じる」刺激の1つかと思うが【←この件については次回以降で取り上げる予定】、もし質問紙調査で、「次のモノ、人、動作はどの程度かっこいいと思うか」というような評定を求めたとすれば、上述の「かわいい」と同じように、言葉の使われ方の問題が出てくるように思う。しかも、時代や文化によって「かっこよさ」の標準が変わってくるから厄介だ。

 少々脱線するが、形容詞の中でも私的出来事や主観的評価に関わる表現は、地域によっても変わってくる。私は東京生まれの東京育ちであるが、京都で下宿生活を始めた頃、「しんきくさい」、「えげつない」、「えらい(「偉い」ではなく「疲れた」)」、「しんどい」、「せわしない」、「むさい」といった形容詞の意味が分からず戸惑ったことがあった。その後京都には15年も住んだので、さすがにそれぞれの辞書的な意味や用法は理解できるようになったが、自分自身がそれにぴったりの感情を持ったことは一度もなく、当然、自分から発したことは一度も無かった。京都弁ではないが、最近、たまに耳にする「うざい」という形容詞も同様。どういう状態の時に使ってよいのか、私にはさっぱり分からない。

 次回に続く。