じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 毎年6月上旬に出現する「水田のパラレルワールド」。農学部農場の田んぼに映った建物が異次元世界が出現しているように見えていること。岡大のレアな風景/珍風景の1つに加えている。いずれも写真の上下を逆さにしている。

2018年6月10日(日)


【小さな話題】

詰め将棋37手詰めの妙味

 毎週日曜日に放送しているNHK「将棋フォーカス」で、「第15回詰将棋解答選手権チャンピオン戦」の10問目(最終問題、相馬慎一作)が解説されていた。

 この問題はネット上でも各所で公開されているが【例えばこちら】、単に手数が多くて複雑というだけでなく、興味深いポイントがいくつかあった。

 なかでも面白いところは、玉方の12手目で2八の角を3七に動かす際に、角成ではなく角不成とする点である。詰め将棋には「玉方は、最長手順になるように逃げなければならない。」というルールがあり、常識的には、角成としたほうが守りが堅いので最善手であるように思えるが、終盤ではこの不成が最長手順になるために生きてくるのであった。

 この最終問題を時間内に正解できたのは、藤井聡太・七段(チャンピオン戦当時は四段)のほか2人だけであったという。

 詰め将棋は私もこちらの中の「脳トレパズル」にある問題を毎日1題ずつ解いているが、こちらはせいぜい七手詰めまでとなっていて、この私でも瞬時に解が浮かぶことがあるほどの初心者レベルとなっている。しかし37手詰めともなると、かりんさんも番組で言っておられたが、一生かかっても解けそうにはない。

 もっとも、詰め将棋には独自のコツがあり、出題意図を見抜けば正解がパッと浮かぶことがある。
  • まずは、初手から順番に考えるのではなく、詰め上がりがどういう形になるのかを見抜くことである。
  • 次に、玉方の駒がそれぞれどういう働きをしているのかを考える。詰めを妨げる働きをしている駒があれば、邪魔されないようにその駒を移動させる手を考える。
  • 玉方の駒の中には、そこにあることで玉の逃げ道を塞いでいる働きをしているものもある。あるいは移動させることで逃げ道を塞ぐようになる場合もある。このようにして玉方の駒をうまく利用する。
  • いっぽう、味方の駒の中にも詰めを妨げる働きをしているものもある。王手をかけながら、そうした邪魔な駒を移動させる。
 このほか、役立ちそうなテクニックとして、
  • 詰め将棋問題は、意外な手を見つけるところに面白さがある。ということは、面白みの無い手(例えば、初手に玉頭に金を打つというような誰にでも浮かぶ王手)が正解になることは殆どない。
  • 初心者向けの問題では、しばしば、空き王手や「銀不成」が正解となる。
  • タダで駒を捨てるような手は正解になりやすい。その場合、玉方の駒が移動することで玉の逃げ道がどう閉ざされたかに注目する。

 いずれにせよ、詰め上がりの形さえイメージできれば、それに到達する前にどういうふうに駒を移動させるかという問題になるので、手数が長くてもあまり苦にならないはず。(←と、口で言うのは優しいが、実際にはそう簡単に解けるものではない。)