じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 一般教育棟で屋根付きの自転車置き場の工事をしていた。以前、一般教育棟の建物や文法経の耐震改修工事が行われた時にも自転車置き場が改修されていたが、その際には、「今後は屋根をつけない方針」と聞いたことがある。最近になってまた方針が変わったのだろうか。ちなみに、岡大構内でもよく利用されているももチャリの設置場所には屋根はついていない。雨に濡れても錆びにくい仕様になっているようだ。

2018年3月9日(金)


【思ったこと】
180309(金)喫煙対策に「多様性尊重」を持ち込むのは間違い

 岡大では、敷地内全面禁煙実施前から喫煙対策を検討する委員会やワーキンググループが設置されており、私も現在、喫煙対策ワーキンググループ(WGと略す)の委員を仰せつかっているところであるが、このたび、WGの構成を見直してはどうかという提案がなされ、意見を求められた。

 WG改組については私自身も以前から主張していることであり異存はないのだが、提案書の中の、

(委員構成について)多様性(喫煙者・非喫煙者、男女比、教員・事務系等職員、専門家)の確保

という文言が気になった。いまの世の中、ダイバーシティへの配慮が大切であることは言うまでもないが、この論理を、喫煙者・非喫煙者という区分に持ち込むのはあまりにも浅薄。さっそく、以下のような意見を提出させていただいた。
(1)現状のWGの最大の問題は、一年に2回程度しか開催されないことにあります。禁煙支援の専門家を加えることを前提に、頻繁に開催できるにはどういう構成にしたらよいかを最優先で考えるべきです。各部局や喫煙者の意見は、アンケート調査、公聴会、公開討論会など、必要に応じて聴取すればよいでしょう。
(2)ご提案の中に「多様性(喫煙者・非喫煙者、男女比、教員・事務系等職員、専門家)の確保」という文言がありますが、喫煙対策問題に「多様性」を持ち込むことは、根本的に間違っています。多様性というのは、さまざまな違いを尊重して受け入れるという意味に使われます。男女や人種、民族のように生まれながらにして決定されている違い、あるいは文化や宗教などで形成される様々な価値観の違いを尊重することは当然のことでありますが、喫煙者と非喫煙者の違いはこれには該当しません。喫煙者と言われている人たちは、もともとは非喫煙者であって、何らかの経緯によりニコチン依存に陥っている人たちのことです。喫煙・非喫煙について「さまざまな違いを尊重して受け入れる」というのは、喫煙依存習慣を固定化し、喫煙の有害性や依存性に目を向けずに「喫煙=価値観、権利」と位置づけ、それを根拠に分煙化で対立の解消をはかろうとするタバコ業界の論理です。この間違ったロジックが成り立つなら、「交通安全対策を議論するためには、交通違反者や事故経験者、暴走族なども含め、男女比も配慮した構成をはかるべきだ」という的外れなロジックも認めることになってしまいます。交通安全対策のWGを作るなら交通安全の専門家が主体となるべきであり、防火対策のWGを作るなら消防の専門家が主体となるべきです。同じ理由で、喫煙対策のWGは、禁煙支援の専門家が主体とならなければなりません。
 このほか、改組の方向性や、WGの任務については、以下のような意見を提出させていただいた。
1.改組の方向性(2つの対象(喫煙対策、喫煙関連諸問題への対策))について
(1)今回のご提案は、WGの改組に焦点をあてていますが、実働部隊である安全衛生部の体制や用務内容についてもきっちり総括し、WGの改組と合わせて議論する必要があると思います。現状では、実働部隊はスタッフの人数も巡視の回数も少なすぎて、看護師さんなど一部のスタッフに過重な用務を丸投げしているほか、結果的に敷地内での違反喫煙者に対して有効な働きかけができていません。今回挙げられた「WG活動の問題点」の大部分は、WGの構成に起因するものではなく、むしろ、実働部隊がちゃんと機能していないことによると考えます。今後は、実働部隊に、禁煙支援の有資格者、消防関係者を含め、とりわけポイ捨てによる火災発生の危険の高いエリアについては守衛さんの巡視の際にご注意いただくといった改善をする必要があります。
(2)喫煙問題というと、どうしても、近隣住民とのトラブルや、吸い殻ポイ捨てに目を奪われてしまいますが、健康被害と依存性に根本問題があるという点をもっと重視する必要があります。特に依存性の問題に対してはこれまであまりにも寛容すぎており、同僚の違反喫煙を黙認する、幹部職員の離席喫煙を批判しにくい、といった点に目を向ける必要があります。特にニコチン依存の職員が数時間ごとに喫煙のために離席している問題は深刻です。喫煙のために費やされた分、その職員は夜遅くまで残業を強いられることとなり、結果的に、二次的な健康被害に及ぶ恐れがあります。このほか、喫煙直後に呼気から有害物質を排出することで、学生や同僚に二次的な受動喫煙被害を及ぼす問題があります。これらに対応することが最優先課題です。
(3)喫煙関連諸問題は、教職員・学生の(勤務時間・登校時間帯における)喫煙率をゼロに近づけることで結果的に解決します。近隣住民とのトラブルについては、地域の路上禁煙化に取り組んだ活動家のアドバイスを受けないと実現しません。素人集団である教職員だけで解決しようとしてもうまくいくはずがありません。
(4)近隣とのトラブル解消は最優先課題の1つでありますが、学内には、こういうトラブルがあることや違反喫煙・ポイ捨てが多いことを口実として利用し、喫煙所復活を求める声があることにも注意を払う必要があります。「喫煙所が無いと不便だから復活してほしい」というような声は公然とは言いにくいので、トラブル解消という話題にすり替えて自らの(ニコチン依存状態を固定し)利便性を図ろうとする動きには惑わされないことが必要です。

