じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 日本心理学会の年次大会には学部3回生の頃(1974年の37回大会)からほぼ毎年出席した。発表論文集(抄録集)は毎年、ほぼ同じサイズ、同じ厚さとなっているが、過去3回、違うスタイルになったことがあった。
  • 第46回大会(1982年、京都大学【←この年のみ、「発表論文集」ではなく「予稿集」となった】):抄録のスペースが0.5ページ(1ページに2発表)となった。この年は、それまでの口頭発表オンリーから、初めてポスター発表が導入されるなど、新たな動きがあった。
  • 第49回大会(1985年、日本大学文理学部):論文集が分冊化され箱入りとなった。しかし結局、まるごと持ち運ぶ必要があって重くなるばかり。検索もかえって不便になった。
  • 第62回大会(1998年、東京学芸大学【←写真ではなぜか旧書体になっている】):それまでと異なるA4サイズとなった。この1冊のみ大サイズで不揃いとなり書棚に収めにくくてまことに不便。
 論文集のスタイルはその年の開催校が独自に判断して決めるようだが、こうしてみると、できるだけ同じスタイルをとり続けるほうが望ましいように思う。

 なお、最近では、発表原稿はすべてPDF化され、予約参加申込者にはネット上でダウンロードできるようになり、紙媒体の論文集は存在価値が失われつつある。私自身も、PDF化後の論文集は購入していない。

※論文集の一部はすでに心理学の教室のほうに寄付している。ここにあるのはその余り。引き取り手が無ければこのまま資源ゴミとして処分する予定。

2018年6月17日(日)


【小さな話題】

花にいろいろな色がある理由

 6月13日に続いて、NHK「チコちゃんに叱られる!」(6月15日、第10回放送)の話題。第10回では、もう1つ、

●どうして花にはいろいろな色があるの?

という疑問が取り上げられていた。

 チコちゃんの「正解」は、

●花によって虫の好みがバラバラだから【解説 蟻川・総合研究大学院教授】

というものであった。

 確かに、被子植物の多くは虫媒花であるゆえ、送粉者なしには子孫を増やすことはできない。しかし、ウィキペディアの該当項目にも記されているようにこれは、虫の色覚と花の色という共進化のプロセスで形成されたものである。虫が先に色の好みを選択し、その後からそれに合わせて花の色が変化したわけでは決してない。

 番組では、「ミツバチは赤色が見えないので、黄や白の花に集まりやすい」、「アゲハチョウは赤が見えるので赤い花に集まりやすい」という例を紹介していたが、ウィキペディアでは「【チョウは】特定の色の花を好むという傾向はみられない。」としている。このほか、嗅覚を頼りに花を見つける昆虫もあり、花の色が繁殖にどれだけ有用であるのかは熟慮する必要があるように思う。

 花の色は、それぞれの植物が作り出す色素によって決まってくるため、いくら適応上有利であったとしても、絵の具の3原色にあたる赤、青、黄の3色の花を咲かせることのできる植物は、きわめて少ない。(例えば、青色のバラは自然界には存在しない。黄色い朝顔も無い。パンジーは3色と言われるが赤色は紫がかっている。)

 ちなみにこの季節に咲く花の中で興味深いのは、ニワゼキショウである。岡大構内の芝地各所で花を咲かせているが、白色と赤紫色の2タイプがあり別々に群生しているのもあれば、隣接して混じり合っている場合もある。花の色が虫の好みに依存するのであれば、どちらか一色のみが繁殖しても良さそうに思うのだが、これまで見た限りではどちらが優勢とは言えないようである。

 このほか、番組では、受粉すると色が変わるハコネウツギが取り上げられていた。番組によれば、花の色は受粉前は白だが、受粉後は赤に変わる。これにより受粉できていない白色の花に虫を呼び寄せる効果があるという説明であった。しかし、もしその効果が絶大であるなら、他のウツギ各種の中で、ハコネウツギの繁殖力がもっと優勢になるはず。開花後に色変わりする植物としては、他に、酔芙蓉、鬱金桜、アジサイなどが浮かぶが【但し、大部分は園芸植物】、色変わりが有効な受粉にどれほど貢献しているのかはよく分からない。

 なお、番組でも述べていたように、花の色の見え方は、人間と昆虫では異なる。虫媒花において適応的な色というのは、紫外線センサーのある虫目線で考察しなければならない。