じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 台風22号の影響で10月29日(日)は朝から雨が降り続いていたが、夕刻には晴れ間も見られるようになり、南東の空に月齢9.5の月が輝いていた。写真は、一般教育棟C棟前にある「南極蜂の巣岩」とのコラボ。

2017年10月29日(日)


【思ったこと】
171029(日)日本行動分析学会第35回年次大会(17)超高齢社会における行動分析学(15)「活動の束」メタファ(3)

 10月27日の日記の続き。

 今回の話題提供では、最初に「正の強化を受けながら行動することが幸福の必要条件である」とするスキナーの幸福観を引用した。しかし、個々バラバラの行動が強化されているだけでは、おそらく真の生きがいは達成されず、生活のバランスを崩してしまう恐れがある。これに対して、その人の様々な行動を、まとまりをもった「活動」の束としてとらえ、高齢期においてどのような活動を持続させるのか、どのような活動については終止符を打たせるのかを検討することは大いに意義がある。

 例えば、生涯現役を貫くか、引退して全く別のスタイルの第二の人生を送るかという選択に迫られる場合がある。これが可能かどうかは、仕事の内容、引退した場合の収入確保、家族の事情、社会的な要請などによっても変わってくるが、けっきょくのところは、活動の束をどう再構成するのかに帰着する。

 自分の仕事が生涯継続が可能であればそれを止める理由はない。例えば、画家や小説家は、助手によるサポートにより、最期まで現役を続けられるかもしれない。いっぽう、飛行機のパイロットは本人が希望しても、安全上の理由で退職を余儀なくされるであろう。

 いまの時代、働き方改革の一環として高齢者の就労促進施策が打ち出されている。高齢者にとって、全く新しい仕事に就くよりは、生涯現役を続けることのほうが、それまでの経験が活かせるし、仕事に慣れているぶん、ストレスも少ないはずである。

 もっとも、だからといって、生涯現役が唯一の選択肢というわけではあるまい。現役時代に時間的に制限されていた趣味活動や社会貢献活動などを優先するのであれば、はっきりと引退し第二の人生に踏み出すべきであろう。

 いずれの場合も行動単位で「○○を続ける/始める」というのではなく、その行動を含んだ活動の単位で継続や終了を検討し、1日の活動総量の中に収まるようなバランスに配慮した設計が必要である。

 ちなみに、私自身は、定年退職と同時にすべての学会を退会し、非常勤講師などもすべてお断りして、隠居生活に入ることを計画している。現役時代の時間的制約から解き放たれ、今までできなかったことに取り組みたいというのが一番の理由であるが、何をするのかは健康状態に依存している。とりあえず70歳までの5年程度はかなりアクティブに活動できるものと期待しているが、いくら健康増進の努力を重ねていてもある日突然体調を崩して、深刻な病気を発症する恐れもある。また、自分自身は健康でも家族の介護に終始することもありうる。いずれにせよ、自分の力でどうにもならない状況が発生した時にはそれを受け入れた上で最善の選択をしていくほかはあるまい。

 次回に続く。