じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 12月28日の朝、モーサテで「2017年モーサテ大反省会」をやっていた。2017年末は「株価1万7000円〜2万円」【12/27時点では、22911円】、「アメリカ長期金利3.5〜3.75%」【12/2/8時点では10年国債2.408%、30年国債2.747%】、「ドル/円120円」【12/28時点では113円前後】と予想した専門家たちがなぜ予想を外したのかについて弁解をしていた。
 予測不可能な外部要因の変動が大きい世の中にあって、そもそも1年後を予想するのは無理があるという気もする。「○○リスクに注意しましょう」という見通しを立てながら、短期的な変動に対処していくほかはあるまい。

2017年12月27日(水)


【思ったこと】
171227(水)関係、対応づけ、文脈をめぐる議論(7)文脈とは?(6)

 昨日の続き。

 トールネケ(2013、『関係フレーム理論(RFT)をまなぶ』、武藤・熊野監訳)の121頁以降では、文脈的手がかりに関して、「rel」と「func」という2つの機能クラスについての説明がある。別の専門書のバッハ・モラン(2013)『ACTを実践する』では、これらはそれぞれ「関係的文脈、“Cリアル”」、「機能的文脈、“Cファンク”」という訳語と読み方が紹介されている。解説内容も『ACTを実践する』のほうが分かりやすいので、こちらから引用させていただこう。
  • 関係的文脈(relational contexts)は,「特定の関係反応の学習歴が,現在の状況に影響を与えるようになる」文脈刺激(Hayes,Fox, et a1.,2001, p.30)である(一部のRFTの文献では,関係的文脈はCrelと示されて,「Cリアル」と発音されている。私たちは省略形ではなく,「関係的文脈」という用語を用いる)。関係的文脈には,話された言葉,言葉のトーンや態度,話し手が何か指差しているかどうか,また,その他の相互的内包や複合的内包を促進する手がかりなどが含まれうる。これは時として「字義どおりの文脈」とされる。
  • 機能的文脈(functional contexts)は「ある状況において心理的に関連する刺激機能や,関連しない刺激機能を特定する文脈刺激」(Hayes,Fox,etal.,2001,p.33)である(RFTの文献では,機能的文脈はしばしばCfuncと示され,「Cファンク」と発音される)。機能的文脈は,関係フレームづけの心理的側面の変換と関連している。
 機能的文脈の例としては、花瓶とボブおじさんの話が取り上げられている。
...「実は,あの青い花瓶はボブおじさんからの誕生日プレゼントです」と言われるとしよう。そして解答者はボブおじさんを強烈に嫌っているとしよう。すると,いまや彼女はむかつきを覚え,顔をしかめ,ちょっと前には綺麗だと言っていたのに,「なんて醜い花瓶かしら!」と言うかもしれない。ボブおじさんが花瓶に関係づけられた文脈では,花瓶がボブおじさんの刺激機能の一部を獲得するのである。このような刺激機能は,その人のボブおじさんとの学習歴,すなわちボブおじさんとの彼女の実際の経験に基づいている。このように,関係的文脈刺激は,単に刺激間を関係づける刺激であるのに対し,機能的文脈刺激は,ある刺激に対する反応に別の刺激との実際の経験を関係づける刺激である。ただし,ボブおじさんのすべての機能が花瓶に変換されるわけではないことに注意してほしい。解答者は「その花瓶は私の母親の兄弟です」,あるいは,「その花瓶はあごひげを生やしている」とは言わないであろう。心理的に関連のある機能だけが変換されるのである。  この花瓶とボブおじさんの話は、臨床場面で重要になってくる。伝統的な条件づけの理論では、嫌悪的な反応はレスポンデント条件づけ、つまり刺激と刺激の接近の中で形成されるが、ここに挙げられた花瓶への嫌悪は、単に「あの青い花瓶はボブおじさんからの誕生日プレゼントです」だけで生じてしまうのだから恐ろしい。条件づけで形成されたのではない限り、消去という手続で解決していくことにも限界があるだろう。

 次回に続く。