じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 2月13日付けの楽天版に掲載したように、2月11日の積雪後に岡大構内各所に出現した雪だるまは2月13日午後にはほぼ姿を消した。写真は一般教育棟中庭の雪片。考古学の発掘品であれば元の形は復元できるであろうが、雪像の融雪の場合は最終的に似たような塊に収束して消えていくため、数値計算だけで原形に戻ることは不可能ではないかと思われる。


2019年2月14日(木)



【連載】

関係反応と関係フレームをどう説明するか(40)「関係フレーム」とは何か?(28) いろいろな関係フレーム(23)Hierarchical Relations(2)

 昨日取り上げた、階層フレームの事例についてはいくつかの疑問が残る。

 まず、
「リンゴ(A)は果物(B)だ」と「リンゴ(A)は甘い(C)」というのも同様であり、「果物の中には甘い物がある」というBとCの関係を派生させる(=階層フレーム)。いっぽう「リンゴはバナナより甘い」、「リンゴはプルーンより甘い」からバナナとプルーンのどちらが甘いのかを比較することはできないが、これが比較フレームということになる。
という部分だが、「リンゴはバナナより甘い」と「リンゴはプルーンより甘い」という情報であっても、甘さを比較しているという文脈である以上、「バナナとプルーンはともに多少は甘い」という類似性の関係反応は派生するであろう。なぜなら甘さがあることを前提にしなければ「より甘い」という比較はできないからである。(それゆえ、「リンゴは唐辛子より甘い」とか「リンゴは三角定規より甘い」というような比較は意味をなさない。)

 上記の例は、甘さの関係を逆転させて、「バナナはリンゴより甘い」、「プルーンはリンゴより甘い」とするとさらに明確になる。リンゴはある程度甘いことから、「それよりも甘い」という情報から、「次の果物の中から甘いものを選んでください」という選択課題において、バナナやプルーンを選ぶという関係反応が派生できる可能性もある。もっとも、これは比較フレームにおける派生とは言えない。また、単に「バナナは甘い」というのは、「バナナは甘い果物である」という「バナナ」と「甘いモノ」との関係反応であって、バナナとプルーンの関係反応とは言えない。

 もう1つの「ボブはデーブとバーブの父親だ」(「ボブはデーブの父親だ」&「ボブはバーブの父親だ」)という例のほうも、「ボブはデーブとバーブの義理の父親だ」とすると、「きょうだい」関係は不明となる。ボブの2人の実の娘がいたとして、そのうちの1人がボブと結婚し、もう1人がバーブと結婚した場合、デーブとバーブは形式上は義理のきょうだいということになる。しかし、いずれも離婚してしまったとすると、デーブとバーブは単なる他人同士に戻るかもしれないが、もしかすると、デーブとバーブはじつは兄弟であったという可能性もある。またボブが、娘の結婚とは別にデーブやバーブと養子縁組をしていたという可能性もある。ま、いずれのケースでも、縁戚関係のほかに遺産相続の権利などの問題もあるだろうから、何らかの関係反応が派生されることは間違いないかもしれない。

 ということで、隠居人の立場からいろいろ屁理屈を並べてみたが、そもそもなぜ、階層フレームが重視されているのだろうか。これについては、37頁のところに、
Hierarchical relations are extremely important in the analysis of the use of verbal relations to abstract properties of the nonarbitrary environment. “Part-whole” or “attribute of”relations are hierarchical and when they are applied to the nonarbitrary environment, they draw abstracted physical features into relational networks, allowing the use of these now verbally abstracted properties as verbal relational cues and as verbally related events. This is the process that allows human verbal behavior to have practical implications as it is nonarbitrarily applied to the natural environment.
というように意義が強調されており、自然科学の分析や問題解決の基盤にこの階層フレームがあると論じられている。これについては、パープルブックの第5章に関連して後日、取り上げる予定である。

 不定期ながら次回に続く。