じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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昨日に続いて、大学院生・研究員時代に実験室前で撮った写真。この空き地では、ヒナゲシ、花菱草、スイートピー、コスモスなどを育てたが、いずれもその土壌で最初に播種した時はとてもよく育った。ヒナゲシが満開になった時はあまりにも目立ちすぎて、園芸にあまり詳しくないスジからは、ケシの違法栽培をしているのではないかと嫌疑をかけられるほどであった。
 ちなみに、ヒナゲシは連作障害が起こりやすい植物であり、翌年以降、この場所で見事に花を咲かせたことは二度と無かった。

2018年6月23日(土)


【小さな話題】

ネアンデルタール人絶滅の原因

 6月21日に放送された、

NHK コズミックフロント☆NEXT「ネアンデルタール人はなぜ絶滅したのか?」

を録画・再生で視た。

 ネアンデルタール人は、約40万年前に出現し、2万数千年前(4万年前という説もあり)に絶滅したとみられるヒト属の一種である。発見当時は、現世人類の祖先であるする説もあったが、その後の研究により、直系祖先ではなく、別系統の人類であり絶滅したと考えられている。番組冒頭でも取り上げられていたが、当初は、発見された頭蓋骨などから、ゴリラのように全身毛むくじゃらで野蛮な姿が連想されていたが、現在では色白で身長は160cm前後(ウィキペディアでは男性で165cm前後としている)、体重は75kg前後(ウィキペディアでは体重80kg以上)とされている。いちばんの特徴は、眉の部分が張り出し、眼窩上隆起を持つことにある。

 ネアンデルタール人が絶滅した原因については諸説あるようだ。番組では、従来から言われてきたいくつかの説について、最新のデータに基づく再考が行われた。

 まず、気候変動による絶滅説である。絶滅の時期はハインリッヒ・イベントと重なる可能性もあるが、食糧難や寒冷化だけで絶滅したとは考えにくい。

 第二に、カニバリズム(人食)の可能性。確かに、一部の洞窟からは、儀式のような形で脳を取り出して食べた痕跡が見つかっているという。脳には、感染症を引き起こすプリオンが含まれており、何らかの不治の病が蔓延した可能性もある。もっとも、動物一般について言えることだが、共食いや子殺しといった現象は、個体数が増えすぎたり、群れのボスが交代したり、といった特殊な環境で起こるものである。共食いを主要な食糧とするような種は、当初から存在しえないように思う。

 第三に、現生人類(ホモ・サピエンス)の侵略の可能性であるが、理由も無しに殺し合いをするメリットはない。食料資源や居住空間が満たされている限りは、無用な争いをしても、味方が傷つくばかりで、何も得るものはない。じっさい、現生人類は人を襲う危険があるからといって、ライオンやヒグマと戦争をしたことはない。棲み分けができている限りは戦う必然性はないのだ。

 第四の可能性は出生率の低下である。少数の部族単位で生活していると近親結婚が進み、病弱になったり、出生自体が減少してしまう。これまでの研究ではこの可能性が一番高いようである。もっとも、ニホンザルを見ても分かるように、群れで暮らす動物は、それぞれ近親交配を避けるための独特なシステムを作っている。子孫が減れば、遠く離れた部族との平和的な交流が進むはず。第四の可能性は、絶滅寸前の急激な人口減少を説明することはできるだろうが、そのもう1つ前の段階での長期的な減少までを同時に説明することはできないように思う。

 最近の研究によると、アフリカのネグロイドを除く現生人類の核遺伝子には、ネアンデルタール人類特有の遺伝子が1〜 4%程度混入しているという。完全に絶滅したとは言えないかもしれない。

 いずれにせよ、ネアンデルタール人絶滅の謎を解くことで、現生人類の存続にとって有益な情報が得られる可能性がある。