じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 10月4日の日記で「岡大と言えばコレ!」投票が行われているという話題を取り上げた。10月5日の時点で、右下の空き枠に追加で書き込まれた「60分クォーター制」がダントツの人気となっていたが、その後10月12日になって、「60分クォーター制」の枠が切り取られ投票できない状態となった。企画者の意にそぐわない候補であったのかもしれない。この時点では、オーソドックスな「時計台」がトップ、「イルミネーション」、「黒正巌先生」がそれに続いているが、その後、投票板が撤去されたため最終結果は不明。

2017年10月15日(日)


【思ったこと】
171015(日)日本行動分析学会第35回年次大会(7)超高齢社会における行動分析学(5)巨視的視点(2)

 昨日取り上げたように、行動の巨視的な視点はもともと、Baumらによって提唱されている。その中の、

●Baum, W. M. (2013). What counts as behavior? The molar multiscale view. The Behavior Analyst, 36, 283-293.

は、「行動の定義は、行動分析学の発展とともに変わっていく」とした上で、「行動」を以下のように特徴づけている。
  • (a) only whole organisms behave
  • (b) behavior is purposive
  • (c) behavior takes time
  • (d) behavior is choice
 しかし、上記では、直前条件や直後の結果といった三項随伴性によって強化・弱化される「行動」と、巨視的な視点でとらえる「行動」が混同される恐れがある。そこで私は、
  • 「行動」はあくまで、三項随伴性で強化、弱化される反応クラス
  • 継続的、包括的な特徴を持つ諸行動のまとまりに対して「活動」というラベルを与える
というように、微視的な「行動」と巨視的な「活動」を区別することを提唱した。なお、Baum(2017)の巻末用語集には「activity」がリストアップされており、以下のように定義されている。
Activity  A pattern of behavior that takes up time and is identified over a period of time, like reading, working, cooperating, or helping others.
上記では、1つの行動が一定の期間、繰り返し生じるというように定義されているが、私自身は、1つの行動ではなく、複数の行動のまとまりを「活動」と呼ぶことにしている。「活動」をこのような意味において定義することは、日常でも同じように使われていることが多い。例えば、
  • 「研究活動」とは、「いくつかのテーマで実験したり、測定したり、論文を書いたり、といった継続性のある諸行動の包括的ラベルである。
  • 「教育活動」とは、講義、演習、講演、個別指導、教材作成など、継続性のある諸行動の包括的ラベルである。
  • このほか「ボランティア活動」、「部活動」、「政治活動」、「就職活動」、「婚活」、「終活」なども、同様であり、継続性のある諸行動の包括的名称として用いられている。
但し、「活動」にはこれとは別に、「元気よくテキパキと動く」という意味や、「火山活動」や「地震活動」といった無生物の状態についても使用されることがあるが、これらの用法は当然、今回の定義とは異なる。

 余談だが、日本語では「活動」は「活動する」という動詞形でも使われるが、英語の「activity(activities)」は名詞形のみである。動詞の「act」は「(一回一回の)行為,所業,行い,振る舞い;動き,動向」(ランダムハウス英語辞典)という意味があるため、上記の定義とは一致しない。むしろ、「organizationally」という意味に近いのだが、「behave organizationally」では「組織的に行動する」という違う意味になってしまう。もっとも、スキナーの最初の著書のタイトルが『The Behavior of Organisms』であることから示唆されるように、スキナー自身は、行動が組織化される(行動は個々バラバラに生じるのではなく、一定の方向性をもってまとまって生じる)という観点を持っていた可能性がある。今回提唱している「活動」概念は、「有機的行動概念」と言い換えてもよいかもしれない。

次回に続く。