じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



12月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る

 毎年この時期に、岡大のピーチユニオン(南福利施設)の建物外壁を中心としたイルミネーションが取り付けられていたが、今年は、大学会館南の岡大石庭に場所を移して、平面型の飾り付けとなった。よくデザインされているが、規模はかなり縮小されており、この程度であれば、どこかのショッピングセンター前や、民家の庭のほうが見応えありそう。【こちらに2006年以降の記録あり。】
]点灯は12月12日から12月27日まで。17時から21時。


2018年12月24日(月)



【連載】

関係反応と関係フレームをどう説明するか(7)文脈をめぐる引用メモ

 12月20日の続き。

 前回までのところで言語行動と文脈の話題を取り上げたが、一般的な文脈概念と、関係フレーム理論で論じられている文脈概念のあいだには開きがあり、混同を避けることも重要かと思う。

 ここでもう一度、関連書の中から文脈に関する記述を引用してみる。

 まずは『ACT第二版』(51〜52頁)から。【一部改変】
文脈という用語は,変容可能な一連の事象で,行動を形成する作用を持つものを指す。また文脈は, 物体やものごと自体を指すものではなく,機能的な用語でありそれには行動に関連したものとしての歴史と状況の両方が含まれる。行動と文脈がこのように互いに規定し合うことは,文脈的行動利学の分析単位が「文脈のなかの行為」である点から,一貫性があるといえる。古めかしいけれどもより正確な行動科学の言葉で表現するなら「刺激(文脈)がないところに反応(行動)は存在しない」あるいは「反応の伴わない刺激はない」ということである。仮にベルが鳴らされてもそれが誰の耳にも入らなければ,たとえデシベル計がどれほど大きな数値を示していたとしてもそこに心理学的な意味での刺激は存在しないのである。
厳密を期するために、英語原文(33頁)も合わせて引用しておく【一部改変】。
Context is a term used for the changeable stream of events that can exert an organizing influence on behavior. Context is not a code word for objects or things. It is a functional term. Context includes both history and situations as they relate to behavior. Since the organizing unit in contextual behavioral science is the act-in-context, it makes sense that behavior and context would be defined in terms of each other. To use the older but more precise behavioral language, it is not possible to have a response without stimulation or stimulation without a response. If a bell is rung but not heard, then the bell is not a stimulus in psychological terms no matter what the decibel meter might read.
 引用元の『ACT第二版』の第2章「ACTの基盤 機能的文脈主義からのアプローチ」にも記されているように、この文脈の定義は「単に文脈が行動に影響する」という影響や効果にとどまるものではなく、もっと根本的に、機能的文脈主義の哲学的基盤に根ざしたものとなっている。そういう意味では、やはり、ペパーの世界仮説や、実在論との対比、「機能」の意味などをしっかり整理しておく必要があるように思う。

 定年退職前にACTの会合に何度か参加させてもらったことがあるが、臨床の実践家がACTを学ぶ場合は、必ずしも機能的文脈主義者になる必要はないし、またクライエントとのコミュニケーションを円滑にするために認知的な用語(「認知メタファー」と言うべきか)を用いることも問題にはならないかもしれない。しかし、関係フレーム理論から言語行動の本質に迫ろうとする場合は、避けて通れない発想の転換が必要であるように思われる。

 不定期ながら次回に続く。