2.WGの任務(企画と実行)について
(1)上記1.とも関係しますが、WGは構成員に問題があるというより、殆ど開催されていないことに一番の問題があります。そもそもWGというのは親委員会だけでは時間的に詳細な検討ができないために設置されるものであり、これまでのように年2回程度しか開催されないというのではうまく機能するはずがありません。ご提案の中に「喫煙率の下げ止まりの問題や特に周辺地域とのトラブル等への組織的対応などの解決については十分といえない。すなわち、喫煙者の禁煙推進のための禁煙支援及び非喫煙者の喫煙防止のための教育、周辺地域とのトラブル等の問題解決に関して具体的かつ実効性のある施策を提言、推進出来ていない。」とありますが、一番の原因は、提言・推進できていないのではなく、提言や推進を検討するための招集さえ行われてこなかったという点にあります。ですので、まずは、WGが少なくとも毎月1回は開催できるようにスリム化し、必要に応じて禁煙支援や地域活動の専門家などをお招きしながら検討できる体制をつくる必要があると思います。
(2)禁煙支援の専門家を主体に構成されたWGの提案が理事レベルで拒否された場合はその経緯を記録し、どのような理由で拒否されたのかを公開する必要があります。少し前にも、喫煙問題を含む健康増進のeラーニングを全職員・学生に義務化するというような提案がなされたことがありましたが、理事レベルで却下されたと聞いております。
(3)どのようなWGでもそうですが、きっちりとした年度計画、必要に応じて数値目標なども立てて活動し、年度の終わりにはきっちりと総括し、次の年度に引き継ぐ必要があります。これまでのWGはそのような当たり前のことが全くできていませんでした。なお、年度の終わりである3月期には、新入生、新規採用・転入教職員へのオリエンテーションなど、新年度対策を準備する必要があります。私がWG構成員になって以降、新年度対策が協議されたことは全くありませんでした。

 もう1つ、「その他」という欄があったので、以下の意見を述べさせていただいた。
 岡山大学での喫煙対策の動向については、学内限定の問題ではありません。他大学や全国の禁煙支援団体、報道機関からも常に注目されています。根本理念を忘れて、万が一にも、喫煙所を復活させるなどといった事なかれ主義的、場当たり的な対応をとることがあれば、全国の笑いものになります。