じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 定年退職記念・岡大の花(2)鬱金桜

 時計台の南西側芝地にあり2010年ころまでは見事な枝ぶりであったが、病害虫のせいで樹勢が衰え、2013年には1/3の高さとなり、さらに幹全体が枯れてしまった。その後、株元から新芽が出てきて、復活の兆しあり。

2018年2月23日(金)


【思ったこと】
180223(金)ボーム『行動主義を理解する』(91)自由(6)

 本書250頁からは、行動が直後の結果によって強化されやすいことを「強化の罠」という形で論じている。目先の結果ばかりに振り回されていると、究極的に望ましくない結果に陥るというものである。

 その最初の例は、喫煙の弊害であり、喫煙そのものはニコチン補給により即時的な好子出現をもたらすが(ニコチンが脳の側坐核に作用し、ドーパミンを増加させる)、究極的には癌や心臓病や肺気腫といった重大な嫌子に遭遇する。これを防ぐには自己制御(セルフコントロール)が必要となるが、自己制御は、行動分析学から見れば、「身体内部のどこかにある自己によって外に現れる行動を制御する」ということでは決してない。自己制御は、通常、望ましくない行動と競合するような行動を別の好子出現で強化するといった方法で可能となるが、ここで挙げられているニコチン依存の例は、実際にはなかなかうまく行かない。じっさい、日本の場合、禁煙外来における失敗率は5回目治療終了時で24.4%、さらに指導終了から9ヶ月後には35.6%(中央社会保険医療協議会2008年調査報告)というように高率となっているという。

 「強化の罠」の2番目のカテゴリーとしては、先送りや先延ばしが挙げられている。虫歯にかかったらすぐに歯医者に行くべきであるが、治療を受けるという行動はドリルで歯を削られるという直後の結果によって弱化されやすい。そうかといって先延ばしをしていると、いずれ虫歯は深刻化して歯根を傷めたり歯を失うという重大な結果を招く。

 「強化の罠」の3番目のカテゴリーは、消費と節約との葛藤である。本書では言及されていなかったが、これは、アメリカではごく当たり前のクレジットカード決済の場合に起こりやすい。ローンを使うことは、購入物という好子によって即時的に強化される。しかし、その結果として長期間返済に追われることになり、時には破産に陥ってしまう。

 次回に続く。