じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 8月4日午前3時頃、南西の空に輝く火星。↓の記事参照。

2018年8月3日(金)


【小さな話題】

火星への有人探査は不要

 7月31日に地球まで約5760万kmに接近した火星が、引き続き、ひときわ明るく輝いている。

 火星と言えば、昨年12月11日、トランプ米大統領は11日、月や火星への有人探査計画を進める政策指示書に署名した。NHK「コズミック フロント☆NEXT」でも、7月26日に、

コズミック フロント☆NEXT選「いざ火星へ!完全植民計画 最前線」」(2017年3月9日初回放送)

の再放送をやっていた。

 火星の有人探査については、私が子どもの頃からの憧れであり、とりわけ、岩崎書店発行の「少年少女宇宙科学冒険全集」(2001年3月10日の日記参照)のなかにあった『火星救助隊』は印象に残っている。

 しかし、当時SF冒険小説で描かれていた21世紀に比べると、2018年時点での宇宙開発は全く進んでいないように見える。私自身も、小学生の頃は、自分が生きているうちに、月や火星に自由に往来できる時代がやってくると信じていた。

 もっとも、21世紀の科学は決して停滞しているわけではない。上記のNHKコズミックフロントシリーズでも紹介されているように、宇宙のなりたちや、重力、時間などについて新たな知見が得られているし、火星の表面は探査車によって綿密に調査されている。

 そもそもアポロ計画以降に有人探査が行われてこなかったのは、「有人」のコストに見合ったメリットが得られなかったためである。「有人」ともなれば生命維持に必要な装置や食料、さらには万が一の事故発生に備えた救出体制をとる必要がある。それだけのコストを費やしても、「有人」のできることは、短時間、歩き回ったり岩石を拾ったりする程度に過ぎない。いまのロボット技術をもってすれば、無人探査のほうが遙かに多くの知見を得ることができる。

 もちろん、実際に月や火星に降り立つことができた人にとっては貴重な体験になることは間違いない。しかしそれを見守るだけの99.999...%の人類にとっては、「有人」が手で撮影している映像であっても、無人探査機に搭載されたカメラが伝える映像であっても、映像そのものは何ら変わるものではない。国際宇宙ステーションの窓から映し出される地球についても同様である。

 というように考えてみるに、有人探査にお金をかけるよりは、グーグルのストリートビューのような形で、月面や火星面を自由に動き回りながら高画質で立体的な風景を楽しめる技術を開発したほうが喜ばれるはず。科学的な研究はあくまで無人探査で進めるべきであろうと思う。