じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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3月2日の朝はよく晴れて、東の空に金星、月齢25.0の月、土星、木星、アンタレスが見えていた。月と土星は3月1日の03時28分に0°19′まで接近し土星食となった(土星食は毎月起こっているようだ)。
写真下は日の出の様子。もやがかかっていて、丸い輪郭がはっきり見えた。

2019年3月1日(金)



【小さな話題】
チコちゃんに叱られる! 「雛人形の呼称」、「にっぽんとにほん」

 3月1日放送のNHK チコちゃんに叱られる!」の感想。
  • おだいり様とおひな様って誰?
     答えは「お内裏様は上の男女二人、おひな様は雛人形全員のこと」であり、多くの日本人が「男雛がお内裏様、女雛がお雛様」と誤解しているのは、童謡うれしいひなまつりに「お内裏様(だいりさま)と おひな様 二人ならんで すまし顔」という歌詞があったためとのことであった。この歌詞は、作詞者・サトウハチロー氏の勘違いによるものだという。

     「うれしいひなまつり」の歌詞は幼稚園の頃から歌っていたと思うが、小学生低学年の頃は、男子の間では、もっぱら替え歌として流行っていた。私が覚えているのは、
    あかりをつけましょ 爆弾に
    お花をあげましょ 若乃花
    五人ばやしの 愚連隊
    今日はたのしい お葬式
    であった。
     上記の替え歌に出てくる「若乃花」はもちろん、栃若時代を築いた初代・若乃花のことである。当時の子どもにとって大相撲は、プロ野球やプロレスと並ぶ人気スポーツであった。
     同じく上記替え歌に「愚連隊」という言葉が出てくるが、最近はあまり耳にしなくなった。


  • なんで「ニホン」と「ニッポン」2つある?
     答えは「江戸っ子がせっかちだったから」ということであった。もともとは奈良時代に国名「日本=ヤマト」を名乗った時に、「日本」の当時の中国語読みが「ニエットプァン」であることに由来しており、これが日本人に発音しやすい「ニッポン」に変化した。その後江戸時代に、せっかちな江戸っ子によって「ニホン」と簡略化されたとのことであった。

     番組の中ではこれに関連していくつか、興味深い話題が紹介された。

     まず、「日本橋」の発音が東京では「にほんばし」、大阪では「にっぽんばし」となっていること。私も、学生時代、大阪に出かけて行った時に戸惑ったことがあった。ちなみに、「京橋」は東京でも大阪でも同じように「きょうばし」と発音するが、イントネーションが違うので通じないこともあった。

     もう1つは、「にっぽん」と「にほん」の使い分けである。NHKの『ことばのハンドブック』や『日本語発音アクセント辞典』では、
    • にっぽん
      日本銀行、日本放送協会
    • にほん
      日本酒、日本料理
    • どちらでもいい
      日本犬
    など。私自身は、殆どの場合「にほん」のほうを使っている。

     番組ではもう1つ、「ニッポン」から「ニホン」に変化した現象を説明する説として、「促音脱落」が紹介されていた。促音脱落の例としては「栗鼠(リッス→リス)」や「蜜柑(ミッカン→ミカン))」、「ピーナッツ→ピーナツ」、「キッス→キス」が挙げられていた。

     このことでふと思ったのが、助数詞における促音、撥音、濁音、半濁音の使い分けである。助数詞が「はひふへほ」の場合、
    • 発:いっぱつ、にはつ、さんぱつ、よんはつ(よんぱつ)、ごはつ、ろっぱつ、ななはつ、はっぱつ、きゅうはつ、じっぱつ
    • 匹:いっぴき、にひき、さんびき、よんひき(よんびき)、ごひき、ろっぴき、ななひき、はっぴき、きゅうひき、じっぴき
    • 分:いっぷん、にふん、さんぷん、よんぷん(よんふん)、ごふん、ろっぷん、ななふん、はっぷん、きゅうふん、じっぷん
    • 片(編、辺、遍):いっぺん、にへん、さんべん(さんぺん)、よんぺん(よんへん)、ごへん、ろっぺん、ななへん、はっぺん、きゅうへん、じっぺん
    • 本:いっぽん、にほん、さんぼん、よんほん、ごほん、ろっぽん、ななほん、はっぽん、きゅうほん、じっぽん
    というように発音するのが標準的ではないかと思うが【「よん」のあとが清音になるのか濁音や半濁音になるのかは私自身、どちらも使っているように思う。「10」は「じっ」と表記しているが実際の発音は「じゅっ」となる】、ここで言いたいのは、「に」のあとには決して半濁音が来ないという点である。
     ウィキペディアによると、日本語の助数詞はバラエティに富んでおり、一説には約500種類もの数が存在するという。それに加えて、上記のように読み方も変化しており、おおむね以下のような規則性がある。
    • 助数詞が無声子音(か行・さ行・た行・は行)で始まるときは、「1・6・8・10・100」が促音便を起こす(「8」は促音便を起こさないこともある)。このとき、助数詞が「は行」で始まっている場合は「ぱ行」に変化する。
    • 数詞が「ん」で終わる漢語の場合(「3・1,000・10,000・半」)、少数の助数詞が連濁を起こす。「は行」で始まっている助数詞は、連濁を起こさない場合「ぱ行」になる。

     もとの話題に戻るが、「日本」を「日」と「本」という漢字に分けた場合、
    • 「日」には「にち」、「じつ」、「か」、「ひ」という読み方はあるが単独で「に」と読むことはない。
    • 「本」には「ほん」、「もと」という読み方があるが単独で「ぽん」と読むことはない。
    となっており、素人なりに考えると、
    • 「本」は殆どの場合「ほん」としか発音しないので、助数詞以外で「ぽん」と読ませるのはなじまない。しかも「日本」と類似発音の「2本」は「にほん」と発音する。
    • いっぽう、「日」は「に」とは発音しない。
    という点から、日本語の自然な発音形態や促音脱落を考慮すれば「にほん」であるが「日」は「に」とは発音しないことから不自然な印象があり、このジレンマが2通りの読み方を混在させているのではないかという気もする。