じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 北九州の某外食店で見かけた「電子タバコ禁煙」の掲示。有害なニコチンが店内に広がらないためにも、ありがたい掲示である。最近、一部の飲食店で電子タバコを許容する傾向があると聞いているが、とんでもないことだ。私自身はそのような店は一切利用しない。また、そもそも飲食店のような公共空間で喫煙したいなどと考えること自体が他者への迷惑に配慮できない傍若無人な発想であって、喫煙者はまず先にニコチン依存を治療してから入店すべきである。
 なお、この外食チェーンの掲示では、電子タバコの有害性については敢えて言及せず、理由として、「快適性を損ねる可能性」と「誤解を招く可能性」を挙げている。

2018年1月9日(火)


【思ったこと】
180109(火)関係、対応づけ、文脈をめぐる議論(12) 複合的相互的内包(複合的内包)と推移性・等価性(1)

 昨日の続き。

 関係フレーム理論に登場する複合的相互的内包(一般には「複合的内包」と省略される)は普通、刺激等価性クラスの研究における「推移性」や「等価性」と同じ例を用いて説明される。すなわち、「A→B」と「B→C」が学習されると、「A→C」や「C→A」が勝手に学習されてしまうというような例である。より正確に言えば、
ある文脈において、ある文脈においてAがBに関係していて、BがCに関係しているとき、結果としてAとCはその文脈で相互に関係している
という意味になる【Hayes,S.C., Fox, E., Giffbrd, E. V, Wilson, K. C., Barncs-Holmes, D., & Healy,O. (2001). Derived relational responding as a learned behavior. In S. C. Haycs, D. Barnes-Holmes, & B.Roche (Eds.),(2001). Relational frame theory: A post-Skinnerian account of human language and cognition.(pp.21-50). New York: Plenum Press.】

 ところが、ACTの原典『アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT) 第2版 -マインドフルネスな変化のためのプロセスと実践‐』[]の翻訳書66頁では、上記と異なり、「B→A」、「B→C」が学習されると、「A→C」や「C→A」が勝手に学習されるというような例が挙げられている。具体的には、
仮にごく正常な人間が,ボールを見せられたときにいくつかのもののなかからハンマーを取るように学び,次に.ボールを見せられたときに今度は木の葉を取るように学んだとする。すると,その人間は.点線の矢印によって示されている派生的な関係性を引き出す可能性が高い。
という例のもとで、ハンマーと木の葉の関係に言及されている。
_]ヘイズ,S.C.、ストローサル,K.D., &、ウィルソン, K.G. 著 武藤崇・三田村仰・大月友 監訳 (2014). アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT) 第2版 -マインドフルネスな変化のためのプロセスと実践‐星和書店. 【Hayes,S.C., Strosahl,K.D., & Wilson,K.G. (2011). Acceptance and Commitment Therapy 2nd ed. Guilford Publications Inc.】
 念のため、ACTの第1版も取り出してみたが、事例は異なるものの、やはり、「B→A」、「B→C」が学習されると、「A→C」や「C→A」が勝手に学習されるという内容になっていた。

 もちろん、上記で「B→A」が学習されれば、相互的内包の特性により「A→B」が勝手にされてしまうので、結果的に推移性が成り立つとは言えるが、刺激等価性のオリジナルの例とは異なる例が挙げられたのだろうか。

 次回に続く。