じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 夜明け前、南東の空に見える金星、木星、アンタレスの位置関係。金星と木星は1月22日の14時48分に2°26′まで接近した。3つの星を頂点とする三角形を作ると、日々、金星が左下方向に移動し、その形が変わっていることを実感できる。なお1月24日朝は薄雲が出ていて、金星がちらっと見えていただけであった。

2019年1月24日(木)



【連載】

関係反応と関係フレームをどう説明するか(23)「関係フレーム」とは何か?(11) いろいろな関係フレーム(6)Opposition(1)

 RFTのパープルブックでは、等位フレーム(Coordination)の次に反対フレーム(Opposition)が取り上げられている。各種の関係フレームの中で、「反対」が2番目に登場していることは少々違和感があった。
 というのは、「BはAと反対である」は、発達的には、まず「BはAと同じではない」を先に学び、その「同じではない」の一部が「反対」として抽出されるのではないかと思われるからである。例えば、「公園はどっち?」と聞かれた時に、本当は北方向にあるのに、東方向を指さしたとすれば「違う」と言われる。南方向、西方向もやはり「違う」と言われるだろうが、南方向に限っては「反対だよ」と言うこともできる。要するに、二次元平面上で東西南北4方向を選ぶような場合は、「違う方向」の一部に「反対方向」が含まれていると言える。

 もっとも、一次元空間では、「前と後」、「左と右」、「上と下」というように常に、「同じ」と「反対」が対になって向きの手がかりとなる。発達的にはこちらのほうが先かもしれない。

 元の話に戻るがパープルブックではまず、
...this kind of relational responding is organized around some specified dimension along which events can be ordered. With regard to some point of reference and an event that differs from that point in one direction along the continuum involved, an opposite differs in the other direction and to about the same degree along that continuum.


というように説明されている。具体例としては、温度の次元で「涼しい(cool)」は「暖かい(warm)」の反対、「寒い(cold)」は「暑い(hot)」の反対というような例が挙げられていた。この温度の対比は人間の体温が基準となっているが、恒星の温度を「冷たい(cool)」とか熱い(hot)」という時には基準が変わるとも記されている。

 ここからは私の考えになるが、一口に「反対」といっても、コインの裏表のようなケースと、直線上で位置関係における対比(上掲の「涼しいvs暖かい」など)では、意味や用法は異なっており、習得のプロセスも異なっている可能性があるような気がする。じっさい国語辞典(大辞泉)でも、「反対」の意味としては、
  1. 物事の位置・順序・方向・あり方などが逆の関係にあること
  2. 対(つい)をなしているものの一方。
というように少なくとも2つに分けて説明されている。このうち1.の「逆の関係」というのは、「反対」を「逆」という語に置き換えただけなのでトートロジーになっているが、要するに人間が事物を捉える時に、何らかの比較軸を設定しているということである。数学的に厳密に定義する必要もあるだろうが、大ざっぱに言えば、比較軸があれば方向があり、直線上の方向は必ず2種類あると言うことができるだろう。
 2.のほうも人間の事物の捉え方の1つであり、何かを対にしてとられたほうが個々バラバラに捉えるよりも便利なときに採用される。2.の場合は方向という概念は不要である。雛祭りの内裏雛は男雛と女雛が一対であるが、左右の並べ方は地域・文化によって異なる。しかし、左右どちらに並べても、あるいは前後や上下に並べたとしても、男雛の反対は女雛、女雛の反対は男雛というように対にして扱われる。(右大臣と左大臣は位置由来なので並び替えるわけにはいかないが。)

次回に続く